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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
40/110

◇5-2◇

「――ここまで来ればいいか。……んで、話ってなんだ?」


 しばらく前まで熱々のココアと戯れていた優だったが、カフェテリアを出るのと同時に涼子に捕まり、話があるというので他のメンバーとは別れて移動していた。

 現在地はカフェテリア周辺のやぶのなか。この学校はなにかとやぶやら茂みやらが多いようだ。いつも同じ景色を見ている気がする。


「えっと……」


 涼子が俯きながら口を開く。

 彼女はどこかそわそわしていて、いつかの七日のようにスカートの裾をいじっていた。


「どうしたんだ?」


 話が進みそうにないから、優から逆に声をかけた。

 すると……余計に顔を赤くして黙りこんでしまった。

 これは普通に意味がわからない。


「なぁ、本当にどうしたんだ? 顔赤いぞ、熱でもあるのか?」


 しばらく前にいろいろ勝手なこと言ったばかりで気まずいが、優には目の前の彼女を放っておくことはできない。

 しかし、それでも反応は見せなかった。

 残念ながら、さすがに他のメンバーをこれ以上待たせるわけにもいかない。


「わるいけど、言えないなら無理しなくてもいいから。さっきは勝手なこと言って悪かったな。あまり、関わりたくないんだろ? 早く、行こう」


 言葉が終わると、優はスッと振り返り足を動かし始めた。


「――そんなことない!」


 急に優の歩みが止まった。彼の降られた腕を涼子が掴んだからだ。


「あんたが謝んないでよ……。確かに私は神鳴り殺しなんて嫌いよ。――でも、あんたは嫌いじゃないわ。体はって庇ってくれたんだもの、私が謝る方よ。腕だってまだ痺れてるんでしょ? さっきイチゴパフェ食べてるときも、左手の動きが不自然だったわ……」


「気付いてたのか……」


「当たり前でしょ? 私は今年の一年生代表よ? 甘く見ないで」


 涼子の視線が、すべてを見透かすかのように優を向いていた。その2つの目には、微かに涙が浮かんでいる。


「心配してくれたんだな。ありがとう」


「べ、別にそういう訳じゃないわよ。……ただ、私だけ一方的になんて気にくわないだけよ!」


 優の言葉に対していつもどおり(?)の強気な涼子が、やっと優の目の前に現れた。これでひと安心だろう。


(って、なぜ腕を放さない?)


 涼子の手は、いまだにがっしりと優の腕をつかんでいる。いや、それどころか、がっしりと抱きついてきた。


「お、おい古川さん」


「普通に名前で呼んで」


「りょ、涼子さん……」


「普通に涼子でいいのよ」


 クスリと涼子は微笑む。


「あのこと、誰にも言わないでおくから……」


「あ、あぁ。ありがとう」


「……だから、この事は誰にも内緒ね」


「あ、あぁ」


 俯いてしまって表情は伺えないがきっとまた涙を流しているのか、もしくはただ俯いてあるだけかだろう。

 遥といい、涼子といい、優にとって、あまりいい予感はしなかった。特に、涼子にかんしては……。

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