朝起きたら女子高校生!?
僕の名前は、新子洋介。冴えないサラリーマンだ。
アラフォーになって、それなりに安定した収入を得られるようになったものの、それまでは、不況の最中、職を転々としていた。
若い頃は結婚など考える余裕はなかったが、なんとか年上のお嫁さんをもらうことができた。
学生時代思い描いていた人生設計とはちょっと違っていたが、それなりに幸せな生活を送っている。
だけど、最近、僕の奥さん、早苗さんが思い詰めているような気がしてならない。
「子どもはいらない」
そう彼女に言ったけど、本当はほしかったという本音が見抜かれているような、そんな気がしてならないのだ。
もし、見抜かれていたとしたら、僕はとても残酷なことをしている。
彼女が僕のせいで苦しんでいるのだとしたら。
ああ、神様がいるのなら、彼女の苦しみを僕に肩代わりさせてください。
そんなことを願いながら、僕は、早苗さんとツインベッドで眠りに落ちた。
「そなたたちの願い、一つずつかなえてやろう」
そんな声が聞こえた気がするが、気のせいだろうか。
目が覚めると、肩にずっしりとした違和感を感じた。
誰かにのしかかられているのではないとすぐに気づいた。
それは胸の重みだった。
「へ?」
自分のあげた声の高さにさらに驚く。
周囲を見渡してみると実家だった。
しかも部屋の内装が、学生時代のままだった。
部屋には学生服、女子のものが飾られていた。
壁掛けカレンダーは20年以上前のものだ。
どうやら2つの事件が起きているらしいということに気づくのに時間はそう必要なかった。
1つは、学生時代の自分に若返りをしていること。
もう1つは、何故だかわからないが、僕の体が女の子になっているということだ。
もし、そうだとしたら、学校に行かなくてはいけない。
女の子の体になってドキドキしなきゃいけないところだが、なんだか遅刻してはいけないような気分がそれに勝った。
慌てて身支度をはじめる。
下着を身に着けていないことに僕は気が付いた。
もし、昔の実家のままなら、下着はタンスの下から2段目に置いてある。
ブラジャーとパンツがあった。
悪戦苦闘を覚悟したが、意外とあっさりとホックを留めることに成功する。
パンツは種類が多くて迷う。
大人びたものから、無地の地味なもの、子どもっぽいうさぎさんパンツまである。
慌てていた僕は直感的にうさぎさんパンツに手を伸ばす。
うわあああ。何を僕は選んでるんだ。
おっさんが女子制服を着ようとしているだけでも、かなりの変態なのに、こんなものまで見られたら恥ずかしくて生きていけない。
でも、まあ、スカートも長いし、時間もないし、見られることはないかと考え直した。