Under The Rainbow!!
こんにちは!ワセリン太郎です!突然ですが皆様”虹”はお好きですか?僕は大好きです!雨上がりの空に掛かる虹、素敵ですよね!
かねてより”虹”をタイトルに入れたお話を書いてみたかったので、今回願いが叶ってとてもハッピーな気持ちになりました!
それでは、”虹の物語”の開幕です!そしてお食事中の方はそのままそっとページを閉じてくださいね!!
遠く見張り台から、阿鼻叫喚の地獄と化したヴェストラ正門前の広場を凝視するアホの子二人。どうやら増幅器からのウン〇コ付きパンツの射出は打ち止めとなった様ではあるのだが……沢山の住民が集結していた広場はというと、それはまあ、大変な状況になっている。
「と、止まったのは良いが……何かあっちの広場が大変な事になっているな!いや、本当に危なかった!」
「うん、ホント危なかったよな!」
「危なかった」というのは”ギリギリ大丈夫だった場合”に使う台詞であり、当然この場合適切ではない。広場では今尚、住民達が”茶色く染まった恐ろしい数のパンツの山”から命からがら脱出している最中なのだ。
落ち着きを取り戻し、大きく深呼吸したレアがミストと顔を見合わせて言った。
「ミスト!少々想定外の事態になったが……しかし”我々の緻密な作戦”は概ね順調に進行しているぞ!さて、次はどうしよっかな!」
「だよな!アタシもいい感じだと思う!よし姉さん、次はどーする?」
”作戦は順調に進行している”のではなかったのか?『さて次はどうしようか?』ではない。結局の所、その場その場で後先を考えずに思いついた行動をしているだけのアンポンタンズである。
その時だった……ミストが不思議そうな顔をして、背後にある魔導増幅器を指差したのは。
「なあ、レア姉さん……コレまだ光って振動してるんだけど……?アタシらってさ、パンツの他にも何か入れたっけ?」
言われるままに振り向き、紅く光輝く魔導具を見つめるレア。腕を組み首を傾げる。
「うーん……どうだっけ?他には特に何も入れた記憶はないのだが……?」
大変な”物”を忘れている……そう、最初にバラ撒く予定であった本体だ。
魔導具の説明書には【複数の素材を投入した場合、その投入順番に関わらず”重量の軽い物から複製されて”射出される】との記述がある。
二人の尻を拭いた”ウ〇コ付きのパンツ”は本体よりも重量が軽く、素材も形状も似通っていた為に魔導具から”同じ様な物”と判定されており、結果最初に投入したレアの物、そして次に投入されたミストの物が入れた順に交互に複製されて射出されたのである。
元来この魔導具は天界のノームの工房に常備されていて、物品製造の為の素材や完成した製品自体を複製して数を増やすためのものだ。当然工場で使うのでリングのサイズも複数用意されており、今回レアが借りて来たのは一番小さな物だった。
そして製造ラインで日常的に使用される備品故に稼働の為に消費する神気も少なく、別生産ライン上でも使いやすい様にと”投入口”と”排出口”が異空間通路を間に挟んで別に設定されている。
入口出口と分割されている理由は”手元で入れた素材を遠くの組立ラインへ効率的に輸送する為”だと言えば分かりやすいだろうか。
さらに同時に複数の素材を投入すれば重量ごとに仕分けして時間差で複製して排出、入れた素材等が排出リングよりポコポコとその場に落ちる様に量産されてゆく。それを排出される順にライン上のカーゴで受け取ってゆく仕組みであり、本来は非常に便利な筈の物だった。
しかし今回は状況が違う……他の天界人と比較しても”決して内包された神気が少なくないアホの子二人”が全力でエネルギーを過剰供給。
結果魔導具が暴走、そして限度を超えて複製された”物”が貯蔵タンクの役割を果たす異空間を内部より圧迫し、それが開放と同時にとんでもない圧力で連続射出された……というのが事の真相だった。
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……再び大きく振動し始める魔道具。
「ミ、ミスト!コレさっきのパンツの時も同じ様な動きをしていた気がするのだが……?」
「う、うん……アタシも何かそんな気が……」
一際、大きく振動し始める魔導具――!
ヴヴヴヴヴヴ……ガタガタガタガタガタ――!
