表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/77

5―10 ・砂時計が横たわる時

誠に申し訳御座いません。

1話、抜けておりましたストーリーを更新致します。





この事は、言葉を謹んで、口にしないで下さいね。




 そう穏やかな表情を浮かべた少女は、念を押す。


 けれども、それは何処か狂気を逸した様な頬笑みで

何故かそれに危機感を感じたのは気のせいではないだろう。



 時々にして、語られる

風花の過去話は壮絶を絶するもので、言葉を喪ってしまう。

一体、生ける限りにして、どれほどの苦行を少女に与えられるのだろうか。







 ふと、携帯端末が震えた事に気が付いた。

滅多に入らない連絡。画面が表示する相手に

圭介は眉を潜める。………相手は、育ての親___祖母からだった。




「………え」





メールの文章に呆気に取られた。





___クライシスホーム・事務所。




 照明の明かりはひとつ付けられていない。

ただ暗い部屋には、パソコンの明かりだけが煌々(こうこう)と、その前にいて、神妙な面持ちを浮かべているのは

漆黒の少女。



 夜番と称して、風花は事務所に引き籠る。

否。今、それは当てはまらない。スケジュールは把握していて

今は私用で此方に引き籠もっている。


(嗚呼、世の中とはなんと、機微で狭いものか)


 誰にも知られたくない情報を静かに探っていた。

パソコンのメールフォルダには、新着メールがひとつ。




“北條 風花様

依頼されていた情報を、送ります”




 相手は、警察。警部補。

北條家は身元不明者、無縁仏の埋葬も委託されている、

全て信頼を寄せる北條家に一任される___

そんなコネクションを逆手に取る形となった。



 表情をひとつ変えないまま、

風花は送られてきたメール内容に吟味する様に目を通す。

カチカチ、とキーボードを操る音だけが静寂な空間に響いた。


 開かれた機密の情報開示。



(…………)




 画面を見詰めながら、風花は怪訝な顔をした。


“例の物”は、中々見つからない。



___アルビノ監禁暴行事件。



 フィーアが長年、拘束されていた事件だ。

地下ではアルビノの子供達“だけ”が集められ、監禁されていた。


表向きは、死者13名。

アルビノの子供達は皆、命を落とした。

生き残ったのはフィーアだが、世間には絶対に知られていない。

そして、知られたくもない。



(心の傷を抉られる程に、残酷なものはないのだから)




 けれど

この事件の経緯も、そのものも謎が多い。

そもそも逮捕された者がアルビノの子ども達に関与したか

アルビノの子供達の素性、個人情報は探っても何もなかった。



 フィーアと出会った時だってそうだ。

フィーアは何一つ、自分自身の個人情報を知らなかった。

記憶喪失でもないらしい。


アルビノの子供達は、どういう経緯で集められたのか。

警察も事細かに調べたらしいが、裏は出てこなかった。



 実質的な

警察の右腕的な存在である、北條家の頼みを警察は断らない。

それに「北條家の跡継ぎで当主の孫娘」という立場を利用すれば尚更。


機密情報も頼めば閲覧可能で、

誰にも内緒のうちに、フィーアと関わりのあるこの事件を風花は内密に調べていた。



 送られて来たのは、

アルビノ事件で関わり、命を落とした子供の名簿。

しかし名前がない為、推定年齢と性別しか解らない。





 幼児3名、10代が6名、20歳前後が3名。

解剖医が下した決断は、そうだ。



 医師によれば、引き取った頃は衰弱が激しく

自身と同じ年頃だと言われていたが、今の回復したフィーアは

20くらいに見えると言われた。



 風花はパソコンの前で頭を机に持たせ、

物憂げな面持ち共にその(ひとみ)を閉じた。



『皆の中では、私は年上だったから』


 本人がそう言っていた。フィーアは

アルビノの子供達の中でも一番の年長者だったらしい。

現にそうだろう。他は皆、10代か、それ未満の子供ばかりだ。



(___詮索はしない主義だったのに)



 風花は、自身で自身を不思議に思う。

普段なら、こんな事はない。

だが。



 フィーアがいつか言っていた。


 いつか、自身の素性が知りたいと。




 他人に興味がない風花だが

フィーアには沢山の借りがあって、頭が上がらない。

気遣い屋で、いつも傍に居てくれる彼女には感謝だって覚えている。


だが。


(私は恩返し一つ出来ていない)



 貸したままの借りは嫌だ。

何かにつけて返さないと、何処かでそう思っていた。



 しかし、これだけでは解らない。

犯人は今年、無期懲役の判決が下されたが

逮捕されて以降、一貫して黙秘を貫き何一つ語らないのだ。



 探れる何かは無いだろうか。




 時計に視線を移す。

一瞬だけ、躊躇ったが、まだ時間はありそうだ。


善は急げ。

携帯端末を取り出すと、メールを送ってきた責任者に、電話をかける。




「……北條です。情報提供、有難う御座いました」

『いいえ。何かお役に立てましたかな』

「……はい。申し訳御座いません。

………あの、お尋ねしますが名簿の他にアルビノの子供達の、ご出身とか把握していますか?」


『それは……………』



 途端に口籠る相手に、風花は諦観を抱く。

無いか。無いだろう。警察でも探れなかった情報なのだから。


だが。



『あ、そうそう。

………これは確定ではないですが、

恐らく、アルビノの子供達は全員 日本国内で拉致・誘拐されたそうです』


「____国内で?」


『はい。

ですので、幼少期に行方不明になりましたお子様の情報と

この事件に関連がないか、現在照らし合わせている所です』




 風花は、驚いたまま、動けなかった。




【お詫び】


重ねてお詫び申し上げます。

この度は、読み手様を混乱させる形となり

大変申し訳御座いません。



 ストックとして、いくつかストーリーを書いており

日付が変わり、連続投稿、更新する過程で、

あろうことか順番を間違えてしまいました。



 そして5章の数話ミスも今更、気付く形となりました。

不備、お詫びだけは済まされない話となりますが

重ねて、この度は誠に申し訳御座いませんでした。


猛省と共に、精進致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