閑話 ある男の『心折設計迷宮』探索日記 後編
□■□ 首都西方向 荒野地帯の縦穴型ダンジョン内部 □■□
◇◇◇
――天井、床、柱……全てが灰色の世界、ダンジョン。
魔法使い共が欲しがってやまない魔宝石、独特な効果のアイテム。貴重な鉱石や水晶だってポコポコ落ちてる特大の宝箱だ。
まぁ、とは言っても。
それを身をもって知るのは【迷宮探索者】の二つ名を持つ俺くらいなんだけど。
そりゃあ……サービス開始当初は、他のプレイヤー共もいっぱいいた。誰も彼もがこぞってダンジョンの宝を求めて潜ってたんだ。ファンタジーな世界って言ったらダンジョン、みたいな所もあるしな。
でもそれも――――確か三日か四日かくらいのモンで、今は誰も寄り付かない。
皆がここに夢見てたあの頃と違って、今や『開発が作ったプレイヤー殺害装置』とか『自殺用の洞穴』とか呼ばれる嫌われコンテンツだからな。
それこそ今どきダンジョンに潜るのなんて、現実が見えない自信家か、虫を愛して止まない変態野郎か、殺され依存の精神異常者か――――
――――もしくは、この俺。
【死灰】で【迷宮探索者】の、マグリョウくらいだ。
◇◇◇
(モンスターハウスのトラップか。悪意もりもりで清々しいぜ)
モンスターハウス。大量のモンスターの吹き溜まり。初めてそれを見たのは、なんてゲームだったっけ……。
年若い俺にゲームオーバーの文字を突きつけて、ついでに世の中の不条理と抗えない力ってもんを教え込ませた、罪深いゲーム。ローグライクなダンジョン探索ゲームだっけかな?
入る度に形が変わっていくらでも遊ぶ事が出来た――記憶に確かに残る良いゲームだったな。あの頃から俺は、ダンジョンってのに惹かれてたのか。
とかなんとか考えながらも目の前に作り上げられるのは、まさしくその『モンスターハウス』だ。
不用意に押したダンジョン中のモンスターを呼び寄せるトラップ。殺意でもって殺意を呼びよせる、ダンジョンが伝えるありったけの悪意みたいなもんだ。
押したのが悪いと言えばそうだけど、そんなん用意するって……悪趣味にもほどがあるよな。
ただまぁ身軽な孤独の身で、この世界の全ては自己責任。開発者も生放送でそう言ってた。
つまる所――――宝もカネも殺意も悪意も、全ては俺が独り占めだ。
たまんねえよな、本当にさ。
――――――――――――――――――――――――――
431.名も無きリビハプレイヤーさん
死灰のモンスターハウス動画、これやばい……
何匹いるんだよ……全部ダンジョンのキモンスターだし怖すぎる
432.名も無きリビハプレイヤーさん
マグリョウってあの数相手で死なないのかよ
二つ名効果ってそんなでかいの?もうチートだろ
――――――――――――――――――――――――――
二つ名技能【死灰】を発動させて、灰のオーラを再度身に纏う。
自前の灰をたっぷり詰めた小瓶を三つばかりストレージから取り出して、地面に叩きつけて灰をぶち撒ける。
どうだ、虫共。このにおいに覚えはないか?
お前らと同じ形の死体を燃やしたこの灰から、お前らの臭いはしないか?
