KaiserReich:タ式航空機、空を飛ぶ
一般公開で初飛行された飛行機は、歴史を大きく塗り替える、待望の新章突入なので初投稿です
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西暦1899年(明治32年)4月26日
いよいよこの日がやってきた、変則商社の名前が世界史に大きく刻まれる歴史的な日になる日がきたのだ。
長野県諏訪湖には現在多くの人々が集まっていた。一般人だけでなく陸海軍の将校や全国から新聞記者などが多く集まってきている。
世界初の航空機が誕生し、航空機の公開飛行が行われようとしているのだ、それを一目見ようと諏訪湖には三万人以上の人々が押し寄せてきているのだ。
無風で天候に恵まれているのと、エンジンの調子も良いみたいなので、いよいよ公開初飛行となる。
変則商社が二ノ宮博士やテスラ博士を招き入れて研究・開発が進められていたタ式航空機が完成し、一度3月17日に試験飛行が行われたのだ。
諏訪湖にブイを浮かべて何メートル飛行できるかという実験も行われた。
水面に着水する為に胴体部分が水面に接するように設計も加えられたのだ。
当初はFALOP社製のタイヤを装着させて陸上で飛ばす予定だったのだが、2月初旬になんとタイヤが積んでいた貨物船が紅海で事故により沈没してしまい、タイヤの再生産に大きく時間を食ってしまうというアクシデントが発生したため、急遽水上から飛ばせるように変更したという経緯がある。
試作機が水面からうまく着水できるように船の設計士も呼んで出来上がったタ式航空機は、風洞実験や実物大の模型などを使って何度もシミュレーションと科学実験を行った上で、理論的に安全に飛行できるように作ったのだ。
25馬力を発生させるエンジン一基とプロペラは機体後部に搭載している、操縦するパイロットを考慮して安全カバーを取り付けている。
タ式航空機1号機、2号機、3号機の3機が製作され、うち二機が水上機のような形状になったのだ。
最初に飛ばした1号機は初飛行に成功し130メートルを飛行した後に水面に着水した。
着水した際に衝撃でエンジンのボルトが外れるという不具合が見つかったので、1カ月かけてボルトが簡単に外れないように改良を加えた2号機が今回、公開飛行を行うのだ。
軍部やマスメディアに対しては機械を使って空を飛ぶという前代未聞の航空機に対して興味津々のようだ。私としては嬉しい限りだが、飛行機を飛ばすために安全に気を配って飛行機の進路上に小舟などを浮かべないように注意を呼び掛けて、大勢の人たちが固唾を飲んで見守る中、午前11時に2号機のエンジンを始動させてタ式航空機は空を飛ぶ準備を整える。
タ式航空機は椅子のようなものに座るのではなく、伏せるようにしてハンドルによる操作で飛行するのだ。
パイロットの丸山兵治が機体に乗り込んで、機器のチェックを終えるとハンドルを握ってゆっくりと機体を動かしていく。
「おお、動いた!!」
「船のように進むのだな…これで飛ぶのか?」
前進していくタ式航空機、プロペラを動かしてどんどん速度を上げていく、400メートルほど速度をつけてからタ式航空機はゆっくりと機体が浮かび上がる。
飛行が成功した瞬間である。
その瞬間を見ていた見物人から大歓声が巻き起こった。
「おおおおお!!!飛んだ!!!飛んだぞおおお!!!」
「すげぇっ!!!!空を飛んだのか!!!!」
「まるで鳥みたいだ