第四十二話 Bad luck, have fun 4
◇◇◇
「……で、当のリスは――」
「ギヂュゥゥゥッ!!」
「――元気いっぱいだな」
罠による足止めから回転ノコギリの無情な刃と、前後から同時に一点を突く挟撃。
そんなサクリファクトくんと【死灰】の連携アタックは、華麗ではあった物の成果は得られず。
残念ながらリスドラゴンはピンピンしていて、爪を振るって暴れまわっている。
「ヂュゥ! ヂュゥゥウウッ!!」
「……チッ、うざってぇ」
「このままでは危険です! もういいですか!? 一旦ヘイトを戻しますよ!?」
「オオーッン! カテェーッ!!」
私の剣も、ヒレステーキのハンマーも効かず。
そして更には【死灰】の軽業もあしらわれ、サクリファクトくんの罠でも抑えきれない。
10本尻尾のシマリスドラゴン。その4戦目。
それはここに来て、とうとう為す術をなくしていた。
「ギヂュウッ!!」
「……体毛なんすよ」
「へ?」
「あいつの馬鹿みたいな硬さってのは、あの茶色い体毛による物っす。だからさっきのマグリョウさんは剣を刺す事が出来たんです。あの時のリス、両ヒザの毛が抜けてたんで」
……毛。
そうか。なるほど。そういう事だったんだ。
確かにあの時リスの両ヒザは、サクリファクトくんへの攻撃でその毛を飛ばし、失われていた。
そこを【死灰】が目ざとく狙って、灰色の剣をぷすりと刺したのだろう。
となると、ここで打つべきなのは……。
「体毛の影響を受けないような攻撃か、体毛そのものを奪い取る方法……」
「刺突は言わば "運任せ" っすね。ふさふさと幾重にも折り重なる体毛の隙間を、剣が上手いこと通り抜けるように祈るしかない、運否天賦っす。実際こうしてしくじってもいますしね」
「……うむぅ」
「だから一番に良いのは、あの毛を失わせる事なんすけど……どうしたもんかな。何とかして毛皮を剥ぐか、一部の毛を引っこ抜くか、あるいは……」
「あるいは?」
「……これはもう本当、マジで最後の手段ですけどね。以前のようにリスドラゴンを火だるまにして、全身の体毛を射出させて―― "燃える毛" が俺たちを貫くまでに全力で倒す、ってのも一案っす」
海岸地帯と先日の荒野でのドラゴン戦。
そのどちらでもあった、リスドラゴンによる "燃える毛飛ばし" 。
炎を嫌うあやつが、身を護る条件反射の行動としてされるそれは、確かに体毛を失わせるには抜群の方法かもしれない。
……ただ一点、飛ばされた体毛で我々が全滅する可能性がある事を除けば、だけど。
一度のチャンスにすべてを賭けて、生きるか死ぬかの強行突破。
それこそまさに、運に身を委ねた大博打だろう。
確実に有効ではあるだろうけど、おいそれと選べる手段じゃない。
「…………」
それにつけても、やっぱりサクリファクトくんはすごい。
あんなに沢山の罠を設置していながら、それを同時にこうまで色々考えているなんて。
……個人的に贔屓目で見ている自覚はあるけれど、それでもやっぱりすごいって思ってしまう。
◇◇◇
「クリムゾンさんは何かあります? あいつの毛をどうにかする方法とか、そんなの」
「むむっ? ええと……うぅむ…………ムムム……」
「……無さそうっすね」
シマリスのドラゴン。
とっても大きな茶色いネズミ。
その四肢は太く、爪は鋭利で、知恵と力と無敵の防御を合わせ持つレイドボス。
それを倒すために必要なのが、あの堅硬な体毛を排除する事だっていうのはわかったけれど……じゃあどうする? と聞かれたら、やっぱりウムウム唸ってしまう。
どうすればいいんだろう。
あの毛を掴んで思いきり引っ張れば、すぽんと抜けたりしないかな?
