飛び込んだ先は異世界でした、・・・・どうしてこうなった
もう、この世界に生きる意味も、悔いも、存在する理由ももうない、親は悲しむだろうが、この世界に生きるくらいなら剣と魔法の異世界に行った方が、まだマシだ。
この一言がフラグになるなんて、俺には思いもしなかった。
そして。重力に身を任せた、普通なら、そのまま死んでいる、はずだった、そう、
はずだったそのまま、地面と接吻をするなんて、思いもしなかった。煎餅の欠片程さえも。
眼は、閉じていた、そして数秒後。
ゴンッ
「いってええええええええええええええっ!!」
ざわっ、一瞬空気がざわめくしかし俺には理解できない。
「いった、痛すぎる、鼻が、顔がああっ」
思えば鼻の中に温かいものが、そう、みんなも理解していると思う、そう、鼻血だ。
「ヒール」
鼻の中にあった温かいものがきれいさっぱり無くなった、確かにヒールと言ってはいなかっただろうか。
「これは?」
「これは。治療の呪文です、ようこそ、異世界の客人様、そして…この世界の勇者様」
はい、みんなも一緒に叫びましょう。
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
どういう事でしょう。俺は、勇者となったようです。
「どういう事か詳しく教えていただけますかね?」
「もちろんです、こちらへどうぞ」
俺を召喚したらしき方は、女の方でした、しかもアニメに出てきそうなかなりの美形の方でした。
向こうの世界で生きるくらいなら、この世界で勇者になってやってもいいかな、そう思っていた時期が、私にもありました。
扉が開けられ、入った部屋が。何とも綺麗な、まさしく王宮というべきお部屋でした。
「それで、どういうことですかね?」
「では単刀直入にいます」
「どうぞ」
「魔王からこの世界をお救い下さい」
「うん、いいよ」
一瞬の沈黙、そして
「すいません、うまく聞き取れなかったのでもう一度よろしいですか?」
「魔王倒してもいいよ」
「・・・え?」
「魔王倒してもいいよ?」
「えええ!?」
「無理なの?だめなの?」
「いえ、そう仰ってくれるのは、とても嬉しい事なんですが、もう少し言葉を濁したりすると思って・・・」
「ああ、そうでしたかしかし、すぐに魔王討伐は無理なのはそちらもわかっていると思います、そのため、力を付けるために、9ヶ月、九ヶ月の時間を与えてください」
「ええ?それだけでいいんですか?」
「ええ、まあ」
「わ、わかりました九ヶ月の特訓の時間を与えます」
「ありがとうございます」
こうして、勇者が魔王を倒すと誓ったのだった。
この話し合いは、のちの紅き英雄物語に書かれる事となる。