4 彼女の名前は〇ルナンデス!?
風の結界は難なく突破した。
さっきは風でよく見えなかったけどアズルートはレンガでできた建物が多く並ぶ西洋風の都市だった。
「綺麗だな」
「同感です」
「どうしても討伐しなきゃダメか?この街並みを壊したくない」
「命令内容はアズルートの制圧で討伐する必要はないと思います。あくまで制圧ですから魔導書図書館をおさえれば問題ないでしょう」
魔導書図書館を支配すれば民もそれについてくる。
最も犠牲を出さないためにはそれがベストプランだろう。
「ちなみにご主人様は制圧して闇の国の領地にすることを約束させればあとは好きにしていいと言っていました。要はあなたの土地にしていいということですね」
「マジか…」
「さて、宿を探しましょう。寝床がないと不便ですから」
「そうだな」
この活気に溢れた街を俺は心から美しいと思った。
人々の結界に守られていて平和で笑顔の溢れるこの日常を壊したくない。
できればこの笑顔を見守っていきたいと本気で思っていた。
「ここなんてどうですか?」
「え?ここ?」
彼女が選んだのはすこし高級そうなホテルだった。
「お金、足りるの?」
「ご主人様から援助してもらってお金なんて腐るほどあるんですよ。はっははー!」
「もしもし。キャラ崩壊してません?」
「ゴホン。では入りましょう。でもその前に…」
彼女は俺の肩から飛び降りると光に包まれた。
光が消えた時にはそこにはメイド服の少女が現れていた。
「さあ、行きましょう」
その後のチェックインなどの手続きは彼女がやってくれた。
部屋はなかなか綺麗でベッドも二つもあった。
彼女は「私にはベッドなんて必要ないんですけどね」なんて言っていたが。
「あのさ。前から気になってたんだけど何故にメイド服?」
「変ですか?」
「いや、なんかすごい気になっただけ」
「そうですか。それより、ものすごく今更ですが名前を聞いてもいいですか」
「たしかに今更ってかんじだな。俺はテオ・マルティネス?よくわかんないけど国王からその名前をもらった。アンタは?」
「私はシャーロット・ヘルナンデスです」
ヘルナンデス!?
おいおい〇ルナンデスかよ。
「むっ。なにを笑ってるんですか」
「ヒヒ…なんでもない」
「馬鹿にしてますよね?」
「してないって」
「いーえ。絶対に馬鹿にしてます」
「いや、してないから」
この二人の漫才は30分近く続いた。