「う~ん……」
「うむぅ……」
「――――じゃじゃ~んっ!」
「むっ?」
そうして硬直状態に陥る戦場に、なんとも似つかわしくない明るい声が響き渡る。
「やぁやぁ、お待たせっ! ボクだよ~」
揺れるピンクの髪。陽光を飲み込むような黒い忍装束。
リスドラゴンとタテコ殿の間に割り込むようにして現れたのは、極悪非道のPK、【殺界】だ。
「あなたは【殺界】の……? なんですか? どういうつもりです?」
「……おい、邪魔するんじゃねぇよ変態女」
「…………」
突如として現れた彼女に対して、戦う彼らは懐疑的だった。
珍しくもどこか棘のある口調で問いかけるタテコ殿。
いつも通りの殺意全開の眼差しに、悪口すらも追加した【死灰】。
そしてその後ろにいるヒレステーキは、親の仇でも前にしたかのような雰囲気で睨みつけていて。
「……ジサツシマス? このタイミングで? ……何をする気だ?」
「…………」
そして、そんな疑う目つきをしているのは……サクリファクトくんと私も、同じだった。
ジサツシマス。
【殺界】の名を持つ【竜殺しの七人】が一人。
それは明確に悪人で、【正義】なる私とは対になるような存在だ。
そんなあの悪い子が、戦闘向きではないマイナス効果の二つ名を持つプレイヤーが、この大事な局面に現れ、いつも通りにふざけている。
だったらきっと誰しもが、こうして警戒をするに違いないのだ。
「んふふぅ、そう言わないでよ~。ボクだってボクなりに、何か出来る事があるかも~って思ってここに来たんだからさ~」
「……お前の出る幕じゃねぇんだよ、失せろ」
「でもでもキミたち、手詰まりでしょう? にっちもさっちも行かないんでしょう?」
「…………チッ」
「みんながそうして迷子の子どもみたいな顔しているからね? 優しいボクは胸が締め付けられる思いがして、どうにも放っておけなくなっちゃうんだ――――……えいっ」
そうして話す道化師なPKが手を振る。
するとそこには、大小2つの箱が現れた。
「……何だあの箱……プレゼント? 何をする気だ "ジサツシマス"」
光沢のある包装紙。ハートや花形の可愛らしい模様。
それを閉じる、ちょうちょ結びのファンシーなリボン紐。
誰が見てもわかる。
それは――『プレゼントボックス』だった。
「さぁさぁリスくん、ボクと遊ぼう! 楽しい運試しの時間やよ~」
「……ギギィ…………!」
「大きなつづらと小さなつづら、キミはどちらが好みかな?」
◇◇◇
「ヂィィィィ…………」
「ほらほら、遠慮しないでさ。おっきいのでも小さいのでも、好きなほうを選んでいいんやよ~?」
「ヂィィ……ッ」
リスドラゴンが唸り声をあげる。
目の前の怪しい少女と、もっと怪しい箱を交互に見ながら。
さもありなん。誰から見ても罠としか思えない物だし、そうもなる。
置かれた『プレゼントボックス』は、2つある。
ひとつは大きな緑の箱。
【殺界】の胸元辺りまである事から、恐らく四方1メートルくらいの非常識なサイズだ。
そんな見慣れぬ大きな物の隣には、打って変わってよく目にする赤い箱がある。
恐らく20センチも無いそれは、ホールケーキがちょうどスッポリ収まる程度の物だろうか。
そんな2つを前にして、【殺界】がニコニコしながら揺れている。
"選べ" とリスを急かしながら、楽しげに体を動かして。
……あの顔、この状況、その形。
それを踏まえて言うなれば、それは見える地雷と言った所だろう。
踏めばカチリと動作する、感圧式の起爆装置だ。
流石のリスドラゴンも、そんな物にむざむざ手を伸ばすほど おバカじゃないだろうと思う。
「…………ヂィ……!」
「ねぇ~まだぁ? はぁやぁくぅ~」
