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幼馴染ともう一度  作者: BUG
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約束と証人

 1ヶ月半以上開いてしまいまして申し訳ありません。この間、本業が忙しく、更新が滞ってしまいました。m(_ _)m


 今回は、あの人と接触しますが、はたして・・・


 

 文也が通う野球教室の合宿当日、俺は(当時はまだ週休二日制にはなっておらず、土曜日は給食なしの午前だけ、いわゆる半ドンだった)学校から直接由美乃の(母親のいる事務所を兼ねた)部屋に直行した。


 「あら、まーくん、早かったわね? 由美ちゃんはまだ帰ってないわよ?」


 由美乃の場合、例の一件以降、さつきや弥生ちゃんと一緒に登下校しているから、いくら小学校の方が近くても、中学校が終わると同時に一人で走って帰ってきた俺の方が早く着くのは計算尽くだ。文也は父親が直接学校から合宿先まで送迎することになっていたから、そちらの心配はしていない。今回の周回ではまだ接点がなかった分、的場さんの方が気になったのだ。もちろん、彼が由美乃に何かをするなんてことを心配しているわけではない。接点がなかったにもかかわらず、何故俺を呼ぼうと母親に申し出たのかが気になり、先に話を聞く必要があると思った。


 「あの・・・ 的場さんはいますか?」

 「どうしたの? まーくんって彼と会ったことあったっけ?」

 「今回は、直接話したことはありません。」

 「今回?」

 「あっ!? いや、親父の友達ってことは知ってましたから!」


 慌てて誤魔化したが、うっかりタイムリープについて口を滑りそうになった。気をつけなければ・・・


 「彼はまだ来てないわよ? おとうさんは文也と一緒に先に行ったけど、私は夕食の準備に間に合うように出るつもりだったから、そうね・・・ 3時くらいには来るんじゃないかしら?」


 そういうことか・・・ 十中八九、競馬だろうな。メインレースはテレビ中継があるから、それに合わせて場外馬券売り場から帰ってくるつもりなんだろうな。2回目の時は、競馬がきっかけで的場さんと深く関わるようになってしまったから、今回は全く興味のない振りをしないとな。

 

 「なら、僕は一度帰ってから、いつもの時間に来ますよ。」


 俺が中学に進学して以降は、帰宅後、4時くらいに由美乃の部屋へ行き、1時間ほど由美乃の勉強を見てから、健太達を迎えて勉強会を始めることにしていた。土曜日は、勉強会は同じ時間から行うものの、2時間ほど早く由美乃の部屋に行っている。そのパターンを変えたくなくって早めに的場さんと会おうとしたのだが・・・ まあ、いいか。


 「おや? 雅哉君、ずいぶん早いお帰りだね?」


 自宅に戻ると、的場さんが俺の使っている勉強机の前に座っていた。先回りされたみたいだ。


 「えっ? 的場さん? どうしてここに・・・?」

 「おや? 僕のことを覚えててくれたとは感激だな。雅哉君とは年末に来た時に挨拶した程度だったから、正直、びっくりだよ。」


 しまった! 確かに的場さんは親父の親友で、ここ(自宅)には毎年決まって12月30日にミカン箱を手土産に訪ねてくるのが恒例ではあったけど、俺とは特に顔を合わすことはなく、挨拶した程度だったから、年末でもない今の時期に、俺が的場さんだとわかって声を掛けるなんてのは、いくらなんでも不自然すぎた。


 「あっ、いや、今、由美ちゃんのところに行ったら、こっちに来てるって聞いたんで・・・」

 「僕は今日、工場の方には顔を出していないよ? 3時くらいに行くつもりだったけどね?」


 マズい・・・ 下手な言い訳をしたせいで、余計に墓穴を掘ってしまったようだ。こうなったら、徹底的に誤魔化すよりない!


 「それはそうと、的場さんが僕のことを呼んだって本当ですか? それこそ年に1回挨拶した程度のことで、僕を信用したなんて話じゃないでしょう?」

 「・・・奥さんから話は聞いていたけど、物言いが中学生のものとは思えないよね。」

 「えーと・・・ 何を仰りたいんですか?」

 「いやね、雅哉君が由美ちゃんを助けたって話だよ。由美ちゃんの様子がおかしいって、うちの雪ちゃんが奥さんに話した直後に、まるで見てきたかのように君から詳しい説明があったって聞いたよ? 聞けば、君と由美ちゃんは登校時に顔を合わす程度だったらしいけど、由美ちゃんに何かあったって、良く気がついたものだなと思ってね?」

 「前の日に僕は見ていましたから。文也は僕の目の前で・・・」

 「現場を押さえたから誰も疑問に思わなかったみたいだけど、実は、文也君は君の目の前で、なんて話は否定してたんだよ。」


 確かに、今回は目の前では見ていなかったが、それを的場さんが疑問視していたとは思わなかった。


 「それが何か問題なんですか?」

 「いや、あの後の君と由美ちゃんを見てれば、お互いに好き合っているのは嫌でもわかるから、そのこと自体を否定するつもりはさらさらないよ。ただ、ずっと引っかかっていただけだから。」

