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疲れた!

 近づくにつれ壊れて燃えている家々が増えてくる。すると何かが飛んできて壁に激突した。おっさんだった。


「おっさん、無事か?」

「いてて……ん? ハヤトか! 遅い!」

「すまない。それよりもあれは」

「劫火竜だ。それもデカくなってるぞ!」


 冒険者ギルドで話して時よりもデカくなってるそうだ。成長したってことかこの短時間で! 俺はおっさんに現状を聞いた。どうにか抑えているが纏っている炎のせいでダメージがあまり入らなず持久戦になっているそうだ。


「GRAAAAAAAA」


 突然劫火竜が咆え、空気を吸い込み始めた。


「各自最大防御で耐えろ! 息吹が来るぞ!」


 おっさんの合図で全員防御態勢に入る。俺も黄金の盾で構えた。


「おっさん! 後ろの方は大丈夫かよ?」

「ギルド近くに避難していればグラムが結界を張っているから大丈夫だ」


 てことはロイドたちは大丈夫じゃない! まだ家にいるかもしれないし逃げ遅れた人達もいるかもしれない!

 俺はおっさんの後ろに隠れ黄金の盾から短剣に変えた。名は海嘯の短剣。海嘯の白鯨から授けられた神獣武器。属性は水。


「おい、なにする気だ?」

「防御はおっさんに任せる。後ろは俺が何とかする!」

「……無茶すんなよ。前は任せろ!」

「ありがとうおっさん。海嘯と化せ、タイダルディック!」


 海嘯の短剣と共鳴。すると俺の周りに水の球が現れ短剣に吸い込まれる。短剣を地面に突き刺した。すると街路から凄い勢いで隙間なく水が空に向かい水の壁が作られる。完成と同時に劫火竜の息吹が放たれた。炎が収まり辺りは焼け野原になったが水の壁のおかげで後ろは無事。しかしおっさんたちもは息吹に耐えたがかなり疲弊している。


「怪我ねえか……うっ」

「おっさん!」


 倒れそうになるおっさんを支える。おっさんの身体中には火傷が出来ていた。すると劫火竜はまた息を吸い込み始めたる。次で仕留めるために。


「おっさん後は俺がやる」

「……なにを言ってる! 無茶だ死ぬ気か!」

「無茶は承知だけど死ぬ気はない。ロイドと……約束したから」


 決意を決めおっさんの制止の声も聞かず走り出す。劫火竜は再び息吹を放つ。俺は水の壁を作り息吹と相殺させる。その間に水の手を作り出し動けない人たちを後ろに運んだ。全員運び終わるのを確認してさらに水量を増やし息吹ごと劫火竜を飲み込み正方形に水の形を変え拘束する。


「やったか?」


 水の中心が赤くなり沸騰し始める。やがて水は気化し水蒸気になり、維持出来ず拘束が解かれた。


「なら!」


 今度は短剣を空に掲げ水蒸気を劫火竜の頭上に集め雲が作り出され空が雲で覆われていく。だが劫火竜も黙っておらず攻撃してくる。爪攻撃、噛みつき、尻尾攻撃、突進など様々の攻撃を繰り出されギリギリで躱しい続ける。


「しまった!」


 攻撃に気を取られ足元の瓦礫に躓き尻尾攻撃を躱し切れず当たってしまう。村を囲っている壁まで飛ばされ激突した。


「かはっ」


 肺から空気が吐き出される。途轍もない衝撃に襲われたがどうにか意識を飛ばさず耐えた。壁から抜け出し空を見上げる。黒くいまにも雨が降りそうな雲が出来上がっていた。


「お返しだ! 落ちろ!」


 短剣を空に掲げ振り下ろす。するとバケツをひっくり返えした勢いの大雨が劫火竜を襲った。劫火竜は蒸発させようと炎を纏うが雨の勢いが激しいため纏う傍から消されていく。やがて雨は止み劫火竜はびしょ濡れになった。


「GRAAAAAAAA!!」


 劫火竜は怒声が籠った咆哮し再び炎を纏ったが先ほどより勢いが衰えてる。今が勝負所だ!

 俺は海嘯の短剣を装備したまま【無限収納】から手甲を取り出し装備した。名は氷獄の手甲。氷獄の銀

 狼から授けられた神獣武器。属性は氷。


「氷獄と化せ、フィンブルリル!」


 海嘯の短剣と氷獄の手甲の同時共鳴。すると俺を起点に周囲の水分が一瞬にして凍る。俺は短剣を構えると背後に劫火竜よりも大きい水の剣を生成。劫火竜は息吹のモーションに入る。


「遅い!」


 短剣を振り下ろすのと連動して水の剣も振り下ろされ劫火竜に直撃。すると直撃したところから凍り始める。やがて劫火竜は全身が凍りぴくりとも動かなくなった。俺は短剣を投げ胸に突き刺さった。そこを目掛けて渾身の一撃を放つ。


「はああああああああ!!」


 短剣を中心に蜘蛛の巣状に罅が広がりやがて粉々に壊れ魔核だけが残った。


「お、終わった……」


空を覆っていた雲は晴れていき隙間から日差しが照らされるいつの間にか朝を迎えていた。ようやく長い戦いが終わった。


「ハヤト! どこだ!」

「おーい、返事をしろ!」

「ハヤトさん! どこですか!」


 遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる。おっさんたちと何故かロイドがいる。「おーいこっちだ」と手を大きく振った。俺に気付いたロイドが皆を呼びこっちに来る。皆の無事を確認し安心したのか一気に疲れが襲い掛かってきた。


「ああ。やばいな……力が入らない。あはは……」


 身体を支えることが出来なくなり仰向けで倒れた。今回は相性が良い属性で共鳴したから気絶はしなかったが指一本も動かないや。


「ハヤトさん大丈夫ですか!」


 一足先にロイドが辿り着き俺の無事を確認している。


「だ、大丈夫。ただ疲れただけだから」

「無事か?」

「なんとか」

「ほら、肩貸すぜ」

「ありがとうございます」


 おっさんとアースさんに肩を貸してもらいゆっくりと歩きギルドに帰還するのであった。


 ♦

「あーあ、やられちゃったか。うまく亀裂に誘導して連れてきたのに……残念」


 謎の人物はカルト村が見える高台から落胆している。


「まぁ、いっか。それよりもあの人間、面白そう……ふっふっふ」

『リリス様! ようやく見つけました。早くお戻りを』

「あちゃ、見つかっちゃた。わかったよ~もどりますよっと」


 謎の人物――リリスは足元魔法陣を浮かべ元の階層世界に戻った。



 ♦


『ん? 久しいな……我の名を呼ぶ者がいるとは。それに他の奴と同時に共鳴するとは面白い!』


 とある獣は長い眠りから目覚め、楽しそうにしている。


『女神が選んだ者の顔でも拝んでやろうかのう』


 とある獣は大きく欠伸をしたあと何千ぶりの外の世界に出るのだった。


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