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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
62/110

◇8-2◇

 遥と幸一、そして田中の3人は、慣れた手付きでゴーグルをつけると、即座にそれぞれ別のポインタを発見し、指差した。このスピードに、試験監督は驚きのあまり声もでず、ただ見ているだけだった。前のチームでは皆約20秒ほどでようやく1つ目を発見していたのだが、3人はそれを遥かに上回る速度で1つ目を発見した。たった3秒の事だった。

 ふと遥かの目が舞台の下に行く。すると、今までなかった緊張がドッと押し寄せてきた。生徒全員の視線が、3人に集中しているからだ。トップバッターの時はそんなことはなかった。けらけら笑うものやこそこそ話すものもいた。

 だけど今は違う、皆驚きで目を点にしていた。それはやはり遥たちが驚きべき能力を見せ付けたからであろう。遥かとしては恥ずかしいばかりだ。


(ああ、手元が狂うよ~)


 それでも大してスピードは変わらないのだが……。

 それから3分が経つ。いつ我に帰ったのか知らないが、目を点にして呆気にとられていた試験監督の先生が、ホイッスルを長く鳴らし終了を知らせた。その合図と共にポインタの赤点も消えて、遥たち3人はそれぞれゴーグルを外した。

 遥は21個、幸一は20個、田中は18個と、それぞれトップバッターと比べると倍以上の数を見つけた。その所為か試験が終わると見ていたほかの生徒が次々と拍手をし始めて、気付けば拍手喝采となっていた。恥ずかしさのあまり苦笑いになる遥だが、いやな気はしない。どちらかというと清清しい気分だ。これもきっと優のおかげだろう。これなら上のクラスにいけそうだ。

 その肝心の優が、今はいないのだが……。


「AチームC、BチームD、CチームA!」


 遥たちはCチーム。つまり、成績はAということになる。これはこの試験での最高成績で、まぁスピード的に妥当のものであろう。誰もその結果を疑いはしなかった。

 それから、先の2チームが先に舞台上からおり、その後に続いて遥たちも舞台から降りた。別に疲れたわけでもないのだが、幸一がはぁ、とため息をついて床の座るのを見て、遥もため息をついてしまった。


「なんか、終わって力抜けたな~」


「そうだね~」


 いくつかのチームの並ぶ列の最後尾について腰を下ろしてまずでた言葉だが、なんとも怠けたものだった。しかし、ドッと来ていた緊張が一気に無くなったのだから、まぁ仕方ないかもしれないか。田中は一向に口を開こうとしないのだが。

 再びホイッスルの音が第2体育館中に響き渡った。それはまた試験の開始を知らせるもので、遥たちの次の3チームが奮闘していた。ゴーグルをつけてないので生徒達には赤点は視認できないが、それでも試験を受けている生徒の動きを見れば、大体はわかる。そういうものだ。

 今回のチームはトップバッターに比べるとなかなかのもので、遥や幸一などには遠く及ばないが、それでも随分なものだった。もしかしたら、トップバッターのチームが下手だったのかもしれない。


――それからさらに20分。とうとう最後の3チームが索敵を終えて、舞台上からおりてきた。遥たち3人はまた随分と列の前のほうまで来ていて、試験監督の表情なんかがよく伺える。

 理系の先生なのか白衣を着た先生と、眼鏡をかけた黒いパーカーのちょっと悪そうな先生、など、様々な先生がいる。


「それじゃ、索敵はココまでだな。では次は……」


 白衣の先生が次の話を始めた。そして、そんな話の途中、黒いパーカーの男がニヤリと微笑んだのを、遥は見逃さなかった。


「――射撃という名の実戦をやってもらおうか……」


 その言葉は、このときいたどの生徒でも予想外のものだった。それを冗談だと思うものがいれば、事実だと思って頭を抱えるものもいた。遥はどちらかというと……いや、どちらでもない。

 実技試験でなにかが起きる。これは事前にわかっていた事だ。この状況では驚くというよりむしろ、やっとかと、ホッとしていた。いつ来るのかびくびくしているのは、遥は嫌だったからだ。

――射撃という名の実戦――

 コレが危険を伴うのは考えるまでもない。もちろん冗談でもない。それは、遥の見た黒いパーカーの男の不敵な笑みからも明らかだ。彼は何かが起こるのを待ち望んでいたかのように笑っていたのだ。


『それじゃ、これが武器な。弾丸は数限られているから、無駄使いするなよ?』


 体育館中に音声が流れた。さっきまで話していた試験監督の声だが、これは放送室からの音声だ。いきなりの事に舞台上を1度見たが、そこにはもう誰もいはしなかった。

 あるのは、試験用の銃と弱い電磁弾のカートリッジ――触れてもなんら問題のない代物だ。遥が以前触れたような、本物ではない。


「おい相沢、なんかよくわかんねぇけど、アレ早いうちに取っといたほうがいいよな?」


 幸一の言葉に少し戸惑いながら、遥は辺りを見回した。その時生徒の大半は現状把握ができすに混乱しているだけであった。遥から見て実力的に問題はない人たちなのだが、こうも混乱してはその技術も意味を成さない。


「うん。そうだね、急ごう。田中君も行こう!」


 田中は無言で1つ頷くと、走り出した幸一の後についた。

 武器はできるだけ早く手にとっておく必要があるだろう。これは勝つための必須条件だ。以前遥は優にそう教わっていた。それを実行するときが今訪れたのだ。

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