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 こんにちは! ワセリン太郎です! 行く年来る年!! いえ、まだクリスマスでした!!

 ジャケット左手の袖を豪快に捲り、そこに巻かれた腕時計を覗き込むシグルド。それは乙女が身に付けるにしては少々厳つさの過ぎた代物に見える、程良く使い込まれたBURAN社のSTINGRAY。


 独特の強面な存在感を放つ文字盤。しかし、しなやかに鍛え込まれた彼女の腕にそれが似合わないのかと問われると……その辺の何処にでも居そうな軟弱な男性諸氏の場合、その現実から少しだけ目を背けたくなってしまうのかも知れない。


 そして、その目を奪うデザインに興味を引かれたのか、檻から解き放たれたチンパンジーが彼女の肩へとよじ登って楽器ケースにしがみつき、その手元をまじまじと覗き込む。


「ふむ、やはり“彼女”との約束までにはもう少し時間が余るな……」


 そう呟いたシグルドは、肩によじ登った“新しい相棒”の姿をチラリと一瞥してから少しだけ何かを思案し、ウンウンと何度か頷く様な素振りを見せた。


「……ヲキッ?」


「よし、決めたぞ! 我々はこれより下山し、余った時間を有効活用する為、貴様の服を買いに行くとしよう! 確かそう遠くない場所にショッピングモールもあるし、そこへ行けば衣類ぐらい幾らでも販売しているはずだ」


「ヲキッ!!」


「そうかそうか、嬉しいか! なーに心配はいらんさ。これより先は“魔法”を行使し、人間社会における貴様の立場を完璧に正当化してやるのだからな! 喜べ、これでもう二度と檻に戻ることもない!」


 多分、チンパンジーはその辺りの心配事など微塵も考えてはいまい。しかしシグルドの高笑いに興奮したのか、彼は肩の上で嬉しそうに手を叩いて歯を剥き出して見せたのだった。


「よし、それでは行くぞ“相棒(напарник)”!!」


「ヲキッキッキッ──!!」


「ハッハッハッ! そうだ、後で貴様に名前を付けてやらねばな! だがその前に服だな。お前現状、完全にチ◯コ丸出しだからな!!」


「キッキッ!」


 こうして最初の目的地を定めた不穏なコンビは……高らかに笑いながら、悠々と楽し気に城山を下山し始めたのであった。






──ところは変わり──



 レアは、習オバサンの加勢で加速するスケボーの上、先程掴んだ鎖分銅(くさりふんどう)をぶん回してトラックの荷台を勢いよく狙う──!


「このトラックめ、逃がすか──!!」


──ヴォンッッ──


 だがそれはギリギリで空を切り、届かない。


 惜しくもあと数センチ。しかし原動機で加速するトラックは、確実にレアの乗るスケボーを突き放しに掛かる。


「ぬっ!? 駄目か、もう少しなのに!!」


 その時だった。追跡を焦る彼女の瞳に……遠く路上、見慣れた人物の存在が飛び込んで来たのは。




 大きな荷物の下から見え隠れする、緑色のジャージ。そう、それは超大型のバーベキューセットを胸に抱え、あまり前が見えない様子でフラフラと歩き来るアホの子二号(ミスト)の姿である。


「あーもー、めんどくさ! 何でホムセンって、メンキョが無いと運搬用の軽トラ貸してくんないのかなー。だいたいさー、三十分無料貸し出しの車なんだし、アタシ的には一時間以内なら別にメンキョとか要らないと思うんだけどなー」


 彼女は一瞬立ち止まり、『よっこらしょ!』とバーベキューセットを抱え直す。


「あーあ、次にホムセンで大物買う時は、大家(しげる)か源爺にメンキョ貸して貰って行こっかなー。そしたら店も、余裕で軽トラ貸し出すっしよ。てか箱デカ過ぎ、めっちゃ前見にくいし!」


