恋バナ?
「……それで、一匹にエサをあげたら、少し遠くにいた鯉まで一斉に集まっちゃっいまして」
「ふふっ、人気者ですね優星さん」
「いえ、人気なのは僕でなくエサの方ですけどね。それで、エサは足りないしどうしようかと――」
それから、数十分後。
カウンターの席にて、隣に並び和気藹々と会話を交わす優星さんと私。尤も、今は仕事中なので何をサボっているのかと眉を顰められてしまうかもしれませんが……ですが、決してサボっているわけではなく。と言うのも――お手隙の時は、なるべく積極的にお客さまに話しかけ会話を楽しんでほしいと斎月さんからお願いされていまして。理由は、仲の良いスタッフがいる方がお客さまのリピート率が上がるから、とのことで。まあ、それはそれで本音ではあるんでしょうけど……きっと、私のためというのもあるのでしょう。私がおしゃべり好きなことは彼には十二分に知られていますから。……うん、ありがとう斎月さん。
そういうわけで、優星さんともこうして何度か歓談に花を咲かせていて。その中で分かったことは、彼が大学生であり来年のこの時期には卒業し何かしらの仕事に就いているであろうこと。願わくば、彼自身の希望である教師に――
「――ところで、琴水さんは斎月さんのことが好きなんですよね?」
「……ふぇっ!? あ、いえ、その、えっと、その……どうして、そのように……?」
「ふふっ、そんなに慌てなくていいのに。あと、どうしても何も流石に気づきますよ。それこそ、日頃から鈍感と言われてしまう僕でも。だって、すっごく分かりやすいですから。斎月さんを見ている時の琴水さんから溢れている、大好きで愛おしくて仕方のない気持ちが」
「……そ、そうですか……その、斎月さんには……」
「ふふっ、分かってますよ。もちろん、僕の口からは言いませんから」
卒然の思わぬ不意打ちに、大いに慌てふためく私。そして、そんな私を可笑しそうに、それでも暖かく微笑み言葉を紡ぐ優星さん。……えっと、そんなに分かりやすいかな? 私。気になって視線を移してみると、私達の会話を耳にしていたであろう数人のお客さまが優星さんと同じような微笑を……うん、そんなに分かりやすいんだね。私。……ですが、そういうことなら――
「……あの、折角なのでお聞きしたいのですが……やはり、私達ほど歳の差があると……その、そういう対象としては見てもらえないものでしょうか?」
「……そう、ですね。斎月さんのお好みが分からないので、そこは何とも言えないところではありますが……ですが、僕自身は恋愛に歳の差なんて関係ないと思っています。社会的な通念はどうであれ、一番大切なのはお互いの気持ちだと思っていますから。なので、僕は応援します。まだお会いして間もないですが、僕はもうすっかりお二人のことを好きになってしまいましたので。……あっ、そういう意味ではないですけれど」
「ふふっ、分かってますよ。……はい、ありがとうございます、優星さん」
何とも個人的な私の質問に、真摯に向き合い答えてくださる優星さん。……そっか、歳の差なんて関係……うん、そうですよね。優星さんの言う通り、大切なのはお互いの気持ち……うん、まだまだこれからです!




