31 禁忌の実験施設へ2
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ドルファに案内され、僕はレイガルド市街の北部区画に来ていた。
人通りがほとんどない、寂れた場所だ。
僕たちの目の前には、地下へと続く古びた鉄の扉があった。
「この先に、例の施設があります。先帝陛下の時代に封鎖されて以来、不気味な噂が絶えず、近づく者もいないはずです」
「分かった。ここから先は僕一人で行きたい」
僕はドルファに言った。
「構わないか、将軍?」
「……よろしいのですか? 護衛もつけずにお一人では」
「頼む」
僕はドルファに深く頭を下げた。
これは、僕自身の問題だ。
誰にも見られず、一人で向き合いたかった。
「……承知いたしました。ご武運を」
ドルファはそれ以上何も言わず、去っていった。
後に残された僕は、重い鉄の扉に手をかける。
ギギィ……。
軋んだ音を立てて扉が開いた。
その向こうにある階段を降りると、薄暗い石造りの廊下が続いていた。
「――行くか」
僕はまっすぐ進んでいく。
左右の壁には、無数の複雑な魔導術式がびっしりと刻まれていた。
床には血の跡と思しき黒い染みが、いくつもある。
「この感じ……僕が『クレスト』として目覚めた、あの石室と雰囲気がすごく似ている」
さらに奥へと進み、やがて書庫のような部屋にたどり着いた。
部屋の中は、ひどい有様だった。
全く整理されていない。
膨大な量の羊皮紙や記録媒体である魔導水晶板が、乱雑に積まれている。
「これは……研究記録か」
僕は手近にあった羊皮紙の束を手に取った。
ほこりを払い、そこに書かれた文字を読み始める。
『実験体記録58番:魂の定着に失敗。肉体の拒絶反応により暴走。魔獣に変異したため、廃棄処分とする』
「これは――」
嫌な胸騒ぎがした。
さらにページをめくる。
『実験体記録72番:魂の劣化を確認。移植元の記憶との混濁により精神崩壊が始まる。廃棄処分とする』
間違いない。
これは魂の移植や定着に関する、非人道的な実験の記録だ。
おそらく、僕が経験したのと同じように、二人の人間の間で魂を入れ替えるための――。
「だとしたら、僕は……」
背中に冷や汗が伝う。
ここでの実験を元に、転生したのか?
そして、僕は『成功例』なのか?
それとも――。
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