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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女たち

作者: 新名 鈴

「愛」は違ってみんないい。



 楽しかったなぁ。本当に楽しかった。


 今日はいつもより、いや、いつもと比べものにならないくらい、もしかしたら人生で一番楽しかったかもしれない。


 「ねぇ、今日は久々に外食でもしようよ!」


 カズキは、少し驚いた顔をしている。

 それもそうか。外食なんて本当に久々だもんね。何年ぶりかな。


 「ねぇ、イタリアンなんてどうかな?おいしいお店が近所にあるんだって!そこのパスタがすごく人気なんだって!」


 「・・・」


 なんだかカズキは乗り気じゃないみたい。

 それもそうか。

 ずっと私の手料理だったもんね。

 カズキの好みに合わせながら、栄養バランスも考えて、使う食材も全部オーガニック。調理器具だって一流のブランド。シルバーだって毎日磨いて、食器だって有名な職人が作ったもの。これだけ素晴らしいものが揃っていたら、そこらのお店じゃ物足りないもんね。


 「もう、カズキってば。今日は特別な日だよ?今日くらい私の食べたいものでもいいじゃない。」


 「ミズキ・・・もう許してくれ・・・」


 カズキはなんだか元気ないみたい。

 それもそうか。

 あんな女に弄ばれたんだもんね。でももう大丈夫だよ。カズキは本当は弱い人。

 だから、


 「私が今までだって守ってきたでしょう?付き合い始めた頃、カズキが他の女に無理やり付き合わされて、無理やりセックスしちゃった時だって、ちゃんと守ってあげたでしょう?私のお腹に、カズキとの愛の結晶が宿ったのがわかった時、他の女が無理やりカズキを襲って、悪魔の結晶が女の中に宿っちゃったの、覚えてる?あの時はどんな憎たらしい偶然なのかって、私もう震えっちゃたけど、でも、それでも私が守ってあげたよね?そのせいで、私とカズキの愛の結晶は消えてなくなっちゃったけど、でも、それでも私はカズキを守れたから良かったの。あ、そうそう、私とカズキが初めてセックスした1周年記念日、私が素敵なフレンチのディナーを予約したの覚えてる?とても素敵なお店だった。でもその時、カズキは他の女に無理やり誘われて、携帯も使わせてもらえなかったよね。私はお店でずっと待ってた。待って待って、結局閉店時間まで待ってたよね。でも、私が家に帰ったら、「こんな時間まで何やってたんだ」ってすごく心配して、心配しすぎて何度も殴ってくれたよね。私ね、あの時、カズキはこんなにも私のことを愛してくれてるんだって、すっごく感動したの。だからまたカズキを守ってあげたんだよね!あ、あと、私の誕生日に、カズキが他の女に無理やり飲みに連れてかれて、一緒に行こうって言ってたお台場デート、なしになったの覚えてる?あの日は、さすがに少し落ち込んじゃんじゃったなぁ。でもね、カズキのこと、本当に愛してるし、カズキの愛もちゃんと感じてたから、私、また守ってあげたよね?こんなに尽くして尽くして、尽くして尽くして尽くして尽くして尽くして尽くして尽くして


 「もうやめてくれ!」


 「どうしたの?カズキ、どうしてそんな顔するの?・・・あ!わかった!今日はママが死んだ日だもんね!」


 「・・・ミズキ、本当にすまなかった・・・。俺は、ミズキにたくさん酷いことをしてきた。本当にごめんな・・・。だけど、ミズキ。俺は、俺はお前の


 「何で謝るの~?私はすごく幸せなんだよ?ママが死んじゃって、その日からずっと今まで愛してくれて、本当に幸せだよ?だから泣かないでよ。謝らないでよ。私はこんなに幸せなんだよ?」


 「ミズキ・・・もうやめよう。こんなこと。ミズキ、お前は俺が壊した。それは本当に申し訳ないと思ってる。でもな、ミズキ。聞いてくれ。ちゃんと、ちゃんと聞いてくれ。もう、もう俺は辛いんだよ・・・。本当にごめんな・・・。」


 「・・・なんでよ、なんでよ!なんで!なんでなんでなんで!カズキは私の恋人でしょう!なんで!なんでなんでなんで!なんでそんな言い方するの!」


 「ミズキ・・・もうこんなこと終わりにしよう。」




 「なんで!なんでなんでなんでなんでなんで・・・そんなこと言わないで・・・お父さん!」






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