混乱
「あ、あの、なんで、私押し倒されて」
好は固まる思考をなんとか必死にめぐらし、言葉を紡ごうとした。
「ねぇ。」
「は、はい。」
「なんで、高い声出さないの?」
ピシっ、、、、、、、と
好はさっきまでの動揺が治まり、そして静かに胸が冷えていくような気がした。
「・・・・・・、私の声が気持ち悪いですか?それとも、さっきの声は聞くに堪えなかったですか。」
彼は静かに、そして一直線に私を射抜いた。
「違う。それより質問に答えてくれない?なんで?」
「・・・・・・昔いろいろあって、高音が出せなくなりました。
それでも、さっき聞いてくださった通り低音に幅があるので一通りの男性曲は歌えます。
私からの質問にも答えていただけませんかね。
・・・・・私の声が気持ち悪いですか?」
人によっては、できないなんてセリフをぬかすのはプロしっかくだなんて言う人もいた。
だがそれがどうした。確かに女性の中ではそんなに高い声はでなくなった。
それがどうした。でもまだ私には私なりの声が出る。音がでる。代わりに低音の幅をきかせられる。歌える、それをどうして恥じる必要がある。
それが、開き直りであることも好はわかっていた。
しかし彼女は諦めることができなかった。
だから、進むしか道がなかった。
ここで藤間が好を拒絶すれば、また道は途絶えてしまう。
半ば挑むように藤間を見つめて、唇をかんだ。
「気持ち悪くはない。」
好は目を見開いて彼を見つめた。・・・・・・・、少し、体の力が抜けるのを感じる、
「気持ち悪くはない。だた、駄目だ。
今のままだとお前は自滅していく。・・・・・・・だから俺が調律して、調教する。」
(ん?、あれ確か今結構緊迫した感じの雰囲気だったはず、いやそういうもんだいでもない!
ありえない言葉を聞いた気が、いや待てその前にこの人だんだん言葉が荒くなってないか?
さっきまで、この人人形みたいに、)
そこで好ははっとした。
そう、彼はさきほどから好を見つめていた。彼女を見ていた。その瞳に写していた。まるでさっきの興味のなさが嘘であるかのように。
好は藤間の瞳が、奥でふしぎにらんらんと輝いているような錯覚に陥った。
まるで、まるで、
新しいおもちゃを見つけた子供のように・・・・・・・・
そして、自分の阿呆さにも彼女は気づくことになる。
(・・・・!いつまで私はナチュラルに押し倒されてんだ!!)
まったくである。