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最近流行りの

こんにちは!ワセリン太郎です!熱中症になってしまいました!

 「はい……はい……いえ……ご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした。はい、重々注意しておきますので……はい……では失礼致します……」


 俺は神丘市警察署の横崎署長に”レアとミストのパトカーとコンビニ破壊の件の謝罪”の電話をし終えると、大きくため息を吐いた。後ろには口を尖らせたまま床に正座させられている元凶の二人組。


「あのさぁ、とりあえずパトカーだけじゃなくてコンビニも破壊しちゃってる訳だし、これから署長が神様と二人で”なかった事”にしてきてくれるって。ホントいい加減にしろよなお前達」


 パトカーのキーを付けっぱなしにしてコンビニ内に入ったおまわりさんにも落ち度はあるとはいえ、普通は勝手に「ちょっと運転してみよう」とはならない。

 しかしキーの付けっぱなしに関しては真のド田舎とは案外こんなもんだったりする。ハイソな都会っ子達にはにわかに信じがたいであろうが、ここ神丘市には地区によっては外出時に玄関の鍵すらせずに出ていくお宅も存在したりするのだ。

 

 そしてまあ当然ではあるがコンビニの防犯カメラには……嬉々としてパトカーに乗り込むアホ二人組の姿がバッチリと写っていたそうな。口を尖らせたままレアが答える。


「あのパトカーは一度運転した事があったから大丈夫だと思ったのだ!次こそはきっと大丈夫だぞ!私はエリートだからな!」


「レアお前、前回のは交番にパトカー突っ込ませただけだろ!ああいうのは運転って言わないんだよ……もういいや、疲れてきた。とりあえずお前ら車は絶対禁止な!」



 横から反論するようにミストが口を挟む。



「でもさ、太郎。レア姉さん少しだけだけど運転したんだぜ!すげーよな!アタシもいつか……」


「ダメ、絶対禁止!!」


 未だに未練がましくブーブーと文句を言う二人を放置して俺はアリシアさんの方を向き「とりあえずお咎めなしで済みました」と伝えると、顔から血の気が引いていた彼女はホッとしたように大きく息を吐いた。


 いや、本来はお咎めあるべき事態なのだが……以前のレアによる”警察署襲撃”の件といい、またおまわりさん達は苦虫を噛み潰したような表情になっているのだろうと思うと少々心が痛い。

 

 神様もとんだとばっちりだが……あの神様(ジイサマ)、コイツらにはとことん甘いしなぁ。もういいや、アホ共は放っておこう。俺は気を取り直して先程軽く挨拶を交わしたばかりの竜族の少女、アイリに声を掛けた。


「アイリちゃん……って呼んでもいいのかな?いきなり連れてきちゃってごめんね。とりあえず暫くこちらに居てもらう事になっちゃったけど……あの、悪いようにはならないと思うから安心してね?」


 彼女はフルフルと首を振り、少しおどおどしながら可愛らしい仕草で答えてくれた。こちらを怖がってはいない様で少しだけ安心する。


「いえ、あの……アリシアさんもお姉ちゃんみたいで優しいですし、こちらの事も色々と教えてくれてますし……大丈夫です!それにあの……見たことの無いものばかりですごく楽しいですし、えっと、これから宜しくお願いします」


 なんだ天使か。どうやら天使(アリシア)さんに天使(いもうと)が出来たようだ。いつかお義兄(にい)ちゃんと呼んでもらおうと俺は心に誓い、遠く未来へ想いを馳せた。


 そうしているとミストがテレビのリモコンのスイッチを入れる。うん、今まで怒られていたのにコイツも全く反省の色が見えない。空気を読んでアイリちゃんの方があたふたしており、アリシアさんは苦笑い。

 現世を監視、保護するという天界人より、急に別の世界へ連れてこられた小さな少女の方が常識を持っていそうで……俺は涙が出そうになる。


 そうして俺が諦め半分で床に座って出されたお茶に口をつけていると、テレビを見ていたレアが騒ぎ出したのだ。


「おい、太郎!これは……みんな一体何をしているのだ??」


 ふと俺も興味を誘われテレビを見ると、そこには昨日だか今日だかに発表されたスマホのゲームに興じる人々の姿があった。そういえば海外でもすごい人気だとかで大きな騒ぎになってたな。


「ああ、これ?スマホのゲームだよ。モンスターキャッチ!とかいうやつだっけ?何か実際に町中に出てスマホのカメラ越しにキャラクターを探して集めるんだったかな?しかし大騒ぎになってんだなぁ……」


 お盆を持ったままのアリシアさんも隣に座ってウンウンと肯定してくる。あっ、アリシアさんスゲーいい匂いがする!俺は悟られない様に大きく深呼吸をした。うわぁい、空気がおいしい!!


 レアは再び視線をテレビに釘付けにしたまま質問してくる。


「おもしろいのか……?」


「さあ?俺あまりゲームとかしないからよくわからないんだけど、まああれだけ騒いでるから面白いんじゃないの?あ、こういうのってエイルさんとか一人で寂しく……やってそうだな」


 俺が返答していると自分のスマホをいじっていたミストが大声を出した。



「レア姉さんあったぜ!これだろ?”モンスターキャッチ!”よし、だうんろーど……っと。アプリ入れ終わったら外に行ってみよーぜ!」


「ミスト、でかした!何かよくわからないけど面白そうだな!よし外へゆくぞ!アリシア、私達は重要な用事が出来たのでこれで失礼する!」


 ミストは日本に来てからまだ日が浅いのに妙なところで馴染むのが早い気がする、この調子で”世間の一般常識”も覚えてくれると助かるのだが……いや、大きな夢を見るのは止めておこう。


 そうこうする内にアプリのインストールと初期設定も終わったようだ。それを見ていてふと思う、うん、悪くない考えだ。またパトカーを奪ったり暴れたりと騒ぎを起こされるのも面倒なので今日はこの”モンスターキャッチ!”のお世話になろう。


 ツナギの背中に金属バットを仕舞って出掛ける準備を始めたレアを見ながら、これで遊ばせておいて暫くは厄介ごとから解放されるといいな……などと考えていると、俺の考えを察したのかアリシアさんが少し笑いながら話しかけてきた。


「私は日本の事をアイリちゃんに色々お勉強してもらわないといけないから……ね?彼女をお外に連れ出すにはもうちょっとだけ早いと思うの。なのでみんなで遊んできてくださいね?」


 俺はアリシアさんにお茶のお礼を言い、少しだけ一緒に行きたそうなアイリちゃんに手を振って先行くアンポンタン達の背中を追いかけた。

お下痢でピーピーシャーシャーでした!!

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