石段
鎮守の森に伸びる、
石段を登りながら、
蝉時雨の露に濡れて、
疲れた足を諭す。
頑張ろよ、もう少し、
頑張るよ、まだまだ。
夏が危険になっても、
祈り捧げに行こう。
見上げた先の社には、
深い森を包むような、
熱く青い天の原、
輝いてくれている。
世のために、人のために、
できることはしておこう。
せめて知り合えた君の
幸せ祈りに行こう。
誰にもすれ違わない、
誰にも追い越されない。
深まる気配は何でしょう。
八百万からの息。
気をつけて、登ろう、
しっかりと、踏みしめて。
烏が不意に鳴いたよ。
招かれているそうだ。
手水鉢で身を清め、
賽銭箱にお賽銭、
本坪鈴を鳴らして、
揺らぎを整える。
ありがとう、神様。
いつもいつも、ありがとう。
この世が続く限り、
感謝を唱えていたい。
優しい風が吹いてきた。
蜻蛉の群れを運んでる。
お盆の頃の鎮守の森に、
何故かしら一人。
こんにちは、さようなら、
さようなら、またいつか。
天にまで昇ってゆく、
つまりは、頑張ろか。