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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)対馬動乱
90/125

対馬動乱:ナガサキ

……〇……



西暦1900年(明治33年)1月4日



【対馬北部で大規模な爆発 死者・行方不明者38名】



新聞の第一面を飾っているのは対馬北部で建設途中の要塞が爆発を起こしたというニュースだ。

新年早々に痛ましい出来事が起きてしまった。

要塞の弾薬庫が突然爆発して建設作業員として働いていた者や警備をしていた兵士など38名が死亡ないし行方不明だという。

また、周辺の森林や集落に爆発で生じた火災によって燃え広がり、一つの集落が焼失したとも書かれている。

不幸中の幸いなことに、集落では爆発の音で住民たちは目を覚まして逃げたため、集落にいた人たちは奇跡的に無事であったという。

警察の発表では事件と事故の両方で捜査を進めているそうだが、仮に事件であれば日本に対する攻撃であると判断できるし、事故であれば火の不始末で生じた結果である可能性が高くなる。



「新年早々にこんなことが起きるなんてな…場合によっては大韓帝国とロシア帝国との戦争になるかもしれないな…」



まだ大韓帝国やロシア帝国がやったという確証があるわけではないが、日本との関係が悪化している大韓帝国とロシア帝国が工作員によって破壊工作を行ったという事も考えられる。

爆発が起こった白浜崎沿岸要塞は大韓帝国の釜山と目と鼻の先にある。

それに白浜崎沿岸要塞はロシア帝国海軍が極東アジア地域への進出を防ぐための防波堤として急ピッチで建設が行われていた要塞でもある。

ロシア帝国海軍はウラジオストクに軍港を有しているが、それでも停泊している部隊は日本海軍が全軍で攻撃を行った場合には数日で陥落する程度の戦力しかない。

ロシア帝国海軍の本隊は黒海やサンクトペテルブルグに本拠地を構えているので、史実では日露戦争が勃発した際にロシア帝国海軍はヨーロッパ側から本隊を派遣して日本海海戦を行ったのだ。



「きな臭い………阿南殿、これは予め仕組まれたもののようじゃな………それも、要塞爆破に関しては陽動じゃろうな………本命は別にありそうじゃ」



蒼龍は新聞を見て、これは事件であり爆破犯の狙いは要塞ではなく別にあると発したのだ。

なぜ分かるのかと尋ねると、大晦日の日に半島にいる情報提供者から大韓帝国で親日派の知識人が当局からの追跡を振り切ろうとした際に船が転覆して行方不明になったという情報が入っていたという。



「その知識人の名前は李・前文という者じゃ、李は元開化派の人間だったそうでな…日本との関係強化を訴えていたらしいが、政変で敗れた際に当局との取引に応じて重罪を逃れたそうじゃ、それでも秘密裏に日本の情報機関と接触していたそうじゃが12月28日に事態が発覚して日本に逃走しようとしていたようじゃな………逃走の際に李の乗った船は横波に攫われて転覆し、生死不明だったようじゃが………どうやら生きておったそうじゃ………」



少なくとも爆破が起こった直後までは生きていたと蒼龍は語る。

李に関する情報を休みを開けてから1月2日に集めようとしたのだが、どうやら一足早く大韓帝国側に李の生存情報が手に入ったようで、爆破事件が大々的に報じられている理由として李を暗殺ないし奪還するのが目的だったと話す。



「つまり、李の殺害を大韓帝国政府が単独でやったというわけか…でも要塞を爆破させるなんて、もし事態が露呈したら日本と戦争になるかもしれないのにそこまでやろうとしたのに………なぜ大韓帝国政府はそんなリスキーなことをすることを選んだんだ?」



「恐らくロシア帝国が援助を行ったんじゃろう………爆破に使われたモノも大韓帝国・ロシア帝国両政府にとって不都合なモノは使われいないはずじゃ、恐らくヨーロッパ製のものが使われたと余は睨んでおる。ただ李を抹殺するためならばこっそりとやればいいのに要塞まで爆破したら疑われるのは真っ先に大韓帝国じゃろうて………余程重要な物を持ち込んでいたかもしれんのう、もしかしたら名前を偽って住民に匿われていたかもしれん、今ならまだ対馬に証拠があるはずじゃ…早速手の者を向かわせて調査しておく」



蒼龍はそう言って范を呼び出して指示を出していた。

やはり蒼龍もこの事件が大いに気になっているようだ。

もし大韓帝国が爆破事件を行ったことが露呈すれば戦争になる可能性が大いにある問題だ。

どうやら開戦前の状況になりつつある。

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