第二十五話 激動1・常山炎上
新章突入!
散々煽っといてなんですが…クオリティー低めです。(泣)
反董卓連合の解散より二十日…この日、一刀は蒼馬より龍刻四爪刀を譲り受けた。だが、その後の蒼馬との手合わせで、暴走…あわや大惨事となるところだった。
しかし、実はこの日に起こった事は、それだけではなかった。二日前、(連合解散から数えて十八日目になる。)白蓮のもとに届いた麗羽からの書簡…それは、一刀たちを討つのに協力しろという内容で、白蓮はこれを拒否…それどころか、旧友である桃香の為に、袁紹軍と一戦交える事にした。
両軍が対峙したのがその翌日の事…数は一万対十万、兵力差は十倍だ。だが、白蓮たちは篭城し善戦していた。袁紹軍は数ばかりで、兵の練度や士気も低かったのだ。
さらには、その日の夜…白蓮は精鋭の騎馬部隊を率い、袁紹軍の陣地に夜襲を仕掛けた。残念ながら麗羽の首はとれなかったが、袁紹軍はたった一日で三割の兵を失ってしまった。
と、こうして日付は問題の、連合解散から二十日目を迎えた。
【星】
「伯珪殿、少しは休まれませんと、体がもちませんぞ。」
城壁の上、白蓮と星は袁紹軍の陣地を眺めていた…朝陽は、とうに昇っている。敵軍に動きはない。どうせ麗羽の事だ、まだ天幕で寝ているのだろう。如何な大軍と言えど、総大将の指示なしに動けない…逆に言えば、総大将がバカならこれほどの大軍も意味を為さないという事である。
だが油断は出来ない。代わりに、袁家には有能な二将がいる。それが、顔良と文醜の二人だ。むしろ、麗羽が投げやりになって、全てをこの二人に任せてしまったら…そっちの方が白蓮たちには脅威である。
【白蓮】
「…麗羽のあの性格なら、もう今日のうちに顔良たちに丸投げするだろうな。気を引き締めていくぞ、星。」
【星】
「承知。」
たった一万の兵で、未だ七万はいる袁紹軍をどう倒すつもりなのだろうか?その策は、既に動き出していた。実はもう、城下の人民は街から避難させている。その為、本当は二万集まっていた兵たちの内の半分を、避難する民たちの先導と護衛に回していたのだ。
残りの一万の兵で、城を…城下を守る形にした白蓮だったが、この無謀に思える采配も策の一つだ。元より彼女は城を守りきれるとは考えていない。如何に自分と星、さらには精鋭の騎馬部隊が奮闘しようとも、十万の大軍は破れないし、その勢いを止めるのも現実的に考えれば不可能なのだ。
ならば、どうする?知れた事、守れぬなら敢えて攻め込ませるのだ。罠を仕掛けて…そう、既に城下のあちこちに火計の準備がなされている。苦労して城門を突破した袁紹軍…そこにきての火攻めは痛いはずだ。
そうやって袁紹軍を弱らせた上で、自分達は一刀たちの下へ合流し、一気に逆襲に転じるという作戦である。
【白蓮】
「今日一日は意地でも持ち堪えるぞ。星は、夜に袁紹軍の攻撃が止み次第、桃香たちの所へ向かってくれ。私も、作戦が成功したらすぐに向かう。」
【星】
「心得た。」
そして、袁紹軍がゆっくりと動き始めた。
一方、華琳たちが治める魏の地には…
【風】
「やっと着きましたねぇ、稟ちゃん。」
【稟】
「えぇ。」
かつて、蒼馬がこの世界で最初に出会った少女たち、星と共に旅をしていたあの二人が訪れていた。
彼女たちは、常山で星と別れてからも旅を続けていた。各地を渡り歩き、自分たちが仕えるべき主君を探していたのである。いや、正確にはもう、その人物は決まっている。後は…
【風】
「大丈夫ですよ、稟ちゃん。きっと、曹操様なら稟ちゃんを気に入ってくれるでしょう。」
華琳に召し抱えてもらえるかどうか、だ。
【稟】
「だと、いいがな。風の噂では、今の曹操様は虫の居所が悪いらしいが…」
華琳が不機嫌だった事は、国の内外にまで届くほどの噂になっていたらしい。
【風】
「一時の感情に流されて、正常な判断が叶わぬ程度の方なら、所詮それまでの器だったという事。そうなれば風は、噂の御遣い様の下に向かうだけです。」
風は平然とそう言った。ここまでの道のりと苦労を思えば、「だけ」で済ませるのもどうかと思うが?