 ブツブツとぼやきながら歩くミストに気付き、すかさず大声で叫ぶレア。


「おーいミスト! 私だ! こっち見ろ!!」


 ミストは何処からか名を呼ばれて声の主を探し、前方より猛然と迫り来るトラックを不思議そうに凝視した。それから一瞬の間を置き、その後方から凄まじい勢いで追走するスケボー女の存在を確認したのであった。


「?? あっ、レア姐さん? てか何やってんだあれ??」


 再び叫ぶレア。


「ミストよ! そのトラックが精肉してテロドスがピンクスライムで、ハンバーグなのかナゲットなのかわからなくなってしまったのだ! あと、トビーの尻からヤバイ変な音がしたのだぞ! あと、何か知らないメガネのオッサンも!!」


「???」


 まだ距離が遠く、あまり聞こえていない。意味が全くわからず、バーベキューセットを地面に降ろして首を傾げるミスト。


 そうする内に、彼女の眼前までトラックが迫って来た。


「ミスト、とにかく私を“加速させる”のだ! 絶対にソイツを捕まえる! もしかすると、その運転手の家に犬が居るかも知れんからな──!!」


 何か納得した様子のアホの子二号。当然、話の内容は微塵も理解していない。


「良くわかんないけど、おっけー!!」


 全く状況は理解できないが、何も考えずに行動に移すのが彼女達の習性。


 レアの“トラックを捕まえる”という意思だけは理解した様子のミストは……地面へ降ろしたバーベキューセットを小脇に避けると、両手を開きバランスを取って右膝を突き上げ、片脚立ちでレアの到着を待ち構えた。


 その緑のジャージ姿は、カンフー少女か何かにしか見えない。


 道の脇で奇妙なポーズを取るミスト。トラックの運転手はそれをチラリと一瞥しつつ、特に気にした様子もなくシフトを一段上げていった。


 一瞬遅れ、レアが到着する。


「おっしゃ姐さん! “足”、合わせていくぜ──!!」


 スケボーの上、驚異的なバランスで片脚立ちを始めるレア。


「いくぞミスト!」


 直後、すれ違いざまに足裏を張り合わせ、二人分の全力で放たれる回し蹴り──!!


「いっけぇぇぇぇ──!!」


――バシュッ!!


 ミストの蹴り足に押され、再びスケボーが驚異的な加速を見せ始める。相当に強い風圧を受け、レアの被っていたウー〇ーイーツの帽子が宙を舞った。


 だが……一瞬先にシフトアップしたトラックのエンジンがパワーバンドに入り、軽やかな音を立て始めてゆく。


 恐らく、これが最後のチャンス。



 全力で鎖分銅を振り回し、遠心力をたっぷりとかけるレア。狙うは……トラックの荷台に突き出た、紐掛け用の金属棒だ。あれに鎖が引っかかりさえすれば、トラックの運転手に逃げ場はない。


「ゆくぞ!!」


──ブォォォォンッ──


 勢いよくレアの腕から射出される鎖分銅!


 しかし、それは無常にも一瞬だけ遅れ……後数センチ、トラックの荷台に届かな…………


………………


「くっ、届けぇぇぇぇぇぇっ──!!」


 刹那、レアは念じた。そう、焦りと共に強く。


 とにかく、その時の彼女は単純に『鎖よ、届け』と“強く、強く念じた”のである。


 それは何故か?


