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4話

「昨日はホントに散々な日だったよ…」


千尋と竜也、菊谷の三人に昨日あった事を愚痴りながら登校していた。


「そうだねぇ…。そういう先輩とは付き合わない方がいいんじゃないの?」


そういう問題じゃないんだよなぁ…。面倒事を持ち込まなければ面白いからいいんだよな…。


「って千尋の方がオレよりタチの悪い先輩と付き合っているんだから他人の事言えないぞ!」


千尋は「ぐ…」と息を詰まらせ反論が出来なかった。


「原田先輩はいい人なんだから縁を切ったら勿体無いよ?」


「いや…今のうちに縁を切らないと面倒になるよ……」


菊谷が原田の何かを知っているような感じで話していたので


「た、確かにアイツはかなり面倒だな」


とフォローを入れた。


「随分と原田先輩の事知ってるけど友達なの?」


千尋がそう言うと


「そ、そんな訳無いですよ!あの先輩一番嫌い!友達なんて冗談じゃない!」


何か菊谷の本性が出てきそうなので話題を変えようとする。


「ほ、ほらもう学校に着くからそういうのはまた今度な?」


あえて「放課後」と言わずに「今度」と曖昧にする事で面倒じゃなくなる。我ながら素晴らしい技だ…。


「また放課後ね~」


竜也と別れオレと千尋、菊谷は教室に入ると


「木戸さぁんちょっと話があるんだけどいいかしら?」


気持ち悪い口調でオレの名を呼んだのは『茅ヶ崎 遥』である。千尋とは仲が良いらしく


オレも度々絡まれる。金髪ロングにスカートを短く履いている容姿は明らかに「ギャル」だった。


声をかけられる度に嘔吐感を催す声も何とかして欲しいところだ…。


菊谷はそそくさと席につき本を読み始めていた。逃げる方法も中々賢い…。


「な、何?そう言うのはまた今度にして欲しいんだけど?」


「光アタシも話したい事があるから来てよ」


千尋が耳打ちでしてきたので


「手短に頼みますよ」


と呟いた。


「用件って何?下らないことなら帰るからね」


「この写真は何?」


茅ヶ崎が渡してきた写真は原田と手を繋いでるオレが写っていた……ってオレ!?何で!?


「何でオレが原田と手を繋いでるの…?」


「それはこっちのセリフだよ!アタイの海斗を奪うな!」


「アタイのって付き合ってないだろ?勝手な妄想してるな…」


「う、…煩い!海斗はアタイのものなの!」


「はいはい…ったく分かったよオレが約束を破ったらメイドにでもなってやるよ」


この時何か嫌な予感がしたが深くは考えないようにした。


二人から解放されて教室に戻った。


結局千尋からは何も聞かなかったな…。メールで聞いてみるか…。


「大丈夫でしたか?」


菊谷が心配そうに聞いてきたので


「まぁ…一応大丈夫」


「「一応」ですか…まぁ怪我とかしていなければ大丈夫ですね」


菊谷がホッとため息をついていた。安堵の息なのかなぁと思いながら見ていた。


「はーいHR始めるよー皆席についてね~」


授業はいつも通り退屈であった。


「次は体育ですね…場所はどこでやるんですか?」


「体育館だよ。まぁオレには関係無いな…」


「体調良くないんですか?」


菊谷が心配そうに聞いてきたのでオレは


「いや…体育の時は保健室でサボってるから…授業はテストの時以外は出ないしまぁ頑張れ


 分からないことは千尋に聞いておけば良いんじゃないのか? 」


千尋に「頼むぞ」とアイコンタクトを送り保健室に向かった。


ガチャ


「失礼しまーすって玲菜だけか…先生はいないのか?」


保健室で先生からもらった課題をしているのは『植水 玲菜』だ。


生まれつき体が病弱で皆と一緒に授業を受けられないので保健室で先生に貰った課題を


解いていると本人から聞いた。成績だけならオレを遥かに上回っている。


見た目も良く男子の間で密かに人気である。


「また今日も来たんですか…しかも決まって体育の時に限って…成績落ちるよ?」


玲菜がため息をつきながら言ったので


「大丈夫、大丈夫成績は中の中を常に維持してるから…」


「木戸は上を目指そうと思ったことはないの?」


「無いよ。この真ん中の成績を維持しながら卒業できるかって挑戦してるんだよ」


「全く変わった子だね…」とまたもやため息をついて呆れていた。


ガチャリ


「玲菜ちゃん戻ってくるの遅れてごめんね…」


保健室の医務「牛乳先生」である。


「何でまたサボってるの?先生に言うよ?」


「煩い…牛乳」


「ぎゅ、牛乳!?私は『倉林 未流九』っていう名前があるんだよ?」


「ミルクだから牛乳って呼んでるんじゃん…意外とネーミングセンスがいいと思うけどなぁ」


玲菜も小さく頷いていた。


「ちゃんと名前を呼ばないなら保健室の入室を禁止にするよ?」


「おっとそれだけは勘弁してほしいな…わかったよミルミル先生」


先生はむぅと頬を膨らませていた。子供のような表情みたいで笑いそうになった。


「次の授業にはちゃんと出るんだよ?」


「はーいミルミル先生」


ガチャリと保健室のドアを開け教室に向かった。

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