続・アホの子達は行く
こんにちは!ワセリン太郎です!本日再びレアさん奇行へのご感想を頂き、感涙を禁じえずに”秘蔵のカップ麺”に手を付けてしまいました!読んで下さる方々の感想やレビューやご指摘……本当にありがたくて嬉しいものです。とてもやる気が湧いてきます!!そしてその”やる気”は向ってはいけない方向へ――!
【本日はみんな大好きウンチのお話です!お食事中の方もご堪能あれ!】
残念ながら本日は”みんなのヒーロー大家さん”が出てきませんが、コメント欄に「大家をもっと出せバカヤロー」とか「大家さんが無茶苦茶する話を書いてほしい!」などなどお気に入りのキャラクターやお気に入りの”大家さん”やお気に入りの”大家”などを教えて頂けると……大家さんの出番が更に増えるかも知れません!
手持ちの魔導具へと神気を注ぎつつ、元ヴェストラの領主の館を目指して通りを歩くアホの子二人。暫く歩くと以前、大家に破壊された状態のままの正門が見えて来た。
正門の柱には【管理地につき無断侵入を禁ず。ロビ領主】との張り紙が。二人はそれを読むことも無くそのまま進み、閉ざされた玄関の扉を叩く。
「たのもー!誰かいるか?いないなら勝手に入らせて貰いまするぞ!」
そう言いながらツナギの背中から聖剣様を抜き取るレア。もう一度バットの先端でゴンゴンと玄関の扉を叩くが……管理地故に当然返事はない。
「うむ、誰もいないな!では仕方がないな!」
そう言ってレアは産業廃棄物を大きく振りかぶり……
「かりばーっ――!かりばーっ――!かりばーっ――!」
バキッ!バキッ!ドゴンッ!幾度も殴打された玄関の扉は無残にも粉砕された。後ろにいるミストを振り向きレアが問う。
「ふう。さてミスト、見張り塔は……館内の何処から行けば良いのだろう?知っているか?」
館の外にあり、同じ敷地内に建つ見張り塔を指差してミストが笑った。
「あははレア姉さん、見張り塔の入口は外みたいだぜ!玄関、全然関係なかったよな!」
顔を見合わせ「はっはっはっ!」と笑う二人。粉々に破壊した玄関はそのままに、塔へと向かう。
「かりばーっ――!」
バキッ――!
簡単に掛けられた小さな錠前だけを破壊すれば済むのにバットで扉ごと粉砕するレア。壊しきれなかった扉部分を蹴飛ばし、見張り塔へと侵入する。
「よし!上へ登ろう」
二人はそのまま螺旋階段を登ると……最上階にある吹き抜けの見張り台へと辿り着いた。
ミストがキョロキョロして落ちている細いロープを発見し、それをレアへと見せる。
「姉さん、コレでいいんじゃね?」
「うむ!それで縛るとしよう!」
「後で回収するから……蝶結びってヤツがいいと思うぜ!レア姉さん蝶結び出来る?」
顎に手を当てて考え込むレア。
「う~む、私はやった事がないな!ミストは出来るか?」
「うんにゃ無理!アレ何かややこしいんだよな~。面倒だしフツ―に結んじゃおうぜ!」
「だな!難しいしな!」
アホである。拾ったロープで見張り台へと魔道具を結び付けた二人は顔を見合わせる。魔導具は鈍い黄金色のまま全く変化が見られない。
「う~む、これはまだ起動していないようだな。注入した神気が足りていないのだろうか?貰ったメモによると……充填完了すると”紅くぼんやりと光る”そうだぞ?」
「そっか~。じゃあ二人で全力でいく?」
二人はぶら下がる魔導具へと手を伸ばし、全力で神気を注ぎ込む。暫くすると黄金のリングはボウッ……と赤い光を帯びてきた。どうやら起動は成功したようだ。
「うむ!こちらは問題ないようだな!メモによると……最終的にここへ戻って来て”この排出側のリング”の起動ダイヤルを回すと稼働するらしいな!」
フムフムと頷いたミストが頭の上にある大きな鐘を見上げる。
