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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)六月十二日
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六月十二日:ガロン

「そうか…帝国はアメリカに負けたのだな…そのあとの日本はどうなったのだ?」



「アメリカを中心とする連合国軍による占領政策によって日本は一からの出発を余儀なくされました。しかし、アメリカとソビエト連邦との関係が悪化したことを受けてアメリカは極東アジア地域におけるソビエト連邦との最前線である日本に対して大規模な支援を行います。アメリカからの支援物資の中には食料も含まれており、この大規模な支援によって多くの人たちが救われたのもまた事実です。1947年に軍隊は解散させられ戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法が施行されました。日本は経済復興を最優先に舵を切ったのです…そのために軍隊を保持することが出来ない状態が長らく続きました」



日本国憲法は連合国…特にアメリカ主導によって作られた憲法であるので、今日に至るまでその憲法が時代遅れであり改憲を行うべきだという意見もあった。

特に戦力放棄と陸海空軍の保有、交戦権を禁じた憲法九条には攻撃された場合のみに反撃の許可が下りるというものだが、現代戦においてはミサイルなどの長距離兵器によって日本国が攻撃された場合には日本には日本本土に着弾するミサイルへの迎撃以外で反撃できる兵器が無い。

つまり、他国から軍事的攻撃を仕掛けられた場合、他国軍が侵攻をしていても自衛隊の施設ないし民間人への攻撃がない限り個別的自衛権が行使できない上に、日本に向けて何十発も撃ち込んでいる攻撃国のミサイル基地を攻撃する事は出来ない。日本国は交戦権を行使できないまま一方的に他国の攻撃に蹂躙されることを前提とした憲法であると非難している政治家や改憲派の団体も多い。

私が死亡し転生する直前まで、この憲法九条については特に与野党で激しく議論が交わされていた。



「しかし、軍隊すら持たないというのはいくら何でも無理があるのではないか?もし近隣国で戦争が起こった時に日本を占領しているアメリカ軍への攻撃があっても日本は反撃すらできないではないか」



「ええ、憲法が施行されて数年後にに朝鮮半島でアメリカが支援する大韓民国とソビエト連邦が支援する北朝鮮が戦争を起こしたことにより、日本に()()()()()の軍事組織である保安隊が設立され、それから数年後に国防を担う自衛隊が発足し私が転生する直前まで自衛隊が軍事組織として日本の国土を守っておりました。米軍が日本各地に基地を置いて、その抑止力によって日本は経済発展を遂げて、高度経済成長期と呼ばれる好景気が起こり、その恩恵を受けた世代によって1980年代は日本製品があらゆる分野において上位を占める結果となりました。経済力はイギリスやドイツ、フランスを抜いてアメリカに次いで世界第2位になり、その高度経済成長期において即席めんが誕生したのです」



軍事費を最低限に抑えて日本がアメリカ軍の抑止力で守られた恩恵で、日本は飛躍的に経済力を増した。

1964年に開催された東京五輪は戦後日本を象徴する出来事であった。

日本の経済・文化的成長は東洋の奇跡と呼ばれるまでに至り、日本が第二次世界大戦で被った被害から立ち直ったと位置付けるのはこの年であると語る学者もいる。

そして軍事力ではなく経済力でアメリカに対抗する、それが戦後日本が取ったアメリカに対する武力無き経済戦略であった。

品質が良く、価格も安い日本製品は世界中に出回り、多くの人々が日本製品を手に取った。

日本の会社のロゴマークの入った電化製品、自動車は飛ぶように売れて日本が経済大国としての黄金期ともいえる時代だった。

アジア随一の経済大国は1990年代初頭まで続き、この時代における日本の立ち位置は先進国の名前に相応しいほどの成長であった。



「しかし、それから暫くした後に日本は長期的な不景気などが続き、衰退期を迎えました。1992年から2017年までの四半世紀の間に技術的進歩もありましたが、経済界は以前よりも消極的になり、働くことを放棄する人も大勢出ました…こうした時代が長らく続いたことにより、日本国内では大規模な改革を訴える新右翼政党「日本躍進党」が国民からの支持を受けて急成長し、野党でも三番目に議席を占めるようになりました。日本は戦争もなく経済発展を遂げましたが、日本の和を象徴する文化は失われつつあったと感じます」



私は未来の出来事を記憶している範囲で説明し終えると、明治天皇はその膨大な話を驚きながらも最後まで話を聞いて頷くと、ではこれから君は日本をどうしていくつもりかと問われた。

私の思っている事を明治天皇に直接言うべきだろう。

私による近代日本改革のプロセスを説明することになった。

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