 「引っかかっていたとは?」

 「君が由美ちゃんを助けに未来から来たんじゃないかってね?」


 2回目の時の的場さんも同じことを言っていたが、直接言われたわけではなかったので、意表を突かれた感じだ。だが、2回目と違い、今回は雪姉との接点が無くなっているし、たとえタイムリープのことを知られたとしても、的場さんがそのことを誰かに話すとは思えないし、例の声の主も俺を60才に戻す力がなくなったと言っていたので、どう転んでも影響はあるまい。


 「そうかもしれませんね。でも、的場さんには残念かもしれませんけど、未来のレース結果など僕にはわかりませんから、変な期待は止めてくださいよ。」

 「えっ!? そうなんだ・・・ それは本当に残念だなぁ・・・」


 どうやらそちらが本音だったようだが、最初からその可能性を否定したことで、それ以上、タイムリープについては追及されなかった。


 「あっ、そうそう、いくら君達が好き合っていても、今日は2人きりにはさせないよ。奥さんからもしっかり頼まれているからね。」

 「そんなことわかっていますよ。でも、そうなると、的場さんも含めて3人で寝るってことですよね?」


 まあ、今晩由美乃と()()()()()()()だなんて最初から考えちゃいない。早くても由美乃が15~6才、高校生ぐらいになってからじゃないと、いろいろと厳しいだろうしな。だが、的場さんがいるとは言っても、この年頃の由美乃と一晩一緒の部屋で過ごすのは、これまでの周回を含めても初めてだ。()()()()()()()()に残念な気持ちがないと言えば嘘になるが、それでもワクワク感は否定できない。


 「うん、彼ら兄妹が使っていた部屋に、3人で寝ようってことだね。」

 「確かに、一緒に寝るなら、あの部屋ぐらいしかありませんね。」

 「でも、由美ちゃんにとって、あの部屋は嫌な思い出しかないからね。今晩のことで、いい思い出に変わってくれればいいんだけどね。」


 文也と部屋を別々にして以降、二段ベッドのあった子供部屋は使っていないと聞いている。兄妹のどちらかだけでも、という話はあったらしいが、文也を1人にするわけにはいかないし、由美乃もあの部屋で()()()()()()()を考えると、そこに1人でいさせることは酷だろう。だが、大幅なリフォームでもしない限りはあの部屋はそのまま残るので、今後、由美乃に嫌な思い出がフラッシュバックしかねないから、俺との思い出で上書きすることを考えたらしい。


 夕食を出前ですました後、俺達3人は子供部屋に入った。扉を開けた時、由美乃の表情が少し強張ったが、由美乃の左手を軽く握ると、ホッとしたような表情を浮かべた。


 「由美ちゃん、俺がいるから大丈夫だよ。」


 由美乃は俺の右手を握り返すと、そのまま俺の手を引くように、子供部屋に入っていった。

 俺達は、そのまま、トランプやボードゲームでしばらく遊んだ後、寝ることにしたが、ここで的場さんが意外なことを口にした。


 「僕は二段ベッドの下を使わせてもらうよ。君達は上で一緒に寝なさいね。」

 「はい・・・!? えっ? 俺達、一緒に寝ていいんですか?」

 「良いも悪いも、それしかないだろ? ここには布団だって二組しかないんだし、誰かが二人で寝ないといけないんだからね。それとも、雅哉君は、僕と由美ちゃんが一緒に寝てもいいのかい?」

 「嫌!!」


 的場さんの言葉を否定したのは由美乃の方だった。


 「ほら、由美ちゃんもそう言ってる。でも、由美ちゃんが一人で寝て、雅哉君が僕と一緒に・・・」

 「それも嫌!!」

 「と、いうわけで、雅哉君、くれぐれもエッチなことはしちゃだめだよ。」

 「そ、そんなこと、するわけないでしょっ!!」


 2人きりにはさせない、と言われたから、まさか同衾するとは考えもしなかった、だが、よく考えてみれば、こうなるのはむしろ必然で、俺は的場さんや由美乃の母親に試されているのだと悟った。


 「まあ、二段ベッドの下って、上で何やってるかは見えないかもしれないけど、振動や音で丸わかりだからね。雅哉君ならそれくらい承知だろうけど。」


 由美乃とは小学校の体育館の舞台袖で、かなりきわどいことをしているが、当然同じことはできない。だが、一晩同じ布団の中で過ごすことは、それ以上のインパクトだ。


 「わかっていますよ。じゃ、由美ちゃん、先に上がってくれる?」

 「うん・・・・・」


 由美乃からは、文也が由美乃に()()()()()()をした時は、下の段の文也の場所だったことを聞いていたので、上に由美乃以外の人間が上がるのは今回が初めてということだ。

 

 「由美ちゃんと一緒に寝られるなんて思ってもいなかったよ。」

 「まー兄、やっばり嫌だった?」

 「なんで俺が嫌がるんだよ? 由美ちゃんが良ければ俺は嬉しいよ。」

 「まー兄・・・」


 俺は的場さんの忠告通り、由美乃に手は出さないつもりではあったが、やはりと言うか案の定と言うか、布団に入るや否や由美乃とキスをした。気配で察しているかもしれないけど、これくらいは許してくれるんじゃないかと思ったから。

 タイムリープのことを的場さんに感づかれたものの、今回については大勢に大きな影響はないと開き直った雅哉でしたが、なんとかなったようです。

 由美乃との新しい思い出がまた一つ増えました。こんな感じで、60才に戻されることなく由美乃との時間を重ねるいければいいと、あらためて決意している雅哉です。

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