「……ヂ……」
「あんまり遅いと、ボクが先に選んじゃうんだぞ~?」
「…………」
「ん~……しょうがないなぁ。それじゃあボクが選んじゃお。…………うん! こっちの大きなやつに決め――――」
「――――ギヂァアッ!!」
どこまでも無防備に、ショッピングモールを散策するかの如く気軽な足取りで『プレゼントボックス』に近寄った【殺界】。
そんな彼女の様子を油断や侮りだと受け取ったのか、リスドラゴンが咆哮して怒りをあらわにした。
「ギィッ!」
ぶおんと風を切る音が鳴る。恐ろしい爪が横一文字に薙ぎ払われた。
「……ギッ!?」
しかし、空振り。
そこに殺害目標である【殺界】は居ない。
振るわれたリスドラゴンの爪は虚しく空を切り、緑色の大きな『プレゼントボックス』を弾き飛ばすだけとなった。
「んふふ、やっぱり "大きい箱" が良かった? ボクにお目当てが取られちゃうかも~って、慌てちゃったのかな?」
「……ギィィ……ッ!」
「うんうん、それならボクはこっちで我慢してあげようっ。大丈夫、気にしなくっていいんやよ。"舌切雀" のお話だったら、小さいつづらを選んだほうがハッピーだったはずだしね」
知らぬ間に離れた所に移動した【殺界】。
その顔は蠱惑的な笑みを浮かべ、その指先には赤い箱が踊るようにしてくるくると回されている。
「それじゃあ配布も済んだ事だし――ドキドキわくわくな開封タイムと行こうじゃないかっ」
「ヂヂ……ッ」
「ボクは殺界、不運の象徴。不幸をバラ撒くクロアゲハ」
「ヂィッ!」
「んふふ……キミの運勢、教えてくれる?」
そして、ニマっと笑うくノ一少女の手のひらの中で。
「――――二つ名技能、『大殺界』」
小さな『プレゼントボックス』の蓋が、開かれた。
<< You are an idiot! ha haha ha ha ha haaa! ah hahaha haa! >>
「……あぁ?」
「……は?」
「……へ?」
<< You are an idiot! ha haha ha ha ha haaa! ah hahaha haa! >>
「あやや、ハズレのほうを引いちゃった」
「…………」
……そうしてついに飛び出したのは、バネのついた丸い顔だった。
人を小馬鹿にするような表情。米国語で繰り返し叫ばれる何事かの煽り文句。バネの力でびよんびよんと動くさま。どれをとっても、やな感じ。
そんなイタズラ用のおもちゃが、【殺界】の手の中で揺れている。
<< You are an idiot! ha haha ha ha ha haaa! ah hahaha haa! >>
「…………」
「…………」
「ん~……んふふ。やっぱりボクって不運だね――――あいたっ」
「いたっ」
「……アオッ!」
「…………チッ」
そんな揺れるスマイルマークを指先でいじっていた【殺界】の頭に、黒い何かが落下した。
それに続いて今度は周囲の……タテコ殿、ヒレステーキ、そしてついには【死灰】の頭上にまでも、それと同じ物が落ちて来る。
「はぁ? アレって……うおっ、あぶねっ」
「……え?」
「あたっ、いてっ」
サクリファクトくんが声をあげ、抱っこする私を包み込むようにして身をかがめる。
落ちてきた "黒い何か" がサクリファクトくんにぶつかって、彼が2度、痛がった。
……地面に ころり とソレが転がる。
黒くて丸くてトゲトゲな、イガ栗のような物だった。
「…………」
「…………」
「…………」
…………ふざけておどけて舌を出す。
そんな道化師がこの場に起こす、脈絡のないアンラッキー。
それに誰もが呆れと混乱、そして理解不能の顔をする。
