表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話 んだもしたん!

前話同様、場面・登場人物等が変更されています。


前回読まれていた方は、申し訳ありませんが第6話から読み返していただけると、話がつながります。

「して、お前さんは”異邦人”とことだが、それは本当か?」


 この家のリビング通してもらい、そこのテーブルに対面で腰かけ話すこととなったが、開口一番聞かれたのは”異邦人”のことだった。


「はい、フェンリルに言われましたので…」


「フェンリルにか…」


 門番のダンさん同様、そのことが引っかかる感じなのか。

 普通に会話ができるようになったから問題ないと思ったんだが。何しろこうして獣の耳を生やした人とも会話できてるわけだし。


「フェンリルに言われたというが、それはそいつが言っていたのか?」


「はい、あの狼が言っていました。まだ500歳の若さだとも言ってましたが」


 喋る狼で、しかも500歳が若いというくらいだ。ここの寿命はわからないが、長生きの部類に入るんじゃなかろうか。


「そうか…まず初めに言うことがある」


 居住まいを正した長は、改めて俺に告げる。


「普通、魔物と会話はできんぞ?」


 …なんですと?



※※※※※※※※※※



「その様子だと、知らなかったようだな?」


「…はい」


 普通に会話できたのですが?

 ”魔法”ってやつのおかげだとは言っていたが…


「はぁ、またおかしなやつが来よったわ…」


 まあ、異邦人だから仕方ないとか言わないで。

 そんなあからさまに呆れないで欲しい。

 こちらの常識なんて全然知らない、というかむしろ教えてほしいほどだ。


「いいか、魔物とやらは吠えたり鳴いたりするが、言葉は喋らん。魔物同士で意思疎通はしているのだろうが、何を言ってるかわからん。なんせ、普通の鳴き声なんかと同じだからな」


 ふむ、と納得したいが、普通に会話が聞こえちゃってるからなぁ。

 聞いた限り、人間と意思疎通をするような知能を持っているとは思えないから大丈夫だろう。


「だが、稀に魔物の声がわかるものもいるらしい。そういったやつ等は魔物と行動を共にすることができると聞いたことがある」


 なら俺もたまたま言葉がわかるってことにしておいたほうがいいかな。


「フェンリルの言葉がわかるというのも、そうであれば納得できる。だがな、フェンリルと出会って生きているというのはどういうことかわからん。あの『フェンリル』だ。魔物の頂点とも言えるほどだ。それを見て生きてここにいるのはどういうことだ?」


