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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)KaiserReich
77/125

KaiserReich:Kaze

風邪を引いたので初投稿です

……○……



西暦1899年(明治32年)5月1日



というわけで、やっとこさ東京に戻ってきた。

馬車の中で揺れながら二泊し、昨日汽車に乗り込んで帰ってきたんだ。

浅草に到着したころには夕方になっていて、蒼龍がわざわざ出迎えてきてくれた、美人な上に蒼い袴姿の蒼龍は何かと周囲の人の視線がチラチラ差しかかっていたみたい。

そんな蒼龍が出迎えてくれた礼にと、浅草の抹茶専門店で高級茶葉を二人で飲んでから帰宅し、疲れが溜まっていたこともあってかそのまま布団の中に籠って死んだように眠ることにした。



それで今日、朝起きてみると妙に身体が怠いのだ。

なぜか無重力状態にいるような、今の自分であれば空を飛んでタミフル効果で自由になれるような気がするぐらいに調子がおかしい。

体温計で熱を測ってみると38.6度………明らかに風邪を引いてしまったようだ。

なんてことだ、風邪なんて転生してきて以来引いたことがない。

いや、転生直後に私は風邪を引いていたはずだ、だから4年ぶりに体調が悪い。

こうも体調が悪いと会社に出勤することも出来そうにない…。



「あーっ………ここ立て続けに夜遅くまで起きていたからかもしれないな…」



風邪を引いた原因はいくつか思い浮かんだが、一番の原因は夜遅くまで仕事をしていたからかもしれない。

蒼龍に「もうお休みになられては如何かのう?」と心配されたことがあったが、仕事が楽しくて大丈夫だよと答えていた…夜中の2時ぐらいまで飛行機事業や新しいお菓子の製造などを考えているうちについつい時間が過ぎてしまう。

新しいお菓子は洋菓子を安く庶民に普及させようというものだ、原価も安く済み誰でも購入できるような駄菓子風のお菓子の製造を考えていたんだ。

私の本業らしい仕事を今年中にやろうと張り切っていた矢先に風邪とは…。



「うぬぬ………仕方ない、今日は休むしかないな………っと、あれ?蒼龍がいないぞ」



確か一緒に寝たような記憶があるのだが、蒼龍の姿が見当たらない。

台所や二階の書斎にもいないので、何処かに買い物に出かけたのかもしれない。

ちょうど、范さんが来たので私が風邪を引いたことを伝えると、ゆっくり休んでくださいと言われて、今日予定されていた会議は一先ず明日以降に延期にすることになった。

これで会社は一先ず大丈夫かな。

范さんと入れ替わるように、蒼龍が戻ってきた。

なにやら小包のようなものを抱えていて、私に対して直ぐに布団で寝ているようにと告げると、湯呑茶碗に白湯を入れて小包の中から粉状のモノを渡して飲むように言った。



「………最近阿南殿は、働きすぎじゃ…余が起きて隣で熱が出ているのを見て中薬(中国における漢方薬のこと)を扱っている医者の所から持ってきたのじゃ、しばらく無理をするでない。それから、朝ごはんは粥にするからのう、今日は一日ゆっくり休むことが仕事じゃ」



「ありがとう蒼龍………心配かけてごめん」



「いや、阿南殿がもし心労を患って倒れてでもしたら余以外にも会社の者たちが困るぞ、もう阿南殿は一人でない…」



蒼龍は私が苦い漢方薬を飲んだのを確認すると、急いで粥を作ってくれた。

暖かい粥を食べながら、蒼龍が隣で私をじーっと見つめている。

いつも急いで食べていたからそれを心配しているのだろう、うん、絶対そうだ。

なので、いつもよりゆっくり食べて胃が荒れないように時間をかけて粥を食べた。

粥を食べ終えて布団で横になり蒼龍が食器の皿洗いを終えると、いつも就寝することのように部屋着に着替えて私の隣に潜り込んで対面するようにぎゅっと抱きしめられた。

竜の姿になって蒼龍の温かい体温によって、まるで電気コタツの中に入っているようなホカホカした感じになる。



「だいぶ阿南殿の身体が冷えているようじゃから、こうして温めたほうが風邪も早く治るじゃろう…苦しくはないかの?」



「ううん、苦しくないよ………」



「そうか…それじゃあ、このまま余が阿南殿の身体を温めていてもいいかの?」



「うん………」



蒼龍に抱き着かれて、私は身体を休ませる。

蒼龍のぷにぷにとした竜独特の肌の感触に包まれながら、私は目を閉じて蒼龍が呼吸する音を聞き、時間はあっという間に過ぎていったのであった。

皆さんも風邪には気をつけてください

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