「……何だよ、これ」
「……うん」
サクリファクトくんがぽそりと呟き、私もこくりと頷いた。
不運の象徴、【殺界】のジサツシマスは、一体何をしているのだろう。
◇◇◇
「いやぁ、ハズレを引いちゃったよ~」
「…………」
意味のわからなさと小さな苛立ちで、呆気にとられる私とサクリファクトくんの眼前に、びゅう と桃色の風が吹く。
そうした次の瞬間には、【殺界】が目の前で笑っていた。
「……引いちゃった~じゃねーだろ。マジで何しに来たんだよ、お前」
「ん~? う~ん……んふふ」
【殺界】が首をことりと傾げる。
その女の子らしい仕草は、誰が見たって可愛らしくて愛らしい。
そしてそうだからこそ、ことさらに恐ろしく見えた。
……悪いことなど到底しそうにない、すこぶる無害そうな雰囲気の可憐な少女。
しかしてその実、それは他に類を見ないほど極悪で非道のPKなのだ。
まるで人を惑わす妖花の精。
ニコニコ笑顔で近づいて、人の命をなんとも思わず踏みにじる。
それは見るからに凶悪な人相で "ワルでござい!" と主張する者よりも、ずっと危険度が高いと思う。
私が大好きなコミックの中のヒーローも、 "本当の悪人は悪人に見えない" と言っていたし。
「何しに来たの~なんて聞かれたら、それはもう "良いことをしに来ましたっ" って言うしかないかなぁ?」
「……はぁ? これのどこが良いことだよ。この場のみんなを……それこそあいつも含めた全員を、漏れなく不幸にしてるだけじゃねーか」
"この場のみんな" と言って何かを思い出したような顔をするサクリファクトくんは、戦いの後方、【聖女】のチイカが居る場所を見やる。
そこには全身真っ白の少女が――――頭に黒いトゲトゲボールをくっつけながら微動だにせず―――― 一輪の花のように しん と座り込んでいた。
それはまるで、黒くカビたみかんを乗せる鏡餅のよう。
「…………って、チイカもチイカで気にしろよ。何で頭にトゲトゲ乗っけたままなんだ」
「んふふ、サクくんはチイカちゃんをずいぶん気にかけるんだね?」
「……別に、普通だけど」
「ふむ。ややもすると、チイカはトゲトゲに気づいてないのかもしれないのだ。【聖女】は痛みに強いと聞くし」
「……いや、そんな事ないっすよ。あいつは痛いと思ったらちゃんと痛がりますから」
「そ、そうなのか!?」
「そうっすよ。むしろチイカは人よりずっと、痛がり屋な感じもあって――――」
「ねぇねぇサクくん」
「……何だよ」
「チイカちゃんの事もいいけどさ、ほら、あれ」
そんなサクリファクトくんの言葉を遮る【殺界】が、細くて白い指を伸ばす。
せっかくお話しているというのに、邪魔をしないで欲しいなぁ……なんて考えながら釣られて見れば、その先にいるのは他でもないリスドラゴンだ。
……しかし。
今にあってはそんな邪悪のドラゴンよりも目を引いて仕方ない物があった。
「え、なにアレ」
「緑色の『プレゼントボックス』から、何かが沢山飛び出してる……?」
リスドラゴンが爪で引っ掻いた、大きいほうの『プレゼントボックス』。
それの中から大量に、色とりどりの何かが飛び出して――……ううん、吹き出していた。
絶え間なく空へと舞い上がるソレは、茶色に白、パステルブルーやピンクの色合いの、小さく細かい無数の物体だ。
それがまるで噴水のように、ぽこぽこポンポンと吹き出して。
それと合わせて漂い始めた鼻孔をくすぐる甘美な香りは、私がどこかで嗅いだもの。
Re:behindの世界というよりは、現実世界で嗅いだ覚えのある香りだ。
「ギッ!? ギヂィッ!? ……ヂ? ギギィ……?」