「それはちょっと、いろいろありまして…」


 どうするか、ここでフェンリルに言われたことを話してもいいのだろうか。

 …話すか。

 今は情報収集しないといけないし、こっちのことが”異邦人”だってことを知っている人に聞いておいたほうがいいだろう。


「えっとですね…長は”魔法”ってやつはご存じですか?」


「”魔法”か。”魔法”のことは幾分か聞いたことはあるぞ」


「その、”魔法”というものは一体なんなのでしょうか?」


 フェンリルから言われた”魔法”というもの。

 それのことを知るのが一番大事な気がする。

 なんせ、今も”魔法”がかかっているってことだからな。


「”魔法”っていうものはな、世界から力を借り、使用者や周囲に様々な影響を及ぼすものらしい」


 そこだけ聞くと、なんか物騒なものとしか思えない。

 世界から力を借りるって…


「人族や我ら獣人などの人に近しい種族で言うならば、”魔法”を使用する者はいないはずだ。今使っているのは”魔術”のほうになる」


 だから、新たな単語なんかを追加しないでもらいたい。

 なんでこう、新しいことをどんどん追加していくのか…


「その”魔術”というものはどのようなものなのですか?」


 俺の混乱は置いといて、気になることは聞いておくことにしよう。

 ”魔法”と”魔術”。

 言葉だけで考えると同じようなものにしか思えないが、どう違うのか。


「”魔術”というものは、自らの”魔力”というものを使用して行使するものだ。自分の力を使う『魔術』、世界の力を使う『魔法』という認識でよい」


「”魔法”を使用する者はいないと仰ってましたが、それはどうしてでしょうか?」


 そこまでわかっているなら使う人がいてもおかしくないはずだが、先ほど長は使用する者がいないと言っていた。

 つまり、今”魔法”の使用者はいないということになるが…


「簡単だ。世界から力を借りる方法がわからないのだ。そのため、使用者がいないというだけのことだ」


「わからないから使用者がいない、ですか…」


「もしやお前さん、まさかとは思うが…」


 あー、めっちゃ訝しんでる。

 そら、いきなり”魔法”のことを聞いてきたのだから感づいて当然だ。

 ここまで教えてもらったのだから、このことについても伝えて問題ないだろう。


「はい、フェンリルからは”異邦人”ということを伝えられたのが1つ。あと、”魔法”を使用しているということを教えられました」


「やはり、か…」


 呆れたようなため息、再び。

 しかも今度はジト目でこちらを睨むかのような視線を向けてくるが、事実なのだからしょうがない。


「フェンリルと会話、そして異邦人だということに加え、まさか”魔法”を使用できるとはな…」


「…なんか、すみません」


 気圧されてか、思わず謝ってしまった。

 本当、厄介な怪しい者で申し訳ない。


「ならば、フェンリルと会話をしたというのは…」


「はい、”魔法”を使用して会話できたということでした。ただ、”魔法”をどうやって使用しているのか自分でもよくわかっていないのですが…」


 長からの話を聞いて尚更思ったのが、俺はこの”魔法”を使用しているがどうやって発動したのかがわからないということだ。

 世界から力を借りると言われても、そもそもこの世界の人間ではいない”異邦人”がどうやって借りるというのか?


「と、言われてもな。”魔法”は”魔術”とは借りる相手が違うというくらいの知識しかない。それにさっきも言っただろう。使えるものがいないのだ。だからどうやって使っているなど見当がつかん」


 やっぱりそうか。

 となると、使い方は探さないとわからないということだ。

 って、”魔法”はどうでもいい。”異邦人”っていうのはどうやったらこの世界から帰ることが出来るんだ?


「そうですか、わかりました。なら、”異邦人”という人達はどのようにやって来てどのように戻っていったのでしょうか?」


 どうやって来たかは全くわからないので、ここから帰る方法を知りたい。

 向こうで仕事を放り出してしまったことで、周りに申し訳ないという部分はあるが、他は…

 あれ、実はあまり迷惑がかかっていないのでは?


「”異邦人”が来ることも稀なことだ。儂の爺さんのそのまた爺さんの時代に1人いたらしい。当時は物珍しさに人が集まったということだ」


 目の前のご老人ですら60歳は超えてそうだから、100年は軽く前くらいか。

 そんな前の人だと、流石に今は生きてないか。


「その人はどうなったのでしょうか?」


「詳しくはわからん。当時はこの村もなかったからな。そのまま元の世界に帰ったのか、こちらで朽ちたのか…」


 そうだよなぁ、ここみたいな森の中の村じゃわからないか。

 なら、どこかそういうことが調べることが出来る場所に行くのが一番か。


「そういうことを調べるのに、どこかいい場所はご存じでしょうか?」


「それならここではなく、大きな町に行くといい。そこなら文献なんかも残っていよう」


「わかりました、そこに向かってみようと思います」


 ちょっとはわからないことがわかっただけでも良しとしよう。

 ひとまず帰る手段がわからない今、こっちでどうにか生活をしていくしかないな。

 生活するには働かないといけないわけで、働いて賃金を得ていく必要があるわけだが。


 お金、どうにかなんねぇかなぁ…


 

※※※※※※※※※※



「その町に向かうに当たって、生憎こちらの金銭も持っていないので、どうにかしてお金を稼ぎたいのですが…お金を稼ぐ方法は何かないでしょうか?」


 人生相談みたいになっているのは許してもらいたいが、こっちは帰る方法を調べるために移動するにも、飯も食えていないし夜を過ごすところもない。

 最悪、着の身着のまま野宿するか、そこらへんにある食べられる草を食べないといけないかもしれないが、流石に草はちょっと…


「”異邦人”だとここで生活をするのも一苦労だろうな。一番手っ取り早く金を稼ぐなら、”冒険者”として魔物を狩りその素材を売り払ったり、依頼をこなしたらいい」


 そういやダンさんも”冒険者”のこと言ってたな。

 魔物を狩るってことは、あのフェンリルとかドラゴンと戦うってことか…


 控えめに言って死ぬのでは?


「あー、今は手元に武器になるものも何もないので…」


 って、待てよ。

 そういやアレ拾ってたな。


 フェンリルとドラゴンで思いついたのは、戦った跡にあったアレである。

 アレなら多少は売れるのではないか?


「そうだ、これって売れますか?」


 ポケットから取り出したるは、フェンリルの毛が一房、そしてドラゴンの鱗1枚。

 いつまであっても邪魔になるだけだし、それなら売り払ってお金を得たほうがいいだろう。


 テーブルの上にそれらを置くと、流石に長も驚いたようで、


「…お前さん、一応聞くがそれはなんだ?」


「たぶん、フェンリルの毛とドラゴンの鱗です。戦った跡で拾った物ですが…」


 俺が戦って手に入れたものではなく、戦場を漁って手に入れたものだから苦労も何もなく手に入れたものだから、売れたらいいなくらいの感じしかない。


「…それな、売るとなるととんでもない額になるぞ?」


「は?」


 え、拾い物なのに?

お読みいただきありがとうございました。


次の投稿は、連続になりますが、3月21日22時を予定しています。


面白いと感じていただければ、下の☆で評価してもらえると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