お前らのオトモダチの死灰と臭いに塗れて、ゆらりと姿をかき消して――――
――――さぁさぁ殺し合おう。遠慮するなよ、すぐにお前らも灰にしてやる。
――――――――――――――――――――――――――
433.名も無きリビハプレイヤーさん
>>432
実際見ればわかるけど、【死灰】ってそんな大したもんじゃないよ
ゆらゆら灰が見えるだけでほとんど普通に見えるし
単純にプレイヤースキルが凄いんだよマグリョウは
434.名も無きリビハプレイヤーさん
これがコミュ力を犠牲にして得た戦闘力か……
やはりエリートコミュ障は格が違った
――――――――――――――――――――――――――
先陣は頭とお尻が頭のバッタか。頭と太い後ろ足が前後についてて、前へ後ろへと勢いよく飛び回る素速く厄介なクソッタレ。
首筋を狙いがちだから、首元にナイフを逆手で持って置いておく……ほらブレた。攻め方が一辺倒なのはよくないぜ。隙だらけだから掴んで刺して踏みつける、簡単な作業でひとつ死ぬ。
(とりあえず突っ込んで、とりあえず死ぬって感じだな。このバッタは嫌いじゃない)
刺したナイフごと死体を捨てて油をかけてると、地面からハサミムシが飛び出してきた。って言ってもそれは雰囲気の話で、すべてを食いちぎる大アゴは……上下左右の四本だ。
ハサミと言うより、悪魔のお手手か何かかな。
――――素早い。俺の左足のふくらはぎを食いちぎろうと、四本指の悪魔の手が地面を滑るようにして掴みかかってくる。
間一髪で後ろに飛び避けて、右足でソイツの体をひっかけ、壁にぶつけてナイフを投げて。
間髪入れずに足元のスイッチを踏めば、矢が飛んできて真っ直ぐ撃ち抜く。ナイフで壁に貼り付けられたハサミムシは、追加のトラップアローを食らって穴だらけだ。
命をふたつ減らしてナイフは残り七本ばかり。便利だけど、投げたら減るってのは……不便だよなぁ。
いや当たり前か。
(投げても減らない投擲物を生むスキルが欲しい……騎士にあったっけ)
素早い雑魚共を散らすと、そろそろ虫モンスター共の本隊が到着だ。
ダンジョンの虫モンスター共は、互いが互いを嫌い合う。
トラップが出した本能に訴えかける、抗いがたいの音色で呼ばれた奴等は――それでも互いに食いつき傷つけ合いながら真っ直ぐここへ向かってくる。
足に食いつき吹き飛ばし、毒液を吐き散らしながら隣人同士で殺し合い、中には死んだ虫を捕食すらして。
そんな見るに堪えない不細工な隊列を組んでグチャグチャに絡み合いながら突っ込んでくる様は、血にまみれたイカれたパレードだ。
地獄を逆しまにして中身をぶち撒けたような行進がメインショーの、みんなでわいわいダンジョンであそぼう、ブチ殺し合いのなかよしゆうえんち。
「ははっ! はははっ!! 一等賞のごほうび――『生き残り』を目指して、みんなできょうそうしようぜ、クソ虫共」
◇◇◇
鋼鉄のような甲殻を丸めて球体になったダンゴムシが、ゴロゴロ音を立てて突っ込んでくる。馬鹿か、回避って選択を捨てたソレは、悪手だろ。
ハサミムシが空けた床に長剣の柄をぶっ刺して、斜めにしとけばアイツは勝手に刺さって死ぬ。ついでに鉄球がついた振り子のトラップを踏んでおけば、ビリヤードみたいになって吹っ飛ぶだろ。
丁度そのルートにてんとう虫が固まってる。あいつら足が遅いから、鉄球振り子でダンゴムシが飛ぶまで……多分9か10秒。多少は巻き込めるかな。
ダンゴムシの後ろからはシュルシュル音を出すカマキリだ。粘液を纏って地面を滑るソイツには、足ってモンが存在しない。
ダンジョンの虫モンスターってどっかが異形になってんだよな。趣味が悪いにもほどがある。
(ヘビみたいにクネクネしながら迫ってくる二振りの鎌とか、そんな妖怪いなかったっけ。パレードってより、百鬼夜行だったか)