「コレ何か危ないぞ!?逃げようミスト!」
「了解!!」
リュックを背負って武器を掴み、見張り塔の螺旋階段を慌てて降りるアホの子二人――!弾かれたように走り出す彼女達の背後で魔導具の振動は徐々に大きくなり……暴走する神気の影響か塔全体がかすかに揺れ始めていた。
出入口の扉を蹴飛ばし脱出したレアとミストは……塔より少し離れた馬屋の前まで走り、振り返って状況を確認する。
ガタガタガタガタガタ――!!震える石積みの塔。「「あわわわわ……」」二人が暫く見守っていると……その振動は終わりを迎え、周囲は静寂を取り戻した。
「こ、怖かったな!」
「うん、塔が壊れるかと思った!でももう大丈夫なんじゃね?ガタガタいわなくなったし……」
「うむ!では戻って魔導具を回収しに行こうか!」
レアがそう言い、二人で塔の最上部を見上げた時だった。
バシュッ――!塔の上から何か小さな塊がヴェストラの正門方向へと飛んでいったのだ。その軌道の通り過ぎた後には……何かの飛沫だろうか?サッと空に小さな虹が掛かった。
一瞬レアは”今、飛んで行ったのは一体何だろう?”と思ったが、流石に地面から監視塔の最上部は高く……彼女達の位置からそれを確認するのは不可能に近い。超遠視のアイリスがこの場に居れば、その限りではないのだろうが。
虹を見たミストが屈託のない笑顔で歓声を上げる。
「おー!姉さん、虹だぞ!綺麗だな~」
「うむ、風情があるな!」
バシュッ――!また”何か”が正門方向へと飛んだ。ファサッ……軽やかに宙を舞う飛沫に再び虹が掛かる。
「おー、いいね~!アタシ虹は大好き……あれ?」
ニコニコして虹を見ていたミストが急に妙な顔をする。
「なあレア姉さん、今ちょっと思ったんだけどさ、何か……臭くね?」
「奇遇だな!私も今”何か臭い!”と思っていたところなのだ!でもまあ馬屋の前だし、少々臭うのは当たり前だな!」
「ああ、そっか!成程な~」
バシュッ――!バシュッ――!今度は二度連続して飛んでゆく”何か”。量の増えた飛沫が風に乗り、塔の下で見上げる二人の頭上へと降り注ぐ……大きな虹が快晴の空へと美しい絵画の様にアーチを掛けた。
「お~!今度のはすごいな!大きい虹だ」
「うん、綺麗だな~!あ、頭に飛沫が掛かっちゃった」
そう言いながら自分の頭へと降り注いだ”謎の飛沫”を手で払うミスト。
「あれ……何だこれ?何かネッチョリする……?」
サラリとしていた筈の茶色の髪が……その手にベトリと絡みつく。水ではこうはならない筈だ。
「ん、そうか?」
言われたレアも己の金髪へと手をやると……確かに少々ベタ付いている。その水分の正体が気になり匂いを嗅いでみるミスト、そして次の瞬間――!
「うわぁぁぁぁ!?く、くっさ――!!くさあぁぁぁぁ!?ね、姉さん!これウ〇コだ!ウン〇コの臭いがする――!!」
「何を訳のわからない事を言っているのだ?くんくん……ミスト、心配ない!違うぞ!これはウ〇ンコではなく”お〇っこの臭い”だ!いや待て、混ざってるかも!」
発狂するミスト!!
「んなモンどっちでも同じじゃん!?ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!まだ降って来るぅぅぅぅ!」
「臭い!臭いな!あっ!口に入ったぞ!」
バシュッ――!バシュッ――!バシュッ――!バシュッ――!次々に正門前広場へと飛んで行く”例のアレ”。その間隔はどんどん狭くなり、密度を増したが故に”茶色”という色素を獲得した飛沫は……霧雨の如く周囲へと降り注いだ。
バッバッバッバッ――!更に勢いを増してゆくその物体。しかし突如その軽快で途切れのない射出音は……急に停止する。
「く、臭っさ!!お、終わった……のか?」
「臭かったな!私は気分が悪くなってきたぞ!」
しかめっ面で鼻をつまむレアと……恐る恐る塔の最上部を伺うミスト。二人共既に足の先までウン汁でベタベタとなっており、周囲には日の光を映し悪臭を放つ黄金の水たまりが出来ていた。
ヴヴヴヴヴヴ……ガタガタガタガタガタ――!
刹那、二人の願いも空しく再び振動を開始する石の塔。
「な、何かヤバくない!?すげー嫌な予感するんだけど!?」
「うむ、奇遇だな!私も今そうじゃないかと考えていたところだ!」
そして次の瞬間。ズドオォォォォォォォォォォン――!!
「ファーーーーーーーーーッ!?」
「うびゃあぁあぁぁぁぁあぁ!?」
目を見開き叫ぶ二人の目の前で……塔の最上部から【太く、大きく、とんでもない”何か”】がダムの決壊を思わせる水飛沫と共に、ヴェストラの市街地目がけて放出されたのだった。ジーザス!!
【この小説について】
※ビニール傘と金属バットは恐らくフィクションです。実在の人物や団体等とは多分一切関係ないと思いたいです。尚、当小説を読まれまして【気分が悪い】または【食欲が失せた】【頭痛がする】等という症状が現れた場合、人間として正常な反応ですので心配ございません。
しかしながら【レアさん奇行の続編を期待するようになった】【読んでいて電車の中で吹き出し恥をかいた】【読んでいる間だけ動悸が激しくなる】【次のウ〇コ及び下半身ネタ回がいつになるのか気になって睡眠が浅い】【下半身がむくむ】【エクスカリバーの購入を検討している】【読了後の血圧が高い】【最近ウ〇コという言葉が愛おしく思えてきた】等の症状が現れた方は誠に残念ながら重症です。速やかに最寄りの優秀なお医者様での受診を(以下略




