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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)静かなる戦争
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静かなる戦争:試作36式榴弾砲「臥龍」

成年向けで世紀末風の小説書きたい(ポストアポカリプス風味)欲望が出てきてしまっているので初投稿です

「短機関銃に狙撃銃…だが、戦争の勝敗を握るのは…この臥龍(がりゅう)に他ならないな」



臥龍…それは来るべき日露戦争において、漢城府並び旅順要塞攻略の切り札として開発している榴弾砲のことだ。

英国大手重工業メーカーのハイトニア社と、二十八センチ砲の開発・生産に成功している大阪砲兵工廠の協力を得て目下試作品の完成が急がれている榴弾砲だ。

重量6t、全長9メートル、21cm口径のこの榴弾砲は第一次世界大戦基準で試作品が作られている、勿論、この攻城砲がどのように役立つのかについては、開発部のメンバーの面々の意見やアイディアを用いて研究を続けている。

臥龍の特徴は現地で分解・組立が容易な構造をしている榴弾砲でもあり、二十八センチ砲よりも移動とコストの面で優れている、また英国の砲弾のサイズと同じものを使用しているので、英国への面子も立つのだ。



「試作36式榴弾砲…社長が英国のハイトニア社の技術協力を得て開発している最新鋭の攻城砲ですね、よくハイトニア社も協力を承諾してくれましたね」



「ロシア帝国との全面戦争になれば真っ先に九州と北海道が攻撃対象となるからな、朝鮮半島をロシア帝国が抑えている現状では、我が国がロシア帝国・上清帝国・大韓帝国の三カ国との間で戦争になれば、真っ先に要塞を陥落しなければならない、その為には日英同盟を締結した恩義とやらで技術協力を取り付けてもらったのさ。移動が容易で、且つ二十八センチ砲よりも重量が軽く、それに劣らない火力を有する火砲があれば要塞を攻略しやすくなる。その為にイギリスも仏露同盟が破棄されてロシア帝国がドイツ側に付いたから、慌てて協力を申し出ているのだよ」



ロシア帝国の寝返りは英仏にとってまさに最悪といって等しい行為であった。

ドイツ帝国は東方の安全を確保し、ロシア帝国はドイツの支援を受けて軍隊の近代化を急速に早めている。

そしてオーストリア=ハンガリー二重帝国もドイツ帝国の支援によって最新鋭の武装を整えているという情報を入ってきている。

おまけに国家体制が死にかけているオスマン帝国もドイツ帝国の支援を頼りに専制政治の打倒を目指す青年トルコ会の弾圧を開始し始めた模様だ。



オスマン帝国が列強諸国からの戦争で相次ぐ敗戦を受けて領土割譲を余儀なくされた結果、オスマンの債務額は莫大な金額に膨れ上がった。

そうした対外債務によって国内の経済は悪化していき、すでにオスマン帝国ではアラブ人によるサボタージュが頻発しているという。

こうした事態を受けてオスマン帝国はドイツ帝国に泣きついて一部領土の租借地とすることを条件に同盟を締結し、各地で反専制政治運動の弾圧を徹底的に行っているということもあり、第一次世界大戦の火蓋はサラエボではなくオスマン帝国で起こるかもしれない。



「どのみち、欧州列強各国や極東ロシア、朝鮮半島がきな臭い以上、こうした新規の武器・兵器の開発を進めてもらわないといけないのだよ…戦争で大勢の人たちが家を失い、家族を失う光景は見たくない。しかし、戦うことを放棄すれば強者の奴隷に成り下がる………戦争とは常に無情であり、源頼朝や足利尊氏、徳川家康が活躍したような絵巻で語られるようなものではない、刀を交えるよりも遠い場所から銃を撃ち合うのが近代の戦争だ…いずれ地平線や水平線の先で兵器を撃ち合う時代が来るんだよ」



「つまり、我々日本が欧米列強諸国に遅れを取らないようにこうして最新鋭の武器や兵器を開発していく…ということですか?」



「それもあるが、武器や兵器の進歩は戦術レベルで進歩していくんだ。30年前の戊辰戦争では銃や刀による近接戦闘での戦いが主流だったけど、西南戦争では火砲などによる城への攻撃を実行し、そして9年前の日清戦争では軍艦による大々的な海戦が行われたんだ。戦いは常に進歩し、どれだけ多くの敵兵を殺して陣地を奪うかによって決まるんだ。ただ、そうした()()を占拠してもあっちこっち拠点を構えて徹底抗戦する相手が現れたら、我々がどんなに強大な武器や兵器を構えていても苦戦するだろう…武器や兵器を開発する上で忘れてはならないのは、一人一人が持つ道具がこの国に住んでいる数千万人の人々を守るのと同時に、数十年生きてきた相手の兵士を殺すことを前提に作られているということを自覚しないといけないんだ。こうして工廠を建てて偉そうにしている私が言えた言葉じゃないが…すまない、少々しゃべり過ぎたようだ」



「いえ、社長のおっしゃっていることはよくわかります…いやはや、社員に今一度徹底しておきたいと存じます」



もうじき戦争になるだろう。

それがオスマン帝国か、ロシア帝国か…あるいは朝鮮半島、中国大陸か………いずれにしても、時間は残り少ない。

戦争に備えて万全の態勢を整えないといけないな…。

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