後の為にストレージからアイテムを取り出しててんとう虫にぶん投げながら、姿勢を低くしてカマキリに駆け寄る。
鋭い鎌は最適な距離じゃなきゃ切れ味も半減。初撃を避けて首筋にしがみつき、背後に周って汚いツラの下から剣を刺す。
顎から脳天に貫通したソレは新しいツノみてえだ。異形度アップで一味ちがう個性を持ったな、イケてるぜカマキリ野郎。
俺の重みで背後にぶっ倒れるそのままに、逆さまのまんまで連射式クロスボウをハエ共に三連射。
2発当たって一発外れたが、一発目の『当たり』はヒットしたから問題ない。
カマキリの粘液に塗れた身体に黒鉄のトラバサミを擦りつけて、カーリングみたいに蹴って地面を滑らせる。カーリングって漬物石を蹴って遊ぶスポーツだろ? 俺は知ってるぜ。
――――――――――――――――――――――――――
435.名も無きリビハプレイヤーさん
信じらんねー、なんて動きだよ! もう別ゲーだろこれ
つーか物量がとんでもない
流石プレイヤーを殺す機械と言われるだけあるな、ダンジョン
436.名も無きリビハプレイヤーさん
キモい虫がいっぱい……キモい……
――――――――――――――――――――――――――
残ったハエと蚕四匹がまとめて飛んでくる。ハエは単眼で触手みてえな尻尾をケツから垂らしているが、それが目についたのか蚕が大顎でバクリと噛んだ。
ハエがメスだったらセクハラだな。今の世でセクハラは精神生命に関わるし、実際ここでのセクハラも命の危機に直結した。ポトリと死んだのはハエだが。
…………ケツから伸びてる触手は重要な器官なのか? いい勉強になった。
「つーか、致命的な欠陥だろ、重要な物を外に垂らすってさ」
思わず一人言を零す俺に向かって、調子に乗った蚕が一匹を先頭にして羽を広げて突っ込んでくる。
…………俺に向かって広がるようにって事はさ、後ろを隠したいんだろ? 虫の浅知恵は宅配ドローンAIが言うジョークより下らねぇな。
後ろに飛んでポイントをズラして、羽に隠れてた後続の蚕を二匹まとめて横切りでぶった斬る。片方は触覚を落としただけだが、もう空は飛べねぇだろ。
「素直に地べたに這いつくばっとけ。ドローンだって、姿勢制御機構がイカれれば、落っこちるからな」
口に噛んだ触手でハエをぶら下げる蚕は、そのままの勢いで体当たりか。
触手を離しゃいいのに、それ、どんだけ美味いんだって。唐揚げより美味いのかな。
普通に切り捨ててもよかったが、その後ろからはアブラムシの群れ。張り付いてきて破裂して毒液を撒き散らす、クソッタレの自爆野郎だ。蚕をまともに相手にしてたらジリ貧だろう。
丁度良くダンゴムシをぶっ飛ばした鉄球振り子が返ってきた。
カマキリのデカい腹を踏み台にして飛ぶと、今度は蚕の顔面を踏みつけながら更に高く。ついでに右足の踵につけたデッドリーポイズン付きの小さいトゲでぶっ刺しておく。
「ハエの触手なんか喰ったんだ、食あたりって事で苦しんで死ねよ」
鉄球振り子をぶら下げる棒に捕まってアブラムシ共をやり過ごす……と同時に爆発ポーションを落っことす。2匹のアブラムシが爆弾で破裂して、それがどんどん連鎖すれば――あっという間に毒の沼に変身だ。
パズルゲームみたいで気分がいい。バヨヨーンとか言ったっけか? 忘れた。
ついでにそこから生き残りの蚕に油をかけとく。その油は今はただのベトベト汚れだが、そのうち死に至る呪いのマーキングだ。
「この【死灰】のマーキング、感謝しろよな、空飛ぶイモムシ」
次に棒から飛び降りると、待ってましたと言わんばかりのムカデとヤスデがお出迎え。
どっちがどっちだかはわからん。ちょっと違うからそう呼んだけど、ただの個人差か? 個虫差? どうでもいいな。
しかし、都合よく『当たり』が刺さったハエの死体の真上だ。
