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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)静かなる戦争
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静かなる戦争:旅順脱出

対空射撃用のレーダー照射を受けてミサイルと一緒に回避できるのはエスコンだけなので初投稿です

アルチョム大尉らは次々と艦内の佐官クラスの人物を手際よく拘束していった。

佐官クラスの殆どは貴族階級であり、その多くが死んだ水兵の代わりはいくらでもいると考えているような人物が大半を占めていた。

彼らは艦内に設置されている懲罰室に閉じ込められ、事実上アルチョム大尉が階級順でレトヴィザンの指揮官になったのだ。

艦内を制圧して30分以内に尉官クラスのメンバーと話し合い、この旅順軍港から脱出する手筈が整えられた。



旅順港に設置されているロシア帝国海軍極東司令部は艦内で起こった反乱をまだ察知していない。

艦は停泊しているとはいえ、燃料と弾薬は既に搬入済みであり、食料と水も二週間程度であれば艦内の水兵たちが飢えない程度にはある。

しかし、供給されている食料と水は上清帝国のものであり、品質はロシア帝国のものよりも悪い。

コレラなどの重大な病気などは引き起こされていないが、それでも数名の水兵たちが腹痛などを訴えているので、可能であれば数日以内にこのレトヴィザンと共に「亡命」ができる国家が望ましい。



「食料事情を鑑みて、ここ数日以内…3~4日以内で到着できる国家は南中華帝国と日本だ…どちらに亡命したほうがいいか皆の意見を聞こうと思う」



アルチョム大尉は既にロシア帝国軍が腐敗しており、もはや祖国に対しては幻滅していた。

今回の反乱も、水兵たちが貴族階級の佐官達によって虐げられていた反動で勃発したようなものだ。

身分階級による不当な差別が反乱の引き金を引いてしまったのだ、しかし、もう後戻りはできない。

憲兵隊にでも捕まったら銃殺刑かシベリア開拓送りになるのは間違いない、アルチョム大尉を含めた反乱に賛同した尉官達はそれぞれ亡命先を南中華帝国か日本のどちらかにするか議論していた。



「仮に、反乱が起こったことが発覚した場合…青島にいるドイツ海軍が我々を攻撃する可能性があります。ここから青島までは直線上で200キロ以内にあり、青島に停泊しているのはドイツ帝国海軍アジア方面艦隊です。駆逐艦8隻、巡洋艦1隻、海防戦艦1隻の合計10隻です。この中でも駆逐艦はドイツで開発された最新鋭の内燃機関を搭載しているという情報があり、南中華帝国側、上海付近に向かうとこれらの駆逐艦に追いつかれる恐れがあります」



アレクセイ少尉はクラーミ大佐が保管していた軍機資料を持ち出して南中華帝国への亡命は避けたほうがいいとアルチョム大尉らに説明した。

ドイツ帝国は極東地域の安定確保の為に南洋の島々に簡易要塞を建設しているが、青島にはロシアと合同で湾港整備がされており、その湾港を守るために青島防衛艦隊が編成されている。

青島防衛艦隊はドイツ帝国の最新鋭駆逐艦「ローゼンハイム級」が8隻配備されている。

ローゼンハイム級駆逐艦は5500馬力、速力27ノットを誇りドイツ帝国でもイギリスの艦隊に対抗するために大量に配備されているという。

南中華帝国への海路には青島防衛艦隊によって塞がる可能性があり、そうなればいくらレトヴィザンが戦艦いえど撃沈される可能性が高い。




「ローゼンハイム級か………ではなるべく追いつかれないように朝鮮半島に沿って日本の佐世保に向かうのはどうでしょうか?こちらが全速で向かえば4日以内に到着できそうです」



「たしかに、大韓帝国には強力な海軍は配備されておりません。ロシア帝国軍でも不要になった旧式の魚雷艇が数隻あるのみです。このレトヴィザンでも十分に対処可能です」



ウラジミール少尉、ソドロフ中尉は海路上の安全を考慮して日本への亡命をアルチョム大尉に推薦した。

大韓帝国には軍艦と呼べそうな船はいない上に、あったとしても旧式の魚雷艇が3隻配備されているだけであり、朝鮮半島に沿って南下し佐世保に向かえば大きな支障を負うことなく日本への亡命が可能になるだろう。

アルチョム大尉も最終的には同意して、かくしてレトヴィザンの日本への亡命が決まったのだ。

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