狼火の正体
「おりゃああっ!」
叫びながら狼火に剣を投げる、しかしその剣は何事もなかったかのように俺の足元に落ちる。
「なんで…」
俺は驚きのせいで止まってしまった、その瞬間。
「止まってたら死ぬぞ?」
笑いながら狼火は弾丸を撃ってくる。
殺気が有り得ないほどで、動けない、さっきまでは何も感じなかったのに。
「死にたいのか?この世界はどうでもいいんだな」
ちがう。
心の中で叫ぶ、声が出ない。
「じゃあ殺してやるよ」
「…ウ…ガ…ウ」
「なんだ?」
狼火は首を傾げる
「違う…この世界は…俺が…」
「絶対守るんだ!」
大きな声を張り上げた、精一杯叫んだ、怖くて少し大きいくらいの声でしかなかったが、確かに叫んだ。
「じゃあ、避けろよ?」
微笑みながら狼火は魔拳銃を二つ取り出す。
「『突撃銃式準備完了』」
二つの魔拳銃が混じり合い、アサルトライフル、向こうの世界で言うAK-47になる。
「避けれるか?」
狼火は笑いながら構えてくる。
「避けれなくても、避けてみせるさ」
見栄を張る。
いや、あの攻撃を止める方法はある、それが成功するかはわからないが。
「じゃあいくぜ?」
狼火は再度構えなおした、そして、撃とうとしてきた。
いまだッ。
俺は剣を握りなおして。
「こいッ!」
狼火は銃を撃ってきた。
今なら見える、負荷はかかるが、しょうがない。
「反撃時間!!」
全ての物が遅く見える、魔弾さえも、遅く感じる。
自分の動きは変わらない、自分が早くなったのではなく、相手が遅くなったようにも感じる。
今だッ走り出し、狼火の銃めがけて落ちていた石を投げる、その石は見事狼火の銃にぶつかり、銃を弾き飛ばす。
そして狼火に剣を突き付けようとしたとき。
「反撃対反撃」
一瞬で体が重くなる、狼火は何をしたのかわからない。
「詰めが甘いな、紫雨。」
黒い短剣を持って狼火が立っていた。
「反撃対反撃は相手が反撃技を使ったときに無効化する技だ、それにその負荷がかかる技じゃあ無効化されたときにダメージを喰らうのは当然の事、とことん馬鹿だな」
そう言っているが狼火は多分気付いている、俺がまだ剣を持っている事に。
だけど、喰らおうとしている、自ら。
「喰らえっ!炎球体!」
だけど俺はぎりぎり使えそうな魔法を出す。
狼火のマントに引火し、少しずつ燃えていく。
「ちょっこれ高いのに!しょうがないな!」
狼火はマントを投げた。あれ…狼火って…
「え…おん…ええええええええええええええええええええええええええええええ?」
「何がおかしい、僕は女だ。」
何時の間にか狼火が僕っ娘になってた…