不意打ち
今いるのは精霊の森、下級モンスターのゴブリンが群れを成していて、戦うときは全方位に気を付けて戦わなくてはならない、ここではショートソードではうまく戦えないため鉄の剣を渡された。
この森は奥深くに行くとモンスターの巣が多くあるため、今作戦を練りながら歩いているところだ。
「でも、何で他の騎士にやらせないの?騎士なら御茶の子さいさいでしょ?」
おれは他の騎士にやらせればいいじゃん、とアルシナさんに言う、すると。
「確かにほかの騎士たちにやらせればすぐ終わりますが、今日はあなたの訓練の為ですからね」
確かに言ってることは間違っていない、だが俺が言いたいのはそれではない。
「訓練ってことはわかるよ、けどさ、何でいきなり下級の群れの中に入ってくの?普通初級のコボルトとかじゃないの?」
「それは勇者の力があるから大丈夫――――ガッ」
「アルシナさん!」
「お嬢様っ」
後ろから弾丸が飛んできたように腹部を貫かれた、しかし鉄や鉛でできた弾ではない、残痕から考えた推定の物だがおそらく魔力の弾丸だ、貫かれた位置からして。
「エルスさんはアルシナさんの治療を!」
エルスさんにアルシナさんを任せて俺は走り出す。
「わかった!」
俺は木の上へ勇者の脚力を使って剣を構えながら飛び出す。
「そこだぁっ!!」
黒い人影、確実に敵はそいつだ、剣で斬り付けようと剣を握りなおした瞬間。
「『散弾銃式――準備完了』」
ダンッ!
銃声が鳴り響いた。
「ぐあっ!」
至近距離で多くの魔力の弾丸を打ち込まれた、遠くからアルシナさんが撃たれていたから油断をしていた。
「だれなんだ…おまえは…」
黒のフードで黒いマントを付け、黒い軽鎧を付けた―――黒尽くめ!?
「まさか…狼火!?」
「助けてやれるのは一回だけだ」
「どういう…こと…だ」
『主に教える必要はない、ただ今回は、主の訓練という事だけだ』
狼火でない何かが狼火の近くで確かにしゃべった。