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幼馴染ともう一度  作者: BUG
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的場さんと父

かなり間が空き、16日ぶり、9月初の投稿となってしまいました。すみません。

そろそろ、競馬ネタでも挟みたいところですが、当分その予定はありません。

 「なんでそうなるんだよ! 確かに今回は全教科満点じゃないし、学年でも3位だったけど、それのどこが悪いんだよっ!」


 俺は昔から親父が嫌いだった。当時は教師が生徒に体罰を与えても問題にすらならなかった時代だったし、親の方も、殴られるだけのことをしたのだから当然という意識だったみたいだ。そんな状況なのだから、家庭内で親が子供に手を挙げるシーンなど珍しくはなかったはずで、俺の父親も例外ではなかった。


 次の瞬間、親父の掌が俺の左頬にヒットした。まあ、こうなるよな・・・


 「お前が全力を尽くすのは、勉強会じゃない。生徒会でもない。自分の勉強だ。違うのか?」

 「だから、ちゃんとやってるじゃないかよっ!」


 今度は右の頬に掌が飛んできた。手加減されているのはわかるが、小中学生が父親にこんなことされれば、反論など普通はできまい。だが、あいにく今の俺は普通じゃない。


 「俺は今やっていることを何一つ止める気はないからなっ! 俺の成績に文句があるなら、先生に言ってくれよっ!」


 俺もそうだが、俺の兄にしても、ここまで親に逆らったことなどない。親父はすぐ手は出るが、別に無茶を言っているわけではない。成績だけを見れば確かに下がっている。その主な原因は生徒会活動であることも親父は理解した上でそう言っていたのだ。


 「隣の雪ちゃんは、生徒会活動をやりながら、いや、それどころか、お母さんが入院している中でも、学年5位以内をずっと守っているそうだ。お前はそれと同じくらい頑張っていると胸を張って言えるのか?」


 これまでなら、2発叩かれた時点で心が折れて、親父の言うとおりにしていたはずだ。だが、今回はそうなったら、由美乃とは事実上終わってしまう。抗うと決心した以上、たとえ親父相手でも引くことなどできない。


 「なら、俺はこの先、一度でも5位以内、いや、3位以内を守れなかったら、その時は従うよ。だけど、そんなことあるわけないけどな。」

 「そこまで言うならもう何も言わないが、結果が出なかったら、わかってるだろうな?」


 1年生の1学期が終わろうとしている時点で、今後、2年半、学年で3位以内を維持するという、もともとの俺なら考えられない約束をするハメになった。そしておそらく2年生になっても生徒会長は代われないだろう。3年になれば、今のルール上は引退可能だとしても、本当に引退できるんだろうか? いずれにしても、めちゃくちゃ厳しい道のりだ。そんな中で、由美乃との時間を何とか作ろうというのだから、我ながらとんでもないことを口走ったものだと思うよ。


     *     *


 「それにしても、とうちゃんが雪姉の成績なんて、よく知ってたよね?」


 あの後、親父は仕事場にしている2階の部屋に戻っていったので、俺はお袋に尋ねてみた。


 「あれ?、雅哉は知らなかったのかい? 雪ちゃんの叔父さんの的場さんって、おとうさんの親友なのよ。毎年年末にミカン箱を持ってくるおじさんのことよ?」


 ああ、そう言えばそんな人もいたよな・・・ 俺たち兄弟とはあまり話すこともなかったし、家を訪ねてくるのは暮れの12月30日だけだったので、実は顔すら覚えてなくて、「ミカンのおじさん」などと呼んでいたのだが・・・


 「ああ、ミカンのおじさんだね。まさか、あの人が的場さんだったなんて・・・」

 「なんか雅哉と最近仲が良いって、雪ちゃんから聞いてたから、知ってるもんだと思ってたよ。」


 それなら、親父が生徒会活動のことに触れなかったのは当然かもしれない。雪姉が関わっていない勉強会を止めさせようとしたのも納得だ。雪姉自身もそうだが、的場さんも俺の外堀を埋めようと、いろいろ策を講じているということだろう。まさか、親父まで巻き込んでいるとは思わなかったが・・・


     *     *


 今はどうか知らないが、当時は夏休みの間、クラス毎に持ち回りでプールで遊ぶことが許されていた。一方で、体育会系を中心としたクラブ活動が行われていたため、夏休み中にも生徒会活動は行われていた。クーラーなんてものは当時の学校には設置されていなかったから、活動自体の忙しさよりも、暑さ対策の方が大変だった。そのため、生徒会メンバーだけは、クラスとは関係なく、いつでもプールに入ることが許されていた。