 つまりそれは単純な話、分銅を投げた彼女自身が『トラックへ鎖が届かない事』を何となく、直感的に理解していたからである。『あっ! これ、多分届かないな……』と。


 この女、凄まじいアホであるが、基本的に身体能力“だけ”は非常に高く、まあ……戦闘で敵の攻撃などを見切ったりする性質上、当然だが空間把握等の能力は低くはない。いや、逆に恐ろしく高いと言っても差し支えはないだろう。


 そしてその“判断通り”、投げられた鎖は……ギリギリあと少し、荷台に届かなかった筈なのである。そう、その筈だった。


 もしこれが、ヒルドやアイリス等の常識人であったのなら、事の失敗を理解した時点で、すぐに別の追跡手段を模索していたであろう。


 だが身体能力が如何に優れていようと阿呆は阿呆。レアがそう簡単に効率の良さそうな頭脳的追跡方法へと目移りする筈も無く、まるで猟犬か何かの如く目の前の獲物を必死で追い掛ける事しか、彼女のアタマの中に選択肢は存在しなかったのである。


 そして……その“強く、強く念じた”瞬間。


──ウオォォォォン──


 ある不思議な現象が起こったのだった。


 突然レアの頭蓋の中へ“耳慣れない重い音”が響き、それが一瞬だけ彼女の知覚を大きく狂わせる。


(……??)


 まるで何かの呼び掛けへと応じる様に……人知れずレアの背中で輝き、微かに共振し始める金属バット。


──奇妙な、知らない感覚──


「……ぬっ!?」


 彼女がふと気付くと……世界から喧騒が失われ、まるで独り、自分以外の誰もが存在しない静寂の中へと放り出された様な激しい違和感。加えて身体の全ての動作が鈍重であり、その何もかもが思い通りに意識へと付いて来ない。


(な、何なのだ?? これは)


 一瞬焦るが、良く前を見ると……


(あっ!? 何か知らんけどトラックも動きが鈍いぞ??)


 それを見たレアは『しめた!』と思い、空中で“伸びきる前の鎖”を全力で繰り寄せ、それからこちらも全く言うことを聞かない己の身体へと無理矢理に鞭を入れ……とにかくスケボーを一歩だけでも前へ進めようと、力任せに地面を蹴りつけたのだった。


(うっ!? これは何なのだ? ぬかるんだみたいに脚が重いぞ。まるで田んぼに入って、味噌汁用のジャンボタニシを獲る時みたいだ……)


 確かにレアの身体は、その手足の末端に至るまで全てが鉛の様に重く、鈍い。しかし不思議な事にその周囲の世界の流れが……まるで彼女の倍程には重苦しいのだと訴えている様にしか思えない、とにかく全く説明のつかぬ異常な光景がそこへ広がっていたのである。


──ぐぐっ──!!


 強烈な向かい風を受けた様な感覚の中、スケボーの車輪が全ての世界を置き去りにしてズズイと前へ進む。


(おおっ!? 何か知らんけど、これならいける! トラックに追いつけるぞ!)


 ぶうぉん、ぶうぉぉん、ぶうぉぉぉん!


 異様に動きの遅い鎖を必死に振り回し、これで最後だ! とばかりに前方へと投げつけるレア──!!


「ゆくぞ! えくす!! かりばぁぁぁぁぁぁ──!!!」


 そう彼女が再び鎖を射出した瞬間。


──パァンッ!!


 突然、乾いた音と共にレアの意識へ色彩が戻り、トラックが猛然と加速し始める!!


「いっけぇぇぇ! レア姐さん、誰だか知らんけどソイツ、やっちまえ!!」


 後方からは、ピョコピョコと飛び跳ねるミストの声援。彼女はレアから舞い上がったウー〇ーの帽子を空中でキャッチし、まるで少年のようにツバを逆さにググッと被って拳を振り上げた。


 空を切る鎖の音。それは逃げ切ろうと加速するトラックの荷台へと確実に追いすがる!!


 その直後。

 

──ガキインッ! ジャラジャラジャラッ!!


