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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
29/110

◇3-6◇

 体育館のなかは完全に明かりがない。とにかく暗闇を歩いていくだけで、ゴールまでのヒントは何もないのだ。

 そのなかで現在、優たちはまだ入り口に立ったばかりだ。暗幕をどけてスタートラインを踏んだというだけ。

 この先何があるのかと、好奇心で喉をならすものと、また警戒心で喉をならすものと2つがあった。

 ちなみに優は後者の方だ。暗闇で幾分か無防備になるぶん、気を付ける必要がある。あとのメンバーはだいたいが前者。優と同じく後者なのは遥くらいだ。


「ココがスタートルームか――」


 開会式中に舞台裏で幸男会長に聞いた場所。それがこのスタートルームだ。

 文字通りはじめの部屋で、聞いた話ではルール説明なんかをするらしい。

 小さめの四角い部屋で、仄かに明かりがあり、壁には3つの扉があった。察するに、そのうちどれかを選べということだろう。

 ココがはじめの選択肢なのだ。


「神田優、なんか置いてあるわよ?」


 背後から涼子に声をかけられ振り替える。彼女の細かい表情まではつかめないが、彼女が手になにかつかんでいるのは、そのシルエットではっきりとわかった。


「これは、通信機か」


 やや古い、旧式の電波受信型の通信機。それもかなりの数があり、ここを通った人がかなりの早さでこれを無視して通りすぎていったのだろうと感じさせる。

 今日は学校側から校内でのライターの使用を制限させられているから、事故が起きた場合通信できないのは致命傷だ。

 とにかく持っていて悪いことはないだろう。


「とりあえず持っておこう。万が一のこともあるし、ゴールできないのは嫌だからな」


 そう、班員が揃っていないと例えゴールにたどり着いても脱出できないのだ。この面からも、通信できないのは致命傷と言えるのだ。

 さて、これでだいたい部屋の探索も終わり出発しても大して問題はないだろう。

 先程から七日が自分のスカートをつかみながらそわそわとしている。田中は相変わらず何を考えているのかわからないが、それでもいまの状況に退屈を覚えてはいるだろう。


「よし、それじゃあ、どの道で行きますか?」


 とりあえずということで、まとめようと優が声をかけた。

 班長なんていうのは単なる肩書きに過ぎないが、選ばれた以上最低限は仕事をしようと考えた結果だ。

 道はそれぞれ先の見えない暗闇で、3つ存在している。

 ゴールできない、なんていうのはあってはいけないのだからどの道を選んでもいいのだろうが、それでも当たり外れがないとは限らない。ここは慎重に選ぶべきだろう。

 と、言いたいところだが、ただでさえ遅れているのだ。そこまでしている時間はない。


「――仕方ないですね。ここは、じゃんけんで決めましょう」


「「じゃんけん!?」」


 突然の七日の提案に2人同時に反応するツカサと涼子。その勢いに一歩足が後ろへ行くが、そのことには気付いていないようすだ。

 いったいどうしたのかとやや顔がひきつるが、とにかく今は話に乗ってくれたことに感謝する。

 さて、じゃんけんに参加するのは優とツカサと、そして涼子だ。

 ツカサが勝てば道は右、涼子が勝てば道は左、そして優が勝てば真ん中だ。


「いくぞ――じゃんけん、ぽん!」


「「ぽん!」」


 出揃った。

 優がパー、ツカサがチョキ、涼子がパー。勝敗はツカサの勝利となった。これでどうにかなることもないが、少なくとも話はうまく進む。

 皆それぞれ通信機を持ち、道も決まり、今度こそ準備万端だ。

 これから暗闇に侵入し、どこにあるのかもわからないゴールを目指す。どれのどの時間を有するかは不明だが、とにかく進むしかない。

 優は当たりを見渡し、班員全員と顔を会わせる。

 そしてゆっくりと選ばれた右の扉に手を伸ばし、その道の続きを開いた。

 先の見えない暗闇は、まだまだ続いている。

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