ちりばめた幸運の拾い上げに感謝しつつ、火種を呼び出しぶん投げる。詠唱なんて必要ない、元々焚き火の着火用だ。
普通のボルトよりずっと太くて重い『当たり』。発射後後ろの穴から中の液体をぶち撒けるソレ。
よく燃える色のついた油…………ガソリンとか言う、古い時代は必需品だったらしいモノが入ってんだぜ。
「その油……とんでもない火力なんだぜ、見たいか? 見ろよ」
爆発みたいな豪炎があがり、ムカデもヤスデも一緒になって燃え上がる。
仲良く黒焦げで、全く違いがわからねぇ。言ったろ? お前らの差なんてどうでもいいって。
ついでに低空を飛んでいた蚕にも燃え移って、ばたばたとみっともなく暴れる。
……鱗粉を撒き散らして、綺麗なモンだなぁ。
死に際が美しいってのは何よりの誉れ。やるじゃん、お前。
…………あっちこっちに炎が広がって、灰と塵と火の粉が舞い散る夢みたいな空間になった。
視界の隅で、てんとう虫の生き残りが背中の水玉模様を明滅させて――――あれは魔法か。幻惑の。
そのタイミングを見計らったように、灰色のガスがてんとう虫を包む。さっきカマキリの死体の向こうに投げたアイテムによるものだ。
そこは俺が予約した、死灰のエリア。お前らからは何も見えないだろう? チカチカ光って居場所を知らせるお前らだけにはさ。
目印を頼りにし、的当てみたいにクロスボウを撃てば……大当たりで光が消える。
「漢字で書いて点灯虫だとしたら、今は消灯虫だな。ははっ! ははは!」
――――――――――――――――――――――――――
437.名も無きリビハプレイヤーさん
キモすぎだろこれ おぞましすぎる虫だらけだ
この動画、人によっちゃグロだな……マグリョウは独り言言って笑いながら戦ってるけど……
ん? 人間嫌い、ダンジョン好き、虫が好き……? あっ……
438.名も無きリビハプレイヤーさん
趣味嗜好は人それぞれだろ
虫フェチがいても、自動ドアの音フェチがいても、別にいいじゃないか
439.名も無きリビハプレイヤーさん
>>438
俺が好きなのは「油圧式自動ドア」だ、二度と間違えるな
440.名も無きリビハプレイヤーさん
>>439
うるせえんだよ変態が
自動ドアに挟まれて身動き取れなくなってろ
441.名も無きリビハプレイヤーさん
ひどすぎ(笑)
全然他人の趣味認めてねーじゃん(笑)
442.名も無きリビハプレイヤーさん
狂ったような見た目の虫モンスターの群れ
そいつらがゴリゴリの殺意で目に入るもの全部殺そうとする
マグリョウが殺して殺して殺しまくる
めらめら火が燃えて、灰色の男がブツブツ呟きニタニタ笑う
なんだよこの動画
これって、まさしく地獄ですよね?
――――――――――――――――――――――――――
轟々燃える炎の中に、死灰と塵が舞い踊る。
極楽浄土って、こんなのを言うんだろうなぁ。
「ああ、楽しい。最高だ。脳がとろける。癖になるぜ」
カーリングみたいに滑らせておいたトラバサミ。それを踏んだゾウムシが足を食いちぎられて怒ってる。
「知ってるか? そのトラバサミ――『象のくるぶし大好き子ちゃん』って名前なんだぜ?」
俺が唯一利用するプレイヤー商店のよろず屋、【ドクターママ】こと カニャニャック・コニャニャック謹製の逸品だ。
その名の通り"象のくるぶしすら噛み砕く、とんでもない挟力のトラバサミ"ってのがウリ文句らしいが、ゾウムシのお前の細い足を噛むなんて、皮肉なもんだよな。
いよいよ小さい雑魚じゃなくてリーダークラスの大物が来る時間だ、今の内にボルトの切れた左腕のクロスボウをストレージに突っ込んで、左手に細い毒針を握り込んでおく。薄汚れた包帯で左手をグルグル巻きにして、毒針が落っこちないようにして――――リアルな世界だ。物は持てないから、手の甲の小さい刃物を伸ばしとこう。無いよりはマシ。