「んじゃ、戻って来てからこの鐘を鳴らした後、起動ダイヤルを回せばいいんだよな?あれ?逆だっけ?順番的に起動してから鐘鳴らす?ま、どっちでもいいや!」
レアも満足気に頷くと、塔の下へと視線をやった。
「うむ!どっちでもいいな!では次は……トイレを探そう!」
不思議そうな顔のミスト。
「え……?何でトイレ?」
「ふふふ……言っただろう?私に良い考えがあると!」
「おっけ~!何か良くわからないけど、さっさと次行こうぜ!」
鼻歌交じりに塔の階段を下ったアホの子二人は、そう経たずに馬屋の隣にある守衛用の厠を発見した。扉を開けて騒ぐミスト。
「うわ!くっさ!これアレじゃん!汲み取り式ってヤツじゃん!?汚ったな……今時シャワートイレくらい付けとけよな!」
中世風の世界で無茶を言う子である。
「うむ、汚いな!しかし贅沢を言ってもいられないのだ、さてやるか……」
再び二人で”吸入側の魔道具”へと神気を注ぐ。そしてそれが紅い光を帯びて来ると……起動する。
レアがそれの稼働用のダイヤルを回し、便器の穴へと設置した。リングはスッポリと穴に嵌る。
「おお!ちゃんと下へ落ちずに留まっているぞ!完璧だな!」
レアの突然の奇行を見てビビるミスト。
「ちょ!?レア姉さん!?汚ったな!ソレどーすんのさ?もう回収できねーじゃん!」
「フッ……ミストは”三秒ルール”というのを知らないのか?勉強不足だな!」
もう既に三十秒は経過している。そう言い放ったレアは地面にリュックを降ろすと……突然ツナギを脱いで膝下まで降ろし、下着姿になるとそのままトイレへと入って行った。呆然とするミスト。
「姉さん……一体何する気だ!?」
不思議そうな顔で彼女の顔を見るレア。
「何って……ウンコをするに決まっているだろう?私が終わったらミスト、お前もするのだぞ?”物は多い方が良いに決まっている”しな!」
ギィィィィィ……バタン!閉じられる厠の扉。馬屋の前で立ち尽くすミスト……
「マジかよ……」
暫くすると薄い木の扉の向こうから「う~ん、う~ん」と呻き声が聞こえてくる。なかなか思うように”出ない”様だ。しかし次の瞬間……
「おのれ強情なヤツめ!えくす!!かりばーーっ!!」
ブッ!ブボッ――!ブッ!ボボフッ!!
とんでもない音が周囲に鳴り響いた。表情が曇るミスト。
「うげ……マジでアタシもやるのかよ!?」
それから待つこと数分、スッキリした顔のレアが厠から現れた。
「よし!次はミストの番だぞ!」
「ううっ、もうマジでお嫁に行けねぇよ……」
レアに促されるまま、暗い表情で厠の扉の奥へと消えて行くミスト。暫く経つと……
ブッ!ブビッ!ヴィヴィッ――!ビボッ!!
再び周囲に汚い音が響く。扉の奥からミストの力無い声がした。
「うぁぁぁぁぁヤバ……今日ちょっと柔らかいかも……」
もはや乙女の会話ではない。そうしてポットントイレにしゃがんでいたミストであったが……”ある重大な事”に気付いてしまった。突如大声を出し、厠の中で騒ぐ。
「ちょ!?姉さん!紙!紙は!?紙が無いんだけど!?あんたコレどーしたの?どーやって拭いたのさ!?」
短期間で日本の生活へと慣れてしまった彼女は「トイレにはトイレットペーパーが置いてあって当然」……そう刷り込まれてしまっていたのだ!
言葉を失う彼女、外でレアが鼻をほじりながら気の無い返事をする。
「ああ、なんだ紙か。私も終わってから紙が無いのに気付いたのでな……パンツを脱いでそれで拭いたぞ?」
「マジかよ――!?ううっ、今日アタシお気に入りのヤツ履いて来たのに……」
泣く泣くレアに倣うミスト。何とかウン〇を拭きとった彼女は「うえ、汚ね!」とそのパンツを厠の穴へと投げ棄てた。
絶賛稼働中の魔導具へと吸い込まれ、消えて行くパンツ。これが後に起きる”災厄”に”禍々しい華”を添える事となろうとは……
この時の彼女達が気付く由もなかった。




