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学園の神鳴り殺し  作者: 片岡 雅
-侵略者の使い:入学編-
18/110

◇2-5◇

「それじゃあ早速だが、今日は学校見学だ。自分達で班を組んで、今日1日学校内を探検してもらう。それでオレは1日退屈しなくて済むってわけだ」


 なにを言っているのだこの教師は。

 誰もが浮かべるこの台詞も、もう段々と慣れというものになってきていた。つまりは博が何を言おうが、大体のことは「なにを言っているのだ」という台詞で片付けられるという事。慣れとはなんと恐ろしいものだろうか。


「ほら、早く班組め」


 適当だった。

 役職決めも前日に終わり、入学はじめに行う4つの工程のうち残り――部活決め・学校探検・実力テストのなかで、学校探検が今日に回ってきたということだ。学校も始まったばかりでまだ午前中で下校となるし、いやはや新入生とはいいものだ。

 優と遥は勿論のこと、加えてツカサと佐藤幸一も、同じ班だった。佐藤幸一との関係は言うまでもあるまい。昨日のうちに仲良く(一方的)なったのだ。これで人数は4人、班といってもそんな大勢では道を塞いでしまう事も考えられる。このくらいが適当と言えるだろう。


「それじゃあ、行くか」


 なぜか優が先頭に立っていた。そしてその隣に遥。その後にツカサと幸一。何を思ったかは知らないが、随分と困る配列である。優からしても遥からしても、あまり広がって歩けないこともあって距離も狭まり、気まずいのだ。


(……昨日は微妙な距離保ってたからなぁ。なんか、コレは気まずい……)


 しかし、彼らしか歩いていない廊下では、この状況をどうにかしてくれる助け船はいない。

 これではもう、潔く諦めて進んだ方が懸命と言えるだろう。おそらくどんなことをしようとも、この配列は変わらないのだ。


「えと、それじゃ、どこいきたい?」


 仮にも先頭にいるので聞いてみる。


「あ、あたしプール見に行きたい!」


 そう、即行で挙手をするツカサ。おそらく水泳部にでも入るのだろう。プールと言ったときの目が無駄に輝いていた。


「わかった。じゃあ、特科棟の2階だな」

 優は学校の全体像なら、以前公務室を探していたときに確認したので頭に入っていた。だからプールの位置も把握していた。

 しかし、優以外の人間はまだ校内の地図も見ていないのでそんなことを知るわけもなく、ただ驚くばかりであった。


「神田くん……もう、全部覚えたの?」


 そんなツカサの言葉は、若干引いているように聞こえた。優も苦笑いで返すが、やはりツカサは少し苦手だった。

 とりあえず、まずはプールに向かうことになった。プールは特科棟の2階そとの屋外にある。

 余談だが、神桜高は校舎棟と特科棟に別れているが、その2つを繋ぐ道は2階にある。

 教室の連なる校舎棟にいた優たちは、これからこの道を通って特科棟にいくのだ。


「さて、ついた」


 プール。

 そこはどこにでもあるような普通のプールだった。青い床に流された水が青を反射して、さらには太陽光を反射して、きらびやかに光っていた。春の桜の花びらがいくつか浮いていて、なんとも爽やかな雰囲気を醸し出していた。

 しかし残念ながら水泳部は休みらしくて、ガランとしていた。


「へぇ、以外と広いのね。50メートルプール、いいじゃない?」


 なにか偉そうな口調で話すのはツカサである。

 彼女たちのいた学校はいったいどんなプールだったのかと、若干興味を持たせたワンシーンだった。


「この調子で見学しても、半日も使わねえよな。もっとこう、見てて時間の潰せるものねえかな?」


 どうやら幸一はプールには興味がないらしい。頭の後ろで腕を組んで、口をポカンと開けてぷらぷらしている。


「たしかにそうだよな。――それじゃあ、今年できたっていう電磁科の施設でも見に行くか?」


「おっそれいいな。行こうぜそこ、どこにあるんだ?」


 優の提案に興味深々の幸一は、組んでいた腕を解いて詰め寄ってきた。


「わかったわかったって。とにかく放してくれ。ここ滑るから危ないって」


「ああ、悪ぃ悪ぃ。んで、それはどこにあんだ?」

 電磁科の施設はたしか3階の305号室から308号室までだったはずだ。現在地は2階だし、少し歩けばつくだろう。


「よっしゃ、今すぐ行こうぜ!」


 馬鹿みたいにはりきる幸一。しかし、ツカサと同様、幸一は普通科の生徒だったはずだ。

 なぜそこまで施設にいきたがるのか、謎だ。


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