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35 すれ違う想い1

「クレストに会うなり結婚の提案とは。若い者は積極的であるな」


 皇帝は少し驚いた顔をしながらも、口元には笑みが浮かんでいた。


 満更でもない、という表情だった。


 実際、互いの国にとって利益は大きいはずだ


 帝国の英雄である皇子と、同盟国リビティアの王女が結ばれる――それは二つの国の関係をより強く、より固いものにするだろうから。


 メルディア王国の脅威にさらされているヴァールハイトにとって、これほど心強いことはない。


「わらわは彼に運命を感じたのです、皇帝陛下」


 シェラは皇帝に向き直り、優雅に一礼した。


「これは、ただの直感などではありません。我がリビティアの王女は代々、未来の出来事を感じ取る力に長けているのです。わらわには見えるのです――彼と結ばれる、輝かしい未来が」

「うむ、リビティア王族の【未来視】の評判は余も聞いている。我らにとっても悪い話ではないし、あとはクレスト、そなたの気持ち一つ、ということになるか」


 皇帝の視線が、まっすぐに僕に向けられた。


 周囲の貴族たちも、固唾をのんで僕の答えを待っている。


「僕は――」


 僕は戸惑いを隠せず、声を震わせた。


「せっかくの申し出ですが、あまりにも話が突然すぎます。それに今の僕は、宿敵であるメルディア王国との戦いのことで頭がいっぱいなのです。男女の間柄や、ましてや結婚など、とても考えている余裕はありません」


 失礼にならないよう、できるだけ丁寧に、遠回しに彼女の提案を断った。


「戦がなんだというのじゃ。そのようなこと、理由にはならぬ」


 シェラは、まったく引く気がないらしい。


「そなたが戦うというのなら、わらわも共に戦場に立とう」

「えっ……」

「わらわは剣も弓も、そこらの騎士や弓術士には負けぬと自負しておるぞ。そなたの隣で、必ずや力になってみせよう」

「いえ、ですが、王女殿下にそのような危険なことをさせるわけには――」


 僕が困り果てて視線をさまよわせると、少し離れた場所に立つフラメルと目が合った。


 いつもの優しく人を癒すような微笑みが、彼女の顔から消えている。


 代わりに、どこか影のある暗い表情で、じっと僕を見ていた。

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