歩きづらくて怒り狂うゾウムシを、大きなギロチンがぶった斬った。ああ、あれは――――中ボス的な立ち位置の怨敵、ノコギリクワガタくんじゃないか。
硬い体に強靭なハサミ、平べったい身体を地面にぴったり這わせて、無闇に肥大化した後ろ足でロケットみたいに突っ込んでくる低空ギロチンミサイル。
「久しぶりじゃねぇか。何回殺されたかわからん、愛しい怨敵よ」
いちにの、さんで思いっきり俺に滑り寄る――カマキリの体液を詰めた瓶を取り出し割れば、地面はぬるぬるで滑りミサイルは制御不能だ。進んでない国は未だ雪の日に『スリップ注意』なんて言われるらしいが、まさしくそれだな。
つるっと行き過ぎ壁に当たって、いそいそ方向転換してる。間抜けが。
矢も剣も効かないカチカチの甲殻には、中からの攻撃が一番効く。接近戦で毒ナイフを刺そうとすれば…………唐突な音と共に、地面から再びハサミムシ。
クワガタよりは小さいハサミだけど、俺の手足を切断するには十分のサイズ――――やられた。
「…………この【死灰】の腕を落としたんだ。苦しみを与えて殺してやるよハサミムシ。誉れと苦痛に包まれて死ね」
軽くなった左側、肘から先がぽとりと落ちる。いてぇ――――けど、これこそ『大当たり』だ。最新鋭の自動手術機械みたいに的確な切断、痛み入るぜ。
斬られた自分の腕を掴んで、クワガタにぶん投げる。魚を貰ったアシカみてぇに口でキャッチして美味そうに捕食しやがるな。唐揚げ食ってる俺のようだ。
食った傍から緑色の泡を吹き出すクワガタ野郎。お前みたいな食いしん坊の為に、毒入り左腕にしといたんだよ。食いついてくるクソ虫に左腕を食わせられれば儲けもんだと思ってたけど、こういうパターンもあるわけか。餌付けの気分だ。
「俺からのプレゼントは美味かったか? クワガタ野郎。返礼品はてめぇの命だ、礼儀は尽くせよ、怨敵同士でもさ」
◇◇◇
□■□ 宮城県仙台市 密集型ワンルームマンションの一室 □■□
ふぅ……動画はこの辺にしておこう。
見てるだけでその時の気持ちが蘇るぜ。ここ最近で、一番楽しかったなぁ。
確かこの後は――デカい蜘蛛とクソデカい芋虫が出てくるんだったかな。
全部一息で見ちゃったら、もったいない。それほどの時間だったんだ。
ああ、胸で火が燻る。帰ってきたばっかりだけど、もう『Re:behind』に行きたくてたまらない。
殺し合いって、たのしいよな~。
――――――――――――――――――――――――――
443.名も無きリビハプレイヤーさん
マグリョウめっちゃ独り言言うじゃん、こわ。
つーか結局、あのマグリョウの謎視点の動画は誰が撮影したんだよ?
ソロ専の人間嫌いなマグリョウなんだし、そもそもあの動画、
カメラの可動許可域を超えまくってるぞ。
444.伝承を語るジジイ
ワシの爺さんが言っとった
マグリョウには悪霊がついていて、いつもその背をぴったりと追いかけていると
445.名も無きリビハプレイヤーさん
>>444おめ
シが並んだレス番からも判る通り、あの世が近いなジジイ
446.名も無きリビハプレイヤーさん
悪霊ってなんだよ
ゴースト系のモンスター?おっそろしいなぁ……
447.名も無きリビハプレイヤーさん
もしかしてアレ?
マグリョウのストーカーとか言うやつ?
448.名も無きリビハプレイヤーさん
なんだそれ(笑)
有名プレイヤーにはそんなん憑くのかよ(笑)
449.名も無きリビハプレイヤーさん
あ~、一時期噂になったよな
名前なんだっけ
――――――――――――――――――――――――――
……んだよ。萎えるなぁ。折角いい気分だったのに。
動画は面白いけど、あの女は駄目だ。ストーカーだし、気持ちが悪い。
どこにいるかわからんのに、よくもまぁこんなに俺が欲しいがままの動画が撮れるよな。
本当に悪霊なんじゃないか?