だが、彼女にとっては、真に仕えるべき主を探す事が最も重要な事であり、その過程の苦労など惜しくも何ともないのである。それは、彼女が自身の名を程立から程‘いく’と変えた事とも関わっている。
彼女は、夢を見た…燦々と輝く太陽を支える自身の夢だ。太陽、それは輝きの象徴…地上、人で言うならそれは、英雄を意味する。彼女は決意した…これからの乱世を鎮められる英雄、その支えとなる事を。自らの名前まで変えて…。
【風】
「まぁ、曹操様のご様子しだいですね~。」
【稟】
「そうだな。行こうか、風。」
【風】
「…ぐぅー…」
風は、いつの間にか立ったまま寝ていた。ついさっきまで起きていたハズだが…。
【稟】
「寝るなっ!」
【風】
「おぉっ!」
本当に大丈夫なのだろうか?色々と不安である…。
蒼馬が去ってすぐ、一刀たちの下に駆けてきた伝令兵…彼が齎したのは、袁術軍が国境を侵し進軍してきたという最悪の報せだった。
【伝令兵】
「すでに、国境を守る砦は落とされたようです!」
【一刀】
「くっ!愛紗っ!鈴々っ!朱里と雛里を頼む!」
【愛紗】
「御意!」
【鈴々】
「分かったのだ!」
愛紗と鈴々はすぐさま、気絶している朱里と雛里を抱え上げた。一刀も、同様に気を失っている桃香を抱き上げ、馬へと乗り込んだ。桃香を落とさないようしっかり支えながら、全力で馬を走らせる…。
【一刀】
「…どうする?考えろ…何か、何か手があるはずだ。」
だが、彼がいくら思考を巡らそうとも、何も名案は出てこなかった。当然だ…彼の持つ知識量は決して多くはない。祖父が三国志マニアで、兵法書を少し読んだ事がある程度…。そんな彼に、この一刻を争う緊迫した状況で、打開策を導き出す事など不可能だ。
【一刀】
「くそ…どうしたら……」
【愛紗】
「ご主人様!弱気にならないで下さい!城に戻り、朱里と雛里に建策を練ってもらうのです!兵は私と鈴々で整えます!ですから…何もかもお一人で背負い込まないで下さい。」
【一刀】
「愛紗…そうだな。急ぐぞ!」
袁術軍は、一刀たちの領地を目前にした所に本陣を設営していた。
【美羽】
「七乃!蜂蜜水おかわりなのじゃ♪」
【七乃】
「ダメですよ、美羽様。虫歯になってしまいます。」
【美羽】
「うぅ~…」
中央に建てられた大天幕の中、美羽は蜂蜜水が貰えずごねていた。いつぞやと全くと言っていいほど同じような状況である。
そんな中の様子に、苦虫を噛み潰したような顔をして入口前に立っているのは、孫呉再建を目論む雪蓮である。今の彼女は、美羽のところの客将だが、実際にはただの捨て駒同然の扱いだった。今回の戦だって、完全に矢面に立たされている。
【雪蓮】
「チッ…」
雪蓮は、出来れば一刀と事を起こしたくなかった。天の御遣いである彼の血を、孫家に入れたいと考えているからだ。その為に、今まで必死に妹の孫権を説得してきたのだ。最近、やっと前向きに考えてくれるようになったというのに…ここで一刀と敵対する形になれば、作戦は水の泡であろう。
【冥琳】
「そうアツくなるな、雪蓮。悪い事ばかりではないぞ。」
【雪蓮】
「冥琳…」
【冥琳】
「砦を攻めるフリをしておいて、劉備軍の本隊が打って出て来たら、ヤツらを袁術の本隊に一当てさせてやればいい。」
その上で、自分たちも袁術軍に攻撃を仕掛けるというのだ。
確かに、これなら雪蓮たちは一刀と協力関係になれる…その上でなら、孫権との縁談話も進め易い。
