青空を守れ、スクランブル発進せよ。
「上空を未確認機を発見。
各機発進せよ」
『了解』
『ラジャー』
2機がスクランブル発進する。
これまで何度も領空を侵犯されてきた。
だから、こちらも2機配備した。
でも、予算が少ない。
2機が精いっぱいだった。
「あと2分か」
未確認機がこのまま進むと・・・
だが、衝突は避けなければならない。
もし、衝突したなら大問題に発達する。
断固たる態度を取りたいが、損害は請求できるとは限らなかった。
未確認機が視界に入ってきた。
やはり、そうだ。
無人機だった。
警告しても無駄。
体を張るしかなかった。
2機は正面から未確認機を待ち受ける。
未確認機は速度を落とした。
そして、進路を大きく右に変えた。
2機のドローンはそれを見守った。
ラーテルのマークが入った宅配会社のドローンは、
重そうな荷物を抱え、恨めしそうに迂回する。
「ミッション成功。
各機帰還せよ」
俺はドローン指示した。
『了解』
『ラジャー』
ドローンは静かに充電基地に接着した。
映像が流れ終えると、一人の男が現れた。
「音声で簡単操作の、人工知能搭載ドローン、いかがですか。
今なら1機200万円のところを2機で300万円。
この防空ドローンがあれば、宅配用ドローンの上空通過を防ぐことができます。
すでに電話、ネット注文が急増しています。
限定200台。
そして、なんと今から30分に限り送料無料。
すぐにご連絡を」
2030年、ドローンによる配達が可能となった。
家屋から上空10M以上は自由航行。
だが、国民の多くは反対した。
配達用ドローンに紛れ、盗撮用のドローンが侵入してくるかもしれない。
しかし、政府は免許制により排除できると、「
反対を押し切り、法案を可決したのだった。
強引な法案可決に野党と一部市民団体は反対したが、
日本経済を支えるためにドローンを基幹産業にするしかないのも事実だった。
こうした結果、敷地防空用ドローンが誕生したのだった。