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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)静かなる戦争
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静かなる戦争:反乱

世間ではクリスマスですが、私は三連休ともに出勤していたのでクリスマスはありませんでした

「じょ、上官が狂ったァァァァ!!!」



「ひぃぃぃぃ!!!助けてくれぇぇぇぇ!!!」



響き渡る悲鳴、そして乾いた発砲音が艦内に響き渡る。

水兵たちは銃で発砲してくる上官に成すすべなく倒れていく、コルト社製M1903で水兵を4人ほど射殺した所で銃は弾切れを起こした。

弾切れを起こしたところで、いつ発砲されるか分からない状況の中、勇敢な水兵によって上官は取り押さえられる。



「ふざけるな!!!ふざけるな!!!ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



しかし、錯乱しながら大声で絶叫する上官を見た水兵たちは上官が正常な状態ではないことを認識し、直ぐに事態の対処の為に艦内で尉官クラスの軍人が集まってレトヴィザン艦長のクラーミ大佐の元に詰め掛けて、錯乱を起こし5人の水兵を殺害した上官の処罰を求めた。

処罰を特に強く求めていたのは尉官の責任者であるアルチョム大尉であった。



「ムドロフスキー少佐の行動は異常としかいいようがありません!!!奇声をあげて水兵を殴り殺した直後に拳銃で止めに入った水兵たちを射殺するなど、いくら少佐が貴族いえど許されるべき案件ではありません。すでに水兵が5名殺害されており、艦内では水兵たちの不満が爆発寸前です!!大佐!!!貴方の権限を使ってすぐに少佐を軍病院に送ってください!!!」



現在ムドロフスキー少佐は医務室で手足を拘束された状態で保護されている。

保護されているというのは、仲間を殺された水兵たちが私刑リンチをしかねないという理由から医務室前にはモシンナガンで武装した兵士が配備されており、なんとか怒り心頭の水兵たちを抑え込んでいる。

ムドロフスキーの部下であるアルチョムらは大佐に5名の水兵を殺害したムドロフスキー少佐の厳罰の処分を下すように求めていた。

平時で、しかも部下の水兵を撲殺と射殺を行った少佐は常軌を逸脱しているのは誰の目から見ても明白だ。

しかし、クラーミ大佐は首を横に振ってその要請をあろうことか却下したのである。

理由はムドロフスキー少佐の父親がロシア帝国海軍少将であったからだ。



「ムドロフスキー少佐は水兵が反乱を起こし、それを処断した扱いになるだろう…分かるか?もし私がムドロフスキー少佐を軍病院送りにでもしてみろ。私の一族全員の首が飛ぶんだ…いや、私だけじゃない、君たちもだ!!!少将の一声で!!!シベリアで木を数える仕事に就かされるんだぞ!!!たとえ全員で訴えても少佐の父親が少将クラスであれば『事故』としてもみ消されてしまうのだ!!!」



実際にクラーミ大佐の言っていることは間違いではなかった。

このレトヴィザンに乗艦する以前にも少佐は時々トラブルを起こしていたからだ。

トラブルの中には殺人などの重罪行為を含まれていたのだが、父親の権限によって軍内部でも指導が上手くできず、それでいてムドロフスキー少佐がエリートで優秀な成績を収めていることが災いして中々処罰が出来なかったのだ。

例え訴えたとしても不起訴処分にされるのがオチであり、このいびつな軍規則と軍階級ではなく身分階級によってロシア帝国軍内部は綱紀粛正が図られていても、そのすべてが取り除くことはできないでいたのであった。



「…大佐、以前にもムドロフスキー少佐は殺人行為で不起訴処分を受けていたそうですね、今回の件を合わせると述べ数十人の兵士が彼の一時の感情の突起によって殺害されたのです。それを見過ごせと?」



「見過ごすのではない、ムドロフスキー少佐を落ち着かせることが大事なのだよ…水兵であれば()()ができるが、佐官クラスであればそう簡単にできるものじゃない。ムドロフスキー少佐の処分は私がやっておくから君たちは早く艦内の水兵たちを落ち着かせて………おい、何の真似だアルチョム大尉、その銃を下ろせ!!」



アルチョム大尉はホルスターからナガンM1895を取り出してクラーミ大佐に銃口を向けた。

他の尉官達も銃を取り出して大佐の周りを囲んだ。

クラーミ大佐は顔を真っ赤にしてアルチョム大尉を怒鳴りつける。



「アルチョム大尉!!!貴様自分のしていることが分かっているのか!!!上官に銃を向けるなど気でもおかしくなったか!!!」



アルチョム大尉は顔色一つ変えずに淡々と語りだす。

それはこの艦内で反乱を伝播させる第一声でもあった。



「大佐、我々は軍人です。軍人である以上、貴族や平民、農民も関係ありません。そうした身分階級を持ち出して部下の不正を見逃す上に、正当な処罰を下さないと…?ここまで軍の規律が乱れているにもかかわらず、貴方は何故対処しようとなさならずにもみ消そうとするのですか!!!これほど多くの目撃者がいるにもかかわらず、少佐の犯した罪を見逃せと…残念ながらそれは出来ません、アレクセイ少尉、ウラジミール少尉、ソドロフ中尉、クラーミ大佐は軍の秩序を乱したムドロフスキー少佐を匿い、且つ他の佐官クラスのメンバーと結託して事件を隠蔽しようとしている。艦内でムドロフスキー少佐を匿うそぶりをしている佐官クラスを拘束しろ。クラーミ大佐、貴方を軍規に則り拘束させていただく」

丁度数年前に恋人と別れたときがクリスマスだったので、稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」を絶叫しながら車内で号泣しながら歌ったのは思い出深いです(白目)

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