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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
3/110

◇Op-1◇

――小刻みに、整った呼吸の音が木陰に響く。

 町外れの森林を駆ける2つの足音は、どことなく木々の間をこだましていた。

 そんな中、とある1本の木のもとで、淡い閃光がほとばしる。


『君は次から別の地区に移ってもらうよ。いいね?』


 森を駆ける少年の頭のなかに過ぎるのは、つい先日に受けた宣告だ。

 ここ清水町において唯一無二の《神鳴り殺し》であるこの少年は、通っている中学で正体がばれてしまい、担当地区を移動することになってしまったのだ。

 まさにこれがこの町での最後の仕事、そんなときのことだった。


「くそっ、速いな……」


 現在少年に相対する電磁生命体――電獣はドッグモデル。小型犬のような形状の下級モデルだ。攻撃性能では劣るもののそのサイズから俊敏性が増し、被害が多いのだ。

 少年は隙を作ろうとエスコード電磁波を発する電磁弾をいくつか撃つが、どれも簡単にいなされてしまっていた。どれも木々にぶつかり、動かなくなった。

 まるで弾道が予測されてでもいるような、そんな感じだ。しかし、この獲物は弱い。

 少年と対峙する電獣は、圧倒的に敵に勝っている――と、敵は思っていたことだろう。

 だが実際は、違った。

 少年の撃った弾丸からは薄い糸状の光が伸び、それがいくつも連なることで、電獣の動きを封じた。


「これで、止めだ……」


 すでに引かれたスライドを引き金を引くことによって開放し、鈍い銃声が森のなかに響き渡る。ポリゴンが崩れ行くように、電獣の体はつぎつぎと崩壊していき、その場にはひび割れたコアだけが残っていた。


「あぁあ。またやっちゃったな」


 これで、ここ清水町における、少年の《神鳴り殺し》最後の仕事が終わった。

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