【雪蓮】
「さすが、冥琳♪」
【冥琳】
「どうせ、袁術はここで高見の見物でもするのだろう?本気で我々が攻めているかどうかなど、あやつには分かるまいよ。」
【雪蓮】
「ま、そうね。袁術がバカで助かったわ。」
【冥琳】
「砦には、すでに密使を送っている。事情を全て晒し、こちらに合わせてくれとな。」
孫家の武将には、有能な隠密がいる。すでに、彼女たちが兵を数人連れて砦へ向かっている。後は返答しだい…もっとも、圧倒的な兵数を誇る袁術軍を前にしての共闘の申し出だ。まだまだ弱小勢力である劉備軍が、これを受けないはずがない。
もうすぐ…孫呉を再興する事が出来る。二人は期待に胸を膨らませていた…。
【??】
「し、思春さまっ!」
【思春】
「明命か。どうだった。」
二人は孫家に仕える将…甘寧と周泰である。二人とも隠密行動に優れており、その能力は…仮に目の前にいたとしても、脳が彼女たちの存在を認識できないほどだ。
そんな二人だが、今はそんな隠密行動を取っている場合では無かった。
【明命】
「ダメです…この砦の守衛は、一人残らず全滅しています!」
どういうわけであろうか?まだ攻め込んでもいない砦の兵たちが、全員…何者かによって皆殺しにされていた。こんな惨いマネをするのは、死神と呼ばれているあの男…蒼馬しかおるまい。
いや、今は犯人などどうでもいい。問題は、この状況では彼女たちは役目を果たせず、また一刀たちの本隊が到着しようものなら、戦いは容赦ない殲滅戦へと発展するだろう。
【思春】
「明命、急ぎ本陣へ戻るぞ。冥琳様の指示を仰ぐ必要がある。」
二人はすぐさま本陣へと帰還するのだった。
【思春】
『それにしても…何だ、この違和感は?』
砦の中を走りながら、思春は妙な違和感を覚えていた。砦の内部には、あちこちに逃げ惑った様子の兵たちの死体や、応戦しようとしたのだろう剣を握っている兵たちの死体もある。これ自体、何も不自然はない。
なら、何が…
【思春】
『……あの剣、それに鎧の前部についた返り血は、一体誰のものだ?』
応戦していたのであろう兵たちの鎧は、一様に返り血でべっとりだった。だが、それにしては砦内に、襲撃者の死体が一つもないのである。
一体、彼らは何者と戦っていたのだろうか?全ては謎のまま、一度回り始めた乱世の歯車は、止まる事を知らずに回り続ける。
城に戻ってからの一刀たちは早かった。
袁術軍が攻めてきたという国境の砦に向かい、編成し終わった軍を引き連れ出陣…疾風怒涛の勢いで馬を走らせる一刀だが、必死に自分の怒りを抑えていた。怒りや憎しみに惑えば、また同じことを繰り返してしまうだろう…。
【一刀】
「頼む…間に合え…間に合ってくれ!」
馬を駆りながら、一刀はそう祈り続けていた。相手は大軍の袁術軍、国境の砦に常駐している兵たちでは、二日ともたないだろう。
ひたすら急ぐ一刀たちの視線の先に、やっと問題の砦が見えてきた。
【一刀】
「皆、もう少しだ!俺に続けぇっ!」
【朱里】
「あ、待って下さい!ご主人様!ここは一旦、斥候を…」
【一刀】
「くっ…そうだな、頼む。」
危うく突っ込んで行きそうな勢いだったが、朱里のおかげで何とか踏み止まった一刀…やはり、冷静さを欠いてしまっているようだ。無理もない、彼は桃香同様、とても優しい心の持ち主なのだから。