 少しの余裕を持って、紐掛け用の突起へと鎖が巻き付いたのである。


「よしっ、捕まえた! トラックめ、これでもう逃げられんぞ! さあ、貴様の家で飼っている飼い犬を差し出すがよい! おいしいバーベキューにしてやる! あと大型犬だといいな! ミスト、お前はアパートに戻って待っていろ!」


 両手をブンブン振りながら飛び跳ねるアホの子二号。


「おっけー! 姐さん、アタシとりあえず、太郎の部屋で“炭の火起こし”練習しとくから!」


 アホの手による、古い木造アパート内部での炭を用いた火起こし。冗談ではない、アパート自体が火にくべられた薪も同然だ。


 レアは一瞬、(さっきの奇妙な現象は何だったのだ??)と思ったのだが……何だか良くわからないし、あまり難しい事は頭が痛くなりそうだったので、深く考えるのを止めにした。


「よしミスト、そっちは任せた!」


 トラックの加速に引かれ、火花を散らし始めるスケボーの車輪。


 レアは着実に鎖を手繰り寄せ、ゆっくりと荷台へと近付いてゆく……


 バックミラーでチラリと確認し、震え上がるトラックの運転手。


「くそっ、何なんだよこの女!? マジでイカレてやがる!!」


 まさに仰る通りである。


「はっはっはっ! さあ運転手よ、観念するがいい! これよりこのレア様が貴様を取り押さえ、成敗して……」


 その時だった。長い直線道路がようやく終わりを迎え、遠く視線の先に大きな丁字路が見えて来たのは。


 当然、そこには信号機が存在する。そして今現在の信号表示の色は“赤”。


(やべえぞ。このまま信号で停まると、間違いなくこのキチ〇イ女に襲われる……)


 焦る運転手は、青にタイミングを合わせる為にトラックの速度を落とし、レアが簡単に鎖を手繰り寄せられない様にと対向車の居ない事を良い事に、道幅を一杯使って蛇行運転をし始めたのである。


「危ないぞ! 何をする! 安心安全、ルールを守ってサイクリング! とか商店街のポスターに書いてあったではないか! 貴様、今すぐ停まれ! ぶっとばしてやる!!」


 片腕でしっかりと鎖を掴み、背中から産業廃棄物(キンゾクバット)を抜き放つレア!!


 スケボーが遠心力に引かれて左右へふらつき、路面とこすれて火花を散らすが……当然、この女がその程度で振り落とされる筈もない。


 アホが得物を振りかざすのをミラー越しに確認し、更に焦りを増す運転手。


(嘘だろおい!? てか金属バットどっから出した!? やべえぞ、停まったら間違いなくやられる! あれはキ〇ガイの目だ!!)


 その時、信号が青に変わった。


 ジワリ、レアに遠心力を掛けたままアクセルを踏み、ステアリングを右に切り始める運転手!


(……やるしかねえ)


 “人身事故とひき逃げ”。そういう恐ろしい類の言葉が彼の脳裏をかすめるが……幸い、周囲には他の車も無ければ通行人も居ない。そう、目撃者はいないのだ。


(頼む! これで振り切れてくれぇ!!)


 錯乱した彼はハンドルを強く切ってアクセルを全開にし、躊躇無く辺りへとタイヤのスキール音を響かせた。


 遠心力で鎖が膨らみ、レアの眼前へ迫り来る歩道の縁石――!! もしあれに激突すれば、当然スケボーの車輪などひとたまりも無いだろう。


「ぬっ! いかん、このままだと転ぶかも知れんぞ!!」


 流石のレアも慌て始めた。


 だがその時。


 丁字路の突き当たりにある酒屋の玄関から……やたらとカラフルでだぼだぼな格好をし、金ネックに帽子を斜めに被った“小さいラッパー風”の出で立ちをした男が、フラリと姿を現したのである。


「あっ、あいつは!!」


 一瞬、彼と遠くのレアとの視線が絡む。


「あっ、レア姐さんだ、ちーっス。てかあの人何やってんの? はァ? スケボー??」


 路側帯へ歩み寄り、手に持った“白杖”ごと袋入りの缶ビールを軽く持ち上げ、遥か遠くから迫り来るレアに挨拶する小さなラッパー。しかし随分と離れた距離でそれが目視可能な彼は、なかなかに“目が良い人物”なのだろう。


