四角い石
小学校から徒歩5分の所に小さな神社がある。
そこの神社は変わっていて鳥居と御社殿の間に四角い大きな石が置かれている。
亜里沙は教室の窓辺から神社を見ていた。
木で囲まれており鳥居以外は殆ど見えないが何となく気になってしまう。
「ちょっと亜里沙〜、まーた外見てるの?」
話しかけてきたのは友達の美咲だ。
「だってあの神社気味悪いじゃん」
「だからって見たって何にもならないよ?」
「そうなんだけどさ…」
「そんなに気になるなら放課後一緒に行こっか?」
「えぇ、怖いよ!」
「大丈夫大丈夫、何も起きないって」
そして放課後…
「よーし行くぞ〜」
私達は学校の裏門を通って森へ入った。
「なんかここヒヤッとするよね」
くだらない会話をしていたら鳥居の前に着いた。
「着いたね」
「よし、行こう!」
「「せーの」」
2人は同時に鳥居をくぐった。
「夏なのに一段とヒヤッとするねー」
「気味悪さが一段とすごいね」
そのまま四角い石の方へ歩く途中…
「さっきから見られてるような気がするんだけど…」
「分かる」
そして四角い石の前に辿り着いた。
「「でかっ」」
実際に見た石は3mくらいあった。
嫌な予感がした。
「なんか石に文字が書いてある…」
「なんか変な文字だね、見た事ない」
バサッ
左から何かが落ちた音がした。
「え?何何怖っ」
音がした方に近付くと何か古そうな本が落ちていた。
「なにこれ?」
「この表紙の文字、あの石の文字に似てない?」
「確かに…」
その本を開くと全て石と同じ文字が書かれていた。
「なんなんだろこの文字」
とりあえず本を持ったまま石の前に戻った。
「あれ…」
「どうしたの?」
「なんか読める気がする」
「私は読めないや、なんて書いてあるのー?」
「悪霊…封じ…石…」
「掠れててこのくらいしか」
「悪霊を封印した石って事かな?」
「うーん不気味だね」
「とりあえず日も落ちてきたし帰ろっか」
「そうだね帰ろう」
本をそのまま石の前に置くと急に石が震え出した。
「え」
「逃げよう」
石はそのままバタンバタンとこちらに向かってきた!
そのまま石は速度を上げていく。
「どうしよう」
「とりあえず学校に戻ろう」
走って森を抜け学校の校舎へ逃げ込んだ。
「とりあえず4階に行って石の動きを確認しよう」
そして4階へ…
石は木や車、建物を全て潰してこちらへ向かってきた。
「石強いね」
「でも四方向にしか行けないみたいだよ」
ガシャン
石が私たちのいる校舎を潰しにかかった!
「どうする?」
「とりあえず二手に別れよう、絶対死なないで」
「分かった」
そうしたら石が私を追ってきた。
「どうしたらあれを壊せるかな…」
そんな事を考えながら無我夢中で逃げていたら神社に戻ってきてしまった。
神社は既にボロボロで鳥居は潰されていた。
辛うじて御社殿は残っていた。
動き出してから15分程経ったが速度が少しずつ増している。
「わっ」
瓦礫に足が引っかかり転んでしまった!
そして石は私の前にきた。
潰される!と思った瞬間、ガシャりと石が崩れた。
「え?」
「良かった、間に合った」
「美咲…?どうしてここに」
「心配でついてきた!」
という美咲の手には丸い石の付いたナイフが刺さった古びたあの本がある。
美咲から石と本の関係、どうやって壊したのか等を聞いていると気付けばすっかり日が落ちていた。