31 禁忌の実験施設へ1
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翌日――。
レイガルド要塞都市での激しい戦いが終わり、僕たちは戦後処理に追われていた。
破壊された城壁の修復。
王国軍が残していった兵器の回収。
そして……亡くなった兵士たちの弔い。
その合間を縫って、僕はドルファと二人きりで会談の席を設けていた。
「帝都への報告は、先ほど使いを送って済ませました。陛下もさぞお喜びのことでしょう。クレスト殿下とフラメル殿下への叙勲も行われると思います」
ドルファが報告する。
「今回の戦いはドルファ将軍の功績も非常に大きい。帝都に戻ったら、僕からあらためて陛下にその働きを報告するよ」
「……もったいなきお言葉です」
ドルファが深く頭を下げようとしたが、僕はそれを制した。
「本音だ、将軍」
僕はまっすぐに彼を見つめ、微笑んだ。
「さすがは歴戦の猛者――勇猛な戦いぶりと的確な指揮に感謝している」
「私の方こそ感謝いたします。当初は殿下に対して無礼な態度を取ってしまいました。にもかかわらず、このような寛大な処置を……」
「君の皇族嫌いの中から、僕や姉上を除外してもらえたら嬉しいよ」
「無論です」
ドルファは武骨な顔に笑みを浮かべた。
その表情に、出会ったときの険しさはもうない。
「私は――ともに剣を振るった戦友は、誰であれ決して忘れませぬ」
「戦友か……」
その言葉が、僕の胸に響いた。
前世では、そんなふうに呼べる相手は一人もいなかったから。
「そうだね。君と戦えたことを、僕は誇りに思う」
「私もです、殿下」
ドルファが力強くうなずく。
「英雄【黒騎士】や【癒しの聖女】と共に戦った今回の防衛戦を、私は一生心に刻みつけることでしょう」
「ところで――」
僕は話題を変えた。
「戦いの前に話に出た『禁忌の研究施設』について、詳しく教えてほしいんだ」
そう、ここからが本題だ。
「殿下――」
ドルファの顔から笑みが消えた。
「僕はそこを訪れたいと考えている」
「……あそこは一般には固く秘匿された場所ですが、皇族であるあなたがご希望であれば、私に止める権利はありません」
しばらくの沈黙の後、ドルファはそう切り出した。
「ただし、あの施設は呪われた場所とされております。何が起こるかは私にも分かりませんが……お覚悟は、よろしいか」
「ああ」
僕は迷わずうなずいた。
「覚悟はとっくにできている」
僕が何者なのか、なぜクレストとして転生したのか。
その根源に触れることになるかもしれない。
どんな真実が待ち受けていようと、それを受け止める覚悟はできている。
「僕には、知らなければならないことがあるんだ――」
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