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3話

――『10年前』――


「おかーさん早く早く~」


「はいはい早く行きますよ~」


「おかーさん後ろに自動車が!」


「え?」


ドシャッ


目の前で頭から血を流して倒れていたのはオレの母だった。あの時はまだ自分の事を「私」


と呼んでいた。


母は一命を取り留めた物の記憶喪失になってしまい。病院で面会をした時も


「おかーさん大丈夫?痛くない?」


「あなた誰?私は子供なんて産んだ事も無いよ。あなたの顔なんて見たことも無いよ。


出て行ってよ!院長さんが私を救ったの!あなたは面白半分で見に来たんでしょ!?


二度と来ないで!」


母にそう言われた瞬間病室を出た。帰り道は涙が止まらなかった。


それからは今までの明るい性格を封印して真逆の性格になった。


ピピピピ――


アラーム音で起きケータイをたぐり寄せるとケータイは鳴っておらずピロがアラーム音の


真似をしていた。


「あっ!起きた。やっぱりこれが最適なんだ~」


「うるさいアホ鳥・・・と言いたい所だけど今回は丁度良い所で起こしてくれたから許す」


「もしかしてまたあの夢を見たの?もう忘れなよ・・・」


あの夢続きは母親が院長と結婚しオレの事を忘れて別の家庭を築いている。


「あぁ・・・そうだな」


着替えて下の階に下りた。


「おはようございます」


「あら?休日なのに珍しいね。雨でも降るんじゃないの?」


叔母さんが不思議がるのも当然だと思う。普段は正午過ぎに起きるのだから。


「いや・・・人間生活を振り返ろうと思ってね・・・」


叔母さんが不思議そうな目で見てきたので慌てて目を伏せた


「あっ!もしかして囲君とデート?お盛んだね~」


「叔母さん詰まらない冗談はやめて下さいよ」


「じゃあ誰の所に行くの?」


何で出かける前提で聴くのだろうか・・・。


とりあえず原田の家に行くか・・・。暇だし菊谷にも聞きたい事があるし


「原田の家に行くんだけど・・・」


「原田?あぁ近所の本屋の店長の息子?友達なの?」


「友達と言うか・・・同じ学校なんだけど・・・」


叔母さんは驚いた表情で


「へぇ~あの子愛想が良いしありがとうって伝えといて」


「いつか伝えとくよ~」と言い自室に戻った。


クローゼットから前買った赤のフード付きパーカーと履き慣れているジーンズを履いた。


飯は原田の所で食べればいいか・・・。


「いってきます。と言っても叔母さんはテレビ見ているだろうから気付かないか・・・」


 

「用事って何だ?」


オレは原田の家でパフェを食べていた。


「用事?えっと何だっけな~とりあえずパフェのおかわりある?」


「ん。了解」


「確かに凄い美味いね~図書館に喫茶店作れば儲かるんじゃない?」


「無理だよ。てか先生食べ過ぎると太りますよ?」


先生はムッとしていた。でも先生は太っていなかった。やはり胸に栄養が往っているのか。


「ていうか菊谷はどこに行ったんだ?」


「収録に行ってるみたいだよ~」


仕事か・・・中学生なのに大変だな・・・。


「ほい。食べ過ぎると牛になるから気を付けろよ?」


原田はそういうと先生を見て鼻で笑った。


「海君?そういうのは失礼だよ。だから彼女が出来ないんだよ?」


「家から追い出しますよ?」


「ごめん許してへぺろ?」


キモい・・・。食欲が失せそう・・・。


「話が脱線したが用事って何だ?」


「あぁ。『田宮沙羅』って知ってるか?」


「田宮沙羅。ゲー研部の紅一点であり卯月悠樹との恋愛疑惑もある。他の情報については


この資料を見ておいて」


原田が分厚い資料を取り出してオレに渡してきた。


「よくこんな情報集められるな・・・」


「ゲー研部の仲間なんだし知っていて当たり前だろ?」


先生は住所欄を凝視していた。この人追い出された時用に移動先を見ているな・・・。


「ソイツがどうかしたのか?面白い情報があったら教えてくれ」


鬼気迫る様な表情で聞かれても困るんだよな・・・。


「『ストーカー被害があるようだから何とかしてくれ~』だとか言ってたから


何とかしておいてくれ。じゃ用事はこれだけだからじゃ~ね」


「じゃ~ねじゃないよお前も付いて来い」


「何で?一人で行けばいいんじゃないのか?面倒だしオレはパスしたいんだけど・・・」


コイツの魂胆は分かっている尾行に付いて来させてオレの情報を根堀り葉堀り聞いてくるに


違いない。


「お前といた方がカモフラージュになるから。来てくれるよな?」


「あぁ何だ。そんな事か…。分かったよ行ってやるよ」


何か引っ掛かるがとりあえず付いて行くか…。


「何で場所まで分かってるんだ?」


「企業秘密・・・聞きたいなら情報を提供してからだ」


面倒臭い奴だな・・・。とりあえずストーカー犯を捕まえれば問題ないのか・・・。


田宮は買い物帰りなのか手に紙袋を沢山下げている。


「へぇ…インドアなイメージあったけどオシャレとかに気を遣ってんだ…」


原田は女を何だと思ってんだろう…。


「あっ!あの男だろ?」


「ん?あぁそうだな…あの角を曲がって5秒数えたら追いかけるぞ!」


「了解…ってかあの容姿でストーカーって変わってるな…」


「まぁそうだな…とりあえず捕まえるぞ」


「分かったよ…ったく今日は家で引き篭っておけばよかったな…」


ストーカーと呼んでいる男の容姿はカジュアルな服装にヘッドホンを装着している。


「喰らえ!【秘技:飛び膝蹴り】」


原田がストーカーに飛び膝蹴りを当てた。


「ぐわぁぁぁぁ・・・・・・・――」


男は気を失った。声に驚いたのか田宮が振り返った。


「原田君・・・・・なの?何でいるの?てか何しているの?」


原田は気を失っている男に何処から持ってきたのかも分からない手錠を掛けていた。


確かに「何してるの?」って言われても不思議じゃない状態だ。


おまけに同じ部員で更に目付きの悪い少女――って自分の事はいいか・・・。


「えっ・・・・と前にストーカーされているって言っていましてよね?田宮先輩」


「まぁ・・・・・そうですけど・・・ここまで強引にやられるますとねぇ・・・・凄く気の毒に

見えてきてしまって・・・・・・」


結果オーライって事を言いたいのかな?


それにしても散々な一日だった・・・・。


明日は学校があるし遅刻しないように早めに帰って寝るか・・・・・・。

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