 この昼間から気前良くビールを飲もうとしている彼の名はタカヒロ。市内でも有名な非常に胡散臭い“不正〇ポ受給者”の一人であり、所謂“プロ〇民”の類だ。


 そして言うまでもなく、その白杖はまさに、働きたくないが為の“ファッション”。


 人呼んで、“ファッションめ◯らのタカヒロ”……等という、親が聞いたら泣き崩れそうな、最低最悪な渾名を持つハイレベルなロクデナシである。


 この男、普段から白杖で申し訳程度に空中へと“のの字”を描きつつ、片側二車線の道路を軽やかなステップで横断してパチ屋に向かったり、何らかの慰謝料を取ろうと、役所の受付で朝から夕方までゴネている様な姿がしょっちゅう目撃されており、本来そういった補助を本当に必要とするまっとうな人々からすると……まさに“その存在そのものが大きな迷惑”だという、例えるならそう……まるで“動く巨大な寄生生物”の見本の様な男であった。


 ちなみにタカヒロの“特技”は完璧なスロットの目押し。どうやら彼、生まれつきに動体視力だけは“相当に良い”らしい。全くもって、実に立派で大した人物である。


 レアは腰を落として重心を下げ、遠心力に逆らいながら、その男へと大声を上げた。


「タカヒロォォォ! そこを“動くなぁぁぁぁぁ”!!」


「……えっ??」


 ぎゃりぎゃりぎゃりぎゃり!!


 トラックに振り回され、ドリフトしたスケボーが歩道の縁石へと激突する直前。


「許せタカヒロ、後で骨は拾ってやる! 私がもし覚えていたらな!!」


 力強く立ち上がったレアの靴底が、ぐぐっと優しくタカヒロの胸板を捕らえた。


「……は??」


──ズドオンッ!!


 レアの強烈な蹴りがタカヒロの胸部を押し戻し、彼女に“遠心力へと抗う力”を与える──!!


「ふfhれhjふぉwrgれ9jgへr8gは#$%&──!?」


 ゴミ箱を目掛け砲弾の様に飛んでゆくDQNと、真っ二つにヘシ折られ……ゆっくりと宙を舞う“白杖”。そして転がり、泡を撒き散らす缶ビール。


「許せ! 助かったぞ!!」


 タカヒロを蹴り飛ばした事によって縁石との激突を免れたレアは、心の中で黙祷し、自販機のゴミ箱にアタマからズッポシといった彼への感謝を胸に、再び力強く鎖を引き始めたのだった。


「良かったなタカヒロ、ようやく人の役に立てて。聞くところによると、貴様の仕事はパチンコをする事と、ウ〇コを製造する事だけだという。何という事だ! それではまるでパかチンコかウンコだかわからん人生ではないか! だがしかし! たまにはこうして社会の役に立ち、皆へと感謝の気持ちをもって奉仕貢献し、それから手違いで生まれてきた事を心から両親へと謝罪し、その上で心清らかな暮らしを……あっ! おのれこのトラックめ、またスピードを上げたな!?」


 力を込め、着実に鎖を手繰り寄せるアンポンタン。


「うわぁぁぁぁ!? こ、この女! 目の見えない人を何の躊躇もなく蹴り飛ばしやがったぁぁぁ!?」


 運転手は勘違いしているが、正しくは“目の見えない人”などではなく、“目が見えない設定の人(ファッションめ◯ら)”の間違いであり、単なる“不正受給者(さぎし)”である。


「ハッハッハッ、気にするな! よくわからんが、タカヒロはサナダムシの王様みたいな存在らしいからな! さあ、そんなことより覚悟しろ、運転手よ!!」


 こうしてパニックに陥った運転手を余所に……レアは“高崎興業”と書かれたトラックの荷台へゆっくりと手を掛け、ニヤリと笑ってよじ登り始めたのであった。

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