助けて欲しい訳じゃないけど、名前は晒しとこう。
どこでも憑いてくる悪霊女の厄払いだ。
――――――――――――――――――――――――――
450.名も無きリビハプレイヤーさん
スーゴ・レイナ
クソ長い黒髪に陰気な眼をした幽霊みたいな女アバター
ジョブを隠密系で固めてるストーカーを極めた変態女
451.名も無きリビハプレイヤーさん
>>450
ああ、そんな名前だったなぁ
っていうか詳しいし口悪いな(笑)
恨みでもあんのか?(笑)
452.名も無きリビハプレイヤーさん
>>450
前マグリョウスレで話題になった気がする
マグリョウ叩くと発狂する名無しがいるけど、そいつがその女らしい
453.名も無きリビハプレイヤーさん
掲示板にも湧くとかこええ
ストーカーこわい
454.名も無きリビハプレイヤーさん
ぼくは油圧式自動ドアがこわい
455.名も無きリビハプレイヤーさん
>>454
『まんじゅうこわい』かよ(笑)
456.名も無きリビハプレイヤーさん
ちょっとまって
4は麻雀で『スー』って言うじゃん?
>>450のレス番に当てはめると
4 → スー
5 → ゴ
0 → レイ…………
457.名も無きリビハプレイヤーさん
うわおああ! ぞわっとした!!!
458.名も無きリビハプレイヤーさん
やめろよ、ガチ呪いかよ、こええよ
本当に寒気したわ
459.伝承を語るジジイ
祟りじゃ!! 悪霊の祟りなんじゃ!!
天狗の仕業じゃ!!
460.名も無きリビハプレイヤーさん
天狗「まーたオレの仕業か」
――――――――――――――――――――――――――
……んだよ。意味わからん。なんだよ。
偶然だろ。たまたまだし、こじつけだ。そういうのじゃない。
カサッ
「――――っ!?」
な、んだよ……。唐揚げ弁当の袋の音か……。
脅かしやがって。思わず胸のベルトに刺したナイフへと手が伸びたぜ。いや、ここは現実だから、ナイフなんて持ってないけど。
玄関の鍵、閉めたよな。なんとなく不安だし確認しとこう。
おばけとかそういうのじゃなくて、防犯の意味だ。そういうアレじゃない。
「…………」
……カーテンがちょっと開いてる。危ないよな、最近物騒だし。ちゃんと閉めなきゃ。
誰かが覗いてたら……いやいや、それはないって。やめろよ、やめてくれ、そういうの。
「…………何か、今日は寒いな」
いつもより気温が低い気がする。気のせいか? もう秋だし、そういう事かな。いや、寒いよ今日は。秋だし。
スポンサーに押し付けられたカエルのぬいぐるみを抱けば暖かいかな。幽霊とかそういうのじゃなくて、寒いんだよ。あ~さみぃさみぃ。
「…………」
………………ちょっと、興味があるから、『なかよしゆうえんち』ってのやってみよう。
馬鹿みたいに明るくて、クマとかゾウがブランコで遊んでる。いいじゃん、こういうニコニコする感じ。悪霊とか絶対いない世界だし。
ウサギを動かしてリンゴをキャッチするクソゲーを見つけた。これをやろう。
――――トゲトゲのイガ栗は、ポイントがマイナスされるのか。操作性が悪すぎてボコボコ当たる。とんでもないクソゲーだな、おい。ちくちくしてウサギちゃんも痛そうだ、かわいそうに。
「………………」
……何か静かだ。変な音が聞こえてきそうで、不安になるな。
もうちょい音を上げて……ええと、オンリョウのボタンを――――っ!? 怨霊ッ!?
「ヒィッ!? なになにっ!? なんだよっ!!」
……いや。
…………いやいやいや。
怨霊じゃなくて、音量だった。音量。びびった。やめろよマジで。
……もうちょっとやろう。ウサギちゃんもお腹空いてるだろ。リンゴ食べたいよな。
――――――――――――――――――――――――――
461.名も無きリビハプレイヤーさん
マグリョウってすげーんだな~
こんだけ強けりゃもう無敵だろ
462.名も無きリビハプレイヤーさん
弱点とかないのかね?