 「まーくん、一緒にプール入ろっ!」


 まあ、当然こうなるが、俺は断固拒否した。これまでも雪姉は俺の右手を抱え込んで胸を押し付けるようなことを頻繁にしてきたが、中身が60才の俺には、由美乃に申し訳ないという気持ちの方が勝っていた。だが、それを水着姿でされたとしたら、絶対に抗えないような、そんな気がしたのだ。


 「えーっ!? まーくんって、小学生の頃はスイミングクラブに入っていたよね? 泳ぎを教えてもらおうと思ってたのにっ!!」

 「雅哉は体育の成績はあまり良くないみたいだけど、水泳だけは得意だよな?」


 そう、体育や美術は、もともとの運動神経やセンスがものを言うから、何回やり直したところで、成績を飛躍的に伸ばせるものではないのだ。ちなみに、主要5教科以外の他の2つ・・・音楽と技術家庭については、元々の俺もさほど苦手とはしていなかった。


 「まーくんは、アタシの水着姿見たくないの?」

 「だって、水着なんてみんな一緒じゃん。」


 いわゆるスクール水着ってやつだね。学校で派手な水着なんて許されるわけはないしね。


 「じゃあ、まーくんになら、水着の下を見せてあげてもいいわよ。」

 「副会長、さすがにそれはアウトです。」


 健太、ナイス突っ込み!


 確かにプールに入れるというのは魅力だが、雪姉の罠にはまることが確実なら、回避せざるを得まい。まあ、来年以降なら雪姉はいなくなるから、その時の楽しみにしておくか・・・ なんかもったいない気もするが・・・


     *     *


 夏休み中の生徒会活動は毎日ではないし、夕方も早めに帰宅できたので、勉強会はそれなりの頻度で続けられていた。健太から、夏休みの宿題を早めに片付けようという注文がついたが、それならオリジナルの教材を作る必要もないので、俺には何の異存もなかった。

 だが、やはり、雪姉が黙っているはずがなかった。


 「みんなで宿題やるんでしょ? だったらアタシも参加していいよね?」


 雪姉も学年5位の優等生なので、断る理由がない。


 「3年生は受験勉強で大変なんじゃないの?」

 「アタシ、高校行かないわよ?」


 うん? 確か、もともとの俺の記憶では、雪姉は高校に進学していた。だが、高校在学中に祖父が亡くなり、事実上1人暮らしになってしまってから、徐々に不登校になり、結局、中退したと聞いていた。不登校と言っても引きこもっていたわけではない。だが、当時の俺は実際に雪姉がどういう行動をしていたかまでは知らなかった。最終的には隣から引っ越していき、以後の消息は知らない。親父なら的場さんから詳しい話を聞いていたかもしれないが、それを確かめる機会はなかった。


 「高校行かずにどうするつもりなんだよ?」

 「あら、まーくん、心配してくれるの? そんなの花嫁修業に決まってるじゃない? 20才になったらまーくんも18だし、結婚できる年齢でしょ?」


 よりにもよって、由美乃の目の前で、そういうことを言うとは・・・


 「か、勝手に決めるなよ? 学生結婚なんて、うちの親父が許すわけないだろっ!」

 「あら、じゃあ、もう4年待ってあげるわよ?」

 「そういうことじゃ・・・」

 「私、部屋に戻るね。」


 由美乃がいたたまれなくなったのか、その場を離れようと席を立った。それを横目で見ながら、雪姉がさらに追撃してくる。


 「まーくんって、社会科苦手でしょ? おねーさんが教えてあげるから、ちょっとこっちに来なさい!」


 どうやら、雪姉は由美乃にわざと見せつけているようだ。仮に俺が雪姉を選ぶなら、それは由美乃を見捨てるということになる。それを承知の上で、雪姉は行動している。ならば、俺も相応の覚悟が必要だ。いつか、例の声の主が言っていたこと、その時が近づいてきたと悟った。

 雪姉の身体を張った猛攻にかなり揺れ動いている雅哉でしたが、由美乃の目の前でそれをやられて、激しく動揺していますね。ここで流されたら確実に終わりますが・・・

 作者の中学時代ですが、中間試験は主要5教科(英数国理社)のみ、期末試験は主要5教科の他に、音楽・美術・保健体育・技術家庭を含めた9教科のペーパーテストでした。マークシートなどはまだなく、記述式でしたから、先生方はさぞ大変だっただろうと・・

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