六月十二日:防災省
大物動画配信者が帰還してきたので初投稿です
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30分という時間はあっという間に過ぎてしまった。
一先ず関東大震災などの大災害に備えての防災訓練などを民間レベルで普及するようにお願いはした。
明治三陸地震が二年前に発生して、この地震で発生した津波が岩手県を中心に太平洋地域に大きな被害をもたらしたのだ。
そうした被害状況を踏まえたうえで、災害対策(洪水・地震・火災等)を取りまとめる防災省を設立し、各都道府県の各地区に避難民保護施設の設置、非常食の備蓄などを設ける案件などを説明したところで時間になってしまった。
防災に関しては陛下も明治三陸地震の時の被害が大きかった場所の写真などを見て心を痛めていたようで、そうした災害から多くの命が救えるのであれば防災省の設立を閣僚に呼び掛けてみようとおしゃってくれた。
謁見を終えてから、私と蒼龍は宮城を後にすることになる。
馬車の中で蒼龍は私に話しかけてきた。
「話したいことは済んだかの?」
「………軍の統合化についてはお話することが出来なかった…でも防災省の設立を閣僚で議論してもらえるだけでも有難い。ところで、陛下とはお話をしなかったが、蒼龍は陛下を見て何か感じたか?」
「………うむ、数千万の国民のことを真剣に考えている、特に阿南殿に対して心から感謝していたのう………余が呼ばれたのも恐らく向こうで”気配”を感じ取った者がいたからかもしれん」
「気配?気配って………竜の?」
「そうじゃな、我々青龍族というのは元々人間とは異質の血が流れておるのじゃ、阿南殿も何度か見たじゃろう、竜の本当の姿を………そうした異質な姿を余が人間の姿でいるときに感じ取れる人間はそう多くはない。しかし、余を招待したということは陛下自ら確認したかったか………あるいは陛下の重鎮の中にそうした気配を感じ取れる者がいたかのどちらかじゃな。最も、陛下は余に対して攻撃的な事は言わなかったし、思ってもいなかったようじゃった。つまり、余のことを知りたがっている者が招き入れようとしたのかもしれん。」
「………殺意とかそういうのは感じなかったんだよね?」
「うむ、まぁ大方様子見といった所じゃろう。余が青龍族の末裔と知っているのも清国内部でもごく少数、そう多い人間にまでに青龍族に関することを知っている人間はいない。知っているとしたらそうした情報を扱っている人間、政府関係者ぐらいじゃろうか………そうであっても日本に有益をもたらしてくれている阿南殿を害そうとするようなことはしないじゃろう、むしろ政界との結びつきを増やそうとしているのじゃろうて」
結びつき、政治というのはかなりシビアなバランスによって保たれている。
その中でも戦前の陸海軍は強力な発言権を得ていたはずだ、政界との結びつきを増やすのであれば、私の思想と同一、ないし似ている政党や人と接近する必要があるが………あまり政治にいろいろ突っ込むと痛い目に遭うかもしれない。
「………阿南殿は、もしこの先日本という国を変えていくのであれば、政界へ足を踏み入れていく必要もでてくる、そうなったら余や范が手伝ってやるからのう、いざとなれば余が竜となって阿南殿の身を守ろう………」
「ありがとう蒼龍、私が政界に入るのもそう遠くないのかもしれないね…となれば、いろいろとやるべきことを済まそうか…」
やるべき事は山ほどあるが、その中でも早いうちに済ませたいのが蒼龍との婚姻の儀だ。
風邪で寝込んでいた時に何かと蒼龍から婚姻してほしいとせがまれたのだ。
曰く、私の苗字である阿南の姓になりたいと…それに、婚姻すれば無茶しないだろうと思っているのだそうだ。
うん、そうだね…早いうちにやろう。