苦手なものとか
463.名も無きリビハプレイヤーさん
>>462
彼はピーマンが苦手……
ウフフフ……かわいいよねぇ……
464.名も無きリビハプレイヤーさん
なんか怖い感じのヤツきたな
つかピーマンて(笑)
子供か(笑)
465.名も無きリビハプレイヤーさん
マグリョウスレで言われてる情報
・ダンジョンで戦うとテンション上がって独り言を言う
・負け筋とか恐怖を感じても、独り言を言って強がる
・ピーマンが嫌い
・コーヒーは飲めない
・ハンバーグと卵焼きと唐揚げが好き
466.伝承を語るジジイ
マグリョウはただの虫が好きな少年じゃよ
今年の夏もワシと一緒にカブトムシを採りに行ったんじゃ
467.名も無きリビハプレイヤーさん
好きなのにあんなに殺すの上手いのかよ
サイコっぽくてこええぞ
468.名も無きリビハプレイヤーさん
ああ、あともう一つ
マグリョウスレで言われてるけど、死ぬほどおばけが嫌いらしい
469.名も無きリビハプレイヤーさん
>>468
ウフフフ……かわいい……かわいいねぇ……
マグリョウ……フフフフ……
470.名も無きリビハプレイヤーさん
このスレ幽霊警報出てますよ
……それはともかく、マグリョウは今どこで何やってんだろうな
――――――――――――――――――――――――――
ピョコピョコ動いて、ウサギがリンゴをキャッチする。おばけもいないし、凄くいい感じだ。
「……はっ? 今避けただろ。判定ガバガバじゃねぇか」
ウサギがいて、リンゴが生ってて、トゲが落ちてくる――首都南の『ベリー畑』みたいだな。今もどこぞの初心者が、生活の為にベリーを集めてるんだろう。
そっちもこっちも平和で結構。ゲームとしてはクソゲーだけど、おばけがいなくて、世は事もなし。
『ダンジョン』 ②
天井、通路共に灰色の謎の素材。破壊は可能だが、いつの間にか再生する。
トラップは配置が定められた物と、生まれては消えを繰り返す物、突然湧き出すような物がある。
生息するものは形がおかしくなった異形の虫と、ゴーレムのような動く無機物のみ。常にどこかで殺し合いの音が響く、薄暗闇の世界。
虫モンスターは生命力が強く、体が一部欠損していても徐々に傷が塞がり立ち上がったりするので、燃やして灰にするのがプレイヤー間では常識。
と言っても誰もダンジョンには入りたがらない為、覚える必要がない情報ではある。
密室でありながら"奥"から入り口に向かって常に風が吹くダンジョン内で死体を燃やすと、やたらと灰が舞い上がってあちこちに塵となって飛び回る事から
『死灰が舞い散っている
(自分がダンジョン内で灰が舞うのを確認し、誰かがダンジョンで戦っているのを認識した時の言葉)』
『死灰を吐き出している
(ダンジョン外で、ダンジョン入り口から灰が吹き出ているのを見た時の言葉)』
と言うRe:behind特有の慣用句が出来、そこから転じて【死灰】と呼ばれるプレイヤーが現れた。
※ ダンジョンのアイテムとそれを持ち帰るプレイヤー【死灰】のマグリョウについて
[[ 【フレースヴェルグ】によって掲示板の書き込みから得られた、プレイヤー視点の情報 ]]
ダンジョンにある宝は独特で強力な効果を持つアイテムが多いが、誰も入りたがらず出土量が極少数なので、殆どが謎のアイテム。不用意に使用すると大変な目に会う事が多く、マグリョウは知り合いのよろず屋に持ち込むばかりである。
元々研究者気質なよろず屋の店主 【ドクターママ】カニャニャック・コニャニャックがその魔道具をぽこぽこ使用してばこばこ爆発したりするので、一般プレイヤーは余程のことがない限りその店に近づかない。
いい効果の物があった時はマグリョウが買い戻そうとするが、もっと遊びたがるカニャニャック・コニャニャックとアイテムを取り合っている事もある。
ある日、マグリョウが持ち込んだアイテムに謎の葉っぱがあり、色々ためした結果、貼り付けたモンスターを一時的に使役する事が出来る葉っぱだとわかった事があった。
『カリスマドッグトレーナーの調教』(カニャニャック・コニャニャック命名)と名付けられたそのアイテムは、マグリョウが必死に欲しがり、プレイヤーに貼ったりして遊びたかったカニャニャック・コニャニャックと引っ張り合って最後には二つに破けるという悲しい結末を迎える事になる。マグリョウがそそくさと逃げ出した後のよろず屋には、みっともない嗚咽だけが残された。