そんな甘い噴水を浴びたリスドラゴンが、毛を逆立たせて警戒を強める。
しかし、それも一瞬の事。
こうまで遠くの私たちにもわかるほどの甘い香りに何か思う所があったのか、地面に落ちた "箱から出てきた何か" をつまみあげ、鼻をひくひくさせて直接匂いを嗅ぎ始めた。
そして。
そのひとつを口に入れ、ごくんっと大きく喉を動かす。
「ギ……? ギッ! ギッ! ヂャァアアッ!!」
ネズミの言葉はわからない。
だけれど確かに伝わった……リスドラゴンの歓喜。
それからはもう、あけすけだった。
地面に落ちたものを拾って、ぱくりぱくりと送りに運び。
上に向かって大口を開けて、空に舞い上がるソレを直接口内で受け止める。
動物に詳しくない私でも見て取れるほどのおおはしゃぎ。
リスドラゴンは、【殺界】の二つ名スキルによって喚び出された『プレゼント』を、喜んで受け取っている。
「…………はぁ……?」
「あ、あれは……っ!?」
サクリファクトくんがため息にも似た疑問符を漏らし、私は嫌な予感を抑えるように声を出す。
そうして同時に【殺界】へと振り向いて、2人で一緒に彼女を問い詰めようとした。
「おい、あれは一体――――むぐっ」
「【殺界】よ、貴様は何を――――もががっ」
しかしてそんな私たちの口は、【殺界】の手によって塞がれる。
……もがもがと口を動かして見れば、そこには何かの異物があった。
……あわや毒物か!? と思いきや、なんだかとっても甘くて軽やか。
……サクサクしてるし、いい匂いもする。思わずそのまま咀嚼した。
…………おいしい。
「んふふ、お味はどう?」
「むぐ……なんだよこれ」
「ボクの二つ名スキル『大殺界』で生成されたクッキーやよ。甘くてとってもおいしいでしょ? リスくんが食べているのと同じ物なんだ」
「同じ…………ってまさか、お前……っ!」
「だいじょぶだいじょぶ、安心して? 毒なんて入ってないからさ。ボクたちの物にも、そしてもちろんリスくんの物にもね」
「…………」
「おいしい? んふふ、まだまだあるから沢山どうぞ? 他にはチョコとかマカロンに、ジェリービーンズや "杖の形をした飴" もあるんやよ」
「…………」
「スキルでお菓子を生み出しちゃうなんて、ボクって女子力高いよね」
……そう言ってクッキーをかじる【殺界】は、やっぱりどこからどう見ても愛くるしい女の子で。
そしてそうだからこそ、繰り返し思ってしまうのだ。
この場のプレイヤーにトゲトゲを落として、敵においしい "お菓子" を与える。
それはまさしく『荒らし』の所業。
頑張る仲間をあざ笑いながら不幸に落とし、倒すべき巨悪に幸福をもたらす『裏切り』。
他人の邪魔をする事が生きがいで、意地悪な嫌がらせが本業の【殺界】らしい『迷惑行為』だ。
……私は思う。
桃色髪の少女の笑みは、他人の災難を指差し喜ぶ小悪魔の嬌笑。
彼女はきっと、この場を滅茶苦茶にするために来たのだ、と。
「【殺界】っ! 貴様は! 自分が何をしているのかわかっているのかっ! ここは皆で力を合わせ、ドラゴンを討ち倒すべき決戦場なのだぞっ!」
「ん~……サクくんにお姫様抱っこされたままでそんな事言っても、あんまり説得力がないよ?」
「むぐ……! と、とにかく貴様は許さないのだっ!」
「ほらほら、そうカッカしないでさ。お菓子、食べる?」
「…………」
「いらない? じゃあポイしちゃおうかな~」
「……たっ! 食べるよっ!」
……おいしいお菓子に罪はない。
それを貰った所で【殺界】は許さないけど、捨てるくらいなら私が食べる。
【殺界】が悪いという事と、お菓子がおいしいという事は、別腹なのだ。
◇◇◇




