怒らせた。
劫火竜の襲撃から俺は同時共鳴の影響で身体が動かせずベットで寝たきりだったが、おっさんや『ストーム戦士団』の方々や受付嬢のカレンさんがお見舞いきてくれて色んな話をしてくた。おかげで退屈はしなかった。
村の事も聞いた。劫火竜に壊された門はもうすぐで復旧する。終わり次第家の方に取り掛かるそうだ。怪我人は何人かは出たが幸い死者は出なかった。カレンさんの話によると水の壁のおかげで逃げ遅れた人も助かったそうだ。話を聞いて俺は心底安堵した。
それから一週間。戦闘はまだ無理だがようやく日常生活がおくれるまでに身体が回復した。村の様子を見に出かけるところ玄関でロイドと鉢合わせになり一緒に行くことなった。
一週間経って殆どが元通りに修復されている。レギンさんの知り合いのドワーフを呼んで急ピッチで仕上げたそうだ。村の風景みながら歩いていると一人の少女に呼ばれた。
「ハヤトお兄ちゃん!」
振り返ると赤毛のツインテールの少女が手を振りながらこちらに走ってくる。あの時、助けた少女だ。
「あの時の子だね。一人なの?」
「ううん、あっちにお母さんがいるよ」
少女が指さした方に同じ赤毛のロングヘアーの女性がいる。こちらに向かってくる。
「こんにちは、ハヤトさん。私はリタ。娘はエマよ。遅くなりましたが、あの時は助けて頂きありがとうございました」
「ありがとうございました!」
「怪我が無くてよかったです。それよりもなんで俺の名前を知っているんですか?」
リタさんは答えてくれた。あの襲撃以降俺のことを村を救った英雄として名前が広がったそうだ。……まじか。
軽く立ち話をしてから二人と別れ、教会に行くことにした。教会は壊された壁の反対側にあったため被害を受けてない。一時的に怪我人や家が壊れた人たちの避難所になっていたが今はほとんど人がいない。
しばらく歩き教会に着く。扉を開けるとミンシアさんがお祈りをしている。まるで絵画でも見ているよう光景だった。邪魔しないように近くにあった木製の長椅子に座った。
「綺麗だね」
とロイドは小声で聞いてきたので俺も同じことを考えてたので同意する。祈りが終わりミンシアさんは俺たちに気づきく。
「ようこそ、ロイド君。ハヤトさん。お祈りですか?」
「そうです」
「では、私はこれで」
去り際に耳打ちで「あの方がお待ちですよ」っと言われた。俺は驚きミンシアさんを見ていたが振り返ったミンシアさんは笑みを浮かべ扉を閉めた。
「どうしたの?」
「え、なんもないよ。早くお祈りしよ」
「? うん」
俺たちは女神像の前で祈りを捧げた。前回と同様な感覚がして目を開けるとお怒りのご様子なクレアが目の前にいる。
「ク、クレア?」
「……」
クレアが無言で睨んでくる。余りの迫力に一歩引いてしまった。するとクレアは両手で俺の頬を挟まらた。
「何か言うことはあるんじゃないんですか?」
「えっと……ごめんなさい。それとまた心配かけちゃったな。でもあれは! んっ」
突然クレアに口づけをされた。唇が離れた時クレアは微笑んだ。
「わかってます。皆を守るために無茶をしたことも……」
「本当にごめん……」
しばらくクレアと抱擁したあとミンシアさんの事を聞いた。
「私がミンシアさんに聞いたのです」
「そんなことできるの!?」
「出来ます。ただ条件があって……」
クレアの話を纏めると、神に仕えてる者、クレアと波長が合う者。以上が条件で偶然合致したのがミンシアさんだった。クレアは事情を話し協力してもらったそうだ。
「それに結構、力を使っちゃって連続使用できませんし、時間も短いのです」
「そうなんだ。俺とはできないの?」
「出来ますが……ハヤトさんとは……その、会ってお話したいのです……」
頬を紅潮させながらクレアは言う。そんなクレアを可愛いと思った。時間なのか身体が光りだした。
「ありがとう、クレア。また来るね!」
「はい、待ってます」
そのセリフを最後に光が俺を包み意識が身体に戻った。
俺たちは教会をあとにしロイドの家に帰るとグラルさんが居間で待っていた。
「お邪魔しているよ。ハヤト殿もう身体は平気なのか?」
「はい、だいぶ良くなりました。ただ戦いはまだ無理です」
「そうか。今日来たのはロイドとハヤト殿に用があってな」
グラルさんはそう言って懐から二枚の紙?を取り出す。一つは封筒みたいので、もう一つはギルドカード並みの大きさだ。
「まずはロイドから」
「は、はい。……これって」
ロイドに渡されたのは鉄色のギルドカードだ。俺が寝ている間にロイドは依頼を沢山達成しランクCに昇格したのだ。
「ハヤトさんみてください! 昇格できました!」
「おう、おめでとうロイド」
「へへへ」
ロイドは照れて鼻を掻いている。余程嬉しかったんだろう。今度昇格祝いに何かプレゼントしようと決めた。
「これからも精進するんだぞ」
「はい!」
「うむ。さて次は、ハヤト殿だな」
俺に渡されたのは赤い蝋を垂らして狼を象った紋章がが押された封筒だ。
「それは【氷帝】様からの手紙だ」




