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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
38/110

◇4-8◇

――学校全体に、新しく放送が流れた。


『――えー、只今第82グループ、ゴールしました。抜けたのは、普通科2Bです。これを持ちまして、新入生歓迎会企画《肝試し》を終了します。以上、館内連絡でした――』


 耳にうざったいほどよく響く、甲高い機械音声だ。なぜ肉声アナウンスでないのかと学校に抗議したいくらいに。


「おい、ようやく終わったようだぞ?」


 第2体育館の裏、人の通行がないため雑草やら雑木やらがゴウゴウと生い茂る。そんななかに、男たちはいた。

 たったいま口を開いた黒いフードを被った男は、そのすぐ近くにいる白衣の男に言った。


「ああ。そうだな。――んで、どうだった? ヤツの動きは……」


「ああ、中々のものだな。あれは苦労すると思うぜ? ある意味、アイツをあのポイントに誘導するのも、七日だっけか? あの女がいないと難しかったかもな」


「……そうか」


 なにか深刻な問題でもあるのか、白衣の男は顔をしかめると顎の下に手をあて考え込む。


「まぁ、そう悩むな。あんたには《アレ》があんだろ?」


「まぁ、そうだな。考えすぎはよくない。――尾崎のことはオレが本部に連絡しておこう」


 尾崎は影鴉レイヴンのメンバー。――この2人もまた、影鴉レイヴンのメンバーだ。

 彼らはつい先程まで第2体育館にいて、ある少年の監視をしていた。

 その少年が、神田優である。


「それはそうとよう、まさかあんなガキが担当することになるとはな。いったいどこで知ったんだ?」


 軽く両腕を広げる動きで首を左右に降り、呆れたような口調でフードの男が言った。

 それに対して白衣の男は、少し落ち着いた口調で答える。


「あのガキは、オレと同じ被災者なんだ。オレの体質は、お前も知ってるだろう? 異常なまでに電磁エネルギー視てしまう(・・・・・)目。――これで、電磁流兵器を探知したんだ」


「なるほど、あんたも辛いね」


 知ったかぶりだが、何となくという感じで同情の声をかける。そんな意図もわかっている白衣の男は、ただ苦笑するだけであった。


「オレは、被災者でありながらABNなんざに所属してるあいつが気に喰わないんだ」


 茂みのなかに、彼ら以外、誰もいない。それはこの辺りに元々人が寄り付こうとしないのもあるが、なにより彼らの手によるものが大きいだろう。

 いま、茂みの周辺には、中圧のレミール電磁波による結界のようなものが張られている。

 つまり、ここに来るものはみな軽いショック症状を起こしてたどり着けないのだ。


「あんたも酷いねえ」


「将来のため――教育のためですよ?」


 切り株に腰を下ろし、不適な笑みで、白衣の男は言った。


「おお。怖い」


「あんまり人をからかうもんじゃないぞ?」


「へいへい」


 これで、第2体育館裏の密会も終わる。

 白衣の男はただ、眼鏡を軽くあげてニヤリと口を歪めるのみだった。

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