KaiserReich:交通網
自動車導入してほしいという意見が多いので交通網に関するお話を初投稿です
…新聞を読み終えてから、私は東京に帰る馬車に乗り込んで研究員や二ノ宮博士、テスラ博士の見送りを見てから研究所を後にした。
まだ諏訪湖周辺は鉄道が建設途中であり、蒸気機関車が走っている場所までこれから向かうのだ。
といっても、まだ中央本線は出来上がっていないので、いくつか宿に泊まって数日かけて東京に戻る、現代であれば諏訪湖の中央本線の特急列車「あずさ」であれば2時間弱、高速道路をつかえば3時間で東京に行けるが…高速道路は無いし高速で走る乗り物はまだないので馬車に乗って、宿に泊まり休息をとってから…というサイクルで東京に向かう。
馬車の中で揺られながらこうして移動に苦労すると、つくづく現代の生活が充実していたかを思い知らされる。
車か…たしかまだ車は輸入品として日本には少数しか入っていないな。
海外だとダイムラーベンツなどが名乗りを上げているはずなのだが、自動車の普及には時間がかかるだろう。その理由としては日本は山岳地帯が多く急な勾配があり、道路は砂利道が殆どを占めているので、平野や平地が多く整備された道路が多いヨーロッパと比べても日本は道路などのインフラ整備を行わないと、自動車は普及しないのだ。
史実でも、自動車が普及したのは戦後の高度経済成長期に入ってからだ。
その頃になってようやく日本は復興期を経て、全国に舗装された道路が整備され、自動車の価格も庶民でも購入できる金額になったので購入できた。
「今の輸入車が5000円………庶民の平均月賦が15円、私の会社で働いている従業員の給料が30円、大卒の国家公務員の初任給が50円だから………とてもじゃないが庶民は買えないじゃないか………」
馬車の中でつぶやいてから自動車産業への参入に関して監がる。
今、自動車の開発は急務であるが…先にテスラ博士がダムの発電機を完成してからでないとどのみち車のエンジンは作れない、他にもタイヤなりシャーシなりを作るにも技術がいるし、私の知識では車のメーカーや名前はしっているが、エンジンにどんな部品が使われていたか等は知らない。
私の前世…転生する直前に通勤に乗っていた車はスズキのジムニーに乗っていたが、エンジンルームを開けたことは会社の駐車場近くに住み着いている猫がエンジンルームに迷い込んでしまったときに開けた時以外に開けた記憶がない。
仮に、自動車を作るとしたら山岳地でも走破できる車を作らないとまず売れないだろう。
トラックを売り込むにしても、まずは険しい山道を走破してもらわないといけない。
兵員輸送が可能な乗り物は戦場で活躍する、第一次世界大戦の西部戦線ではフランスのタクシーが兵士を前線に輸送していたという話を聞いたことがある。
だが、先程も話した通り…フランスは平野が多く、高度差のある場所はあまりない。
私が自動車会社を設立するにしても、最低限クリアーしなければならない点を挙げるとすれば以下の三つだ。
・峠を走破できる走行能力を有する車
・峠を越えるにあたって車輪・タイヤ・サスペンション、ブレーキの大幅な強化
・道路、給油所の整備
ただ自動車を作ればいいというわけじゃない。
自動車を作ってもそれを買う、購入者のことを考えないと日本ではまず自動車は売れない。
そのためにも峠を走り切れるぐらいでないと見向きもしないだろう、せいぜい富豪や軍などの一部の人にしか扱えない乗り物という印象を持たせてしまう。
特に、エンジンが脆く峠を走破できずに故障するようであれば日本ではまず車は信用できないと思われる。
テスラ博士に自動車のエンジンの開発を依頼するとしたら、先の飛行機で作り上げたエンジンを小型化して馬力を落とさずに車に乗せるようにしないと峠でつっかえるだろう。
ジムニーを作れとは言わないまでも、戦後日本の国民車となった富士重工業が作り上げたスバル360並みの物を作れないと日本でのモータリゼーションは夢のまた夢に終わってしまう。
そうならないように、現代の国土交通省のような役割を担っている工部省に働き掛けないといけないのだ。
どうやってアプローチを取るか考えこみながら私は東京に到着するまでの間、ずっと考えていたのであった。
ちなみ阿南豊一郎が乗っていたジムニーは2018年度モデル(JB64型)です。