その頃、常山では白蓮と麗羽の戦が激化していた。
袁紹軍の指揮は、早々に斗詩へと回されたようである。さらには猪々子が、いわゆる特攻隊長とか突撃隊長の役割を担う事で、袁紹軍の兵たちの士気と動きが格段に上がったのである。
そうなると、俄然苦戦を強いられる公孫賛軍…篭城しているが、門を破られるのは時間の問題である。
【白蓮】
「チッ!もう少し、粘りたかったんだがな…」
今、砦の門は袁紹軍の用意してきた攻城兵器によって攻撃されていた。巨大な丸太を使った物のようだが…造りは簡素、神社の鐘を突く為の棒…アレみたいな物だ。
人力で縄を引き、丸太を後方へ引き上げていき…縄を離して、落下のエネルギーを利用して城門に叩きつける…。
ドォンッ ミシ…ミシ……
【猪々子】
「よぉーし、引けぇぃっ!」
猪々子の号令で、何百人がかりで縄が引かれ、丸太は再び引かれていく。
【白蓮】
「…仕方ない…星、脱出の準備を急いでくれ!」
【星】
「御意。」
星は兵たちに撤退の指示を出しに向かった。
【白蓮】
「誰かある!」
【兵士A】
「はっ!」
【白蓮】
「工作部隊に伝えろ。半刻後に火を放てと。」
【兵士A】
「はいっ!」
兵士は仲間を連れ、工作部隊のもとへ向かった。そして、白蓮も撤退の準備へと向かった。
そうとも知らず、袁紹軍は公孫賛軍からの反撃が弱まったとみるや、一気に攻めの手を強めた。
【猪々子】
「今だ!もっと、力一杯引けぇっ!…よし、落とせぇっ!」
ドォンッ
【斗詩】
「手を休めないで、疲れたら次の人と交代して下さい!」
そんな前線の様子を見ながら、麗羽は本陣で踏ん反り返っていた。
【麗羽】
「おーほっほっほっ!白蓮さんもおバカさんですわね。このわたくしの檄を断るなんて…あのブ男のついでに、貴方も叩き潰して差し上げますわ。」
すでに、城門は壊れる寸前である…門さえ破ってしまえば、この兵力差だ。自分たちに負けはないと思っているのだろう。
後は、自分が斗詩と猪々子の二人を引き連れ、二人に白蓮の首を取らせるのみだ。麗羽はその時を、今か今かと待ち続けるのだった。
【猪々子】
「よーし、もう少しだ!」
ドォーンッ ビシ、ビキッ
城門は、あと一撃で壊されるだろう…しかし、白蓮たちの作戦はすでに手筈が整っているのだ。撤退の準備もすでに整っている…何も問題は…
【白蓮】
「何だとっ!?」
白蓮は絶句した。先の兵士たちが、血相を変えて戻ってきたかと思えば、信じられない事を言い出したからだ。
【白蓮】
「…工作兵が…全滅?」
各所に伏せていた工作兵が、何者かによって皆殺しにされていたというのだ。
【白蓮】
「どういう事だ?間者か?いや、麗羽たちにそれは無理…一体、誰が?いや、それより…」
【兵士A】
「如何なさいましょう?」
【白蓮】
「…星にはこの事を伏せて、先に脱出しろと伝えろ。他の者たちは工作兵の代わりを務めてくれ。配置についたら、直ちに火を放て。」
【兵士A】
「承知しました。」
兵たちは急ぎ、各々の持ち場へと向かった。
そして、白蓮は一人…街の中心へと向かう…ここに赴任してから今日までの事を思い返しながら。
市を視察に出て、民たちと直に触れ合い、彼らの生まれたこの街を守るために取り組んできた。皮肉にも、今その街を自らの命令で燃やそうとしている。何もかも…。
【白蓮】
「…なーに、何も心配いらないさ。ここの皆は強い…例え太守が変わろうと、例え住む土地が変わろうと、彼ら自身の何が変わろう?この街も、この街で生きていた彼らの笑顔も、彼ら自身が作ったもの…私の手柄なんかじゃない。だから、彼らなら大丈夫…それに、桃香と…北郷がいる。」
ドォンッ
最後の一突き…と同時に、城門からなだれ込む袁紹軍。砦を通って城下に入れば、その正面に立つ一人の赤い髪の女性。
女だ!兵たちはそう思うが否や、一斉に駆け出す…。
【白蓮】
「何を憂う事があろう?」
白蓮は、剣を抜いた。その瞳に…覇気が宿る。王の、そして武士の覇気が。
【白蓮】
「…来い。この首、易々とはとらせんぞ。」
【星】
「…伯珪殿が?」
先の兵士が、星に白蓮からの伝言を伝えたのは、城門が破壊されるまさに一分前だった。
【星】
「…確認するが、伯珪殿は確かに、私に『先に出ろ』と申したのだな?」
【兵士A】
「…はい。」
星は、悲痛な表情で天を仰ぐ。白蓮のその言葉で、星は全てを察したのだ。
【星】
「行くぞ!我らはこれより、劉備殿と北郷殿の下へ向かう。しかし、これは撤退でも、逃亡でもない!彼らと力を合わせ、必ずや袁紹を討つ…その為の進軍である!進めぇっ!」
星は、一万の公孫賛軍を率いて、一刀たちの下へと急いだ。同時に、城門は破壊された。
【白蓮】
「やぁっ!」
ズバッ
また一人、袁紹軍の兵が地面に横たわった。その兵士の首はなく、向こうに転がっている。
【白蓮】
「まだまだぁっ!」
白蓮は目にも止まらぬ速さで剣を振り、一人、また一人と、敵兵を討ち取っていく。
【袁紹軍兵士A】
「くそっ!」
【袁紹軍兵士B】
「つ、強い…」
袁紹軍の兵士たちの士気は、下がりつつあった。無理もない…仲間がすでに百人近く倒されたのだ。目の前にいる、たった一人の女性に…。
【麗羽】
「何をやってますの!」
そこへ、斗詩と猪々子を引き連れた麗羽が現れた。
【麗羽】
「斗詩さん!猪々子さん!さっさとやっておしまいなさい!」
【猪々子】
「よ~し、んじゃ一暴れさせてもらうぜ!」
言って、猪々子は大剣を振りかぶり襲い掛かってきた。と、次の瞬間…街中の至る所から、火の手が上がり出した。
【袁紹軍兵士C】
「う、うわーっ!火、火がぁっ!」
油も撒かれており、街はあっという間火に包まれる。
炎に取り囲まれながら、袁紹軍は為す術もなく火に巻かれていく。
【袁紹軍兵士D】
「ぎゃあああっ!」
【袁紹軍兵士E】
「助けてくれぇっ!」
火から逃れようにも、大軍である袁紹軍はこの狭い路地を自由に動けるわけもない。当然、軍はもうまともに機能しない。
【麗羽】
「なっ、ちょっ、貴方たち!何してるんですの!早く、私を逃がしなさい!」
【白蓮】
「悪いが、逃がしはしないぞ、麗羽。お前を、ここから先へは進ませない。」
【麗羽】
「何をカッコつけてるんですの!貴方だって、もう退路が無いじゃありませんの!」
【白蓮】
「それがどうした?」
白蓮は、剣の切っ先を麗羽へと向ける。
【白蓮】
「返事の文に書いただろ?私は、友を裏切り生き延びるくらいなら、友の為に戦って散ると!桃香たちになら、全てを任せられる!全てを託せる!短い生涯の中で、心からそう思える友と出会えた。その奇跡に感謝こそすれ、何を憂う事があろう?何を恐れる事があろう?故に、私は退かぬ!」
燃え盛る炎の中、対峙する白蓮と麗羽…逃げ場無き炎の檻に閉じ込められた、彼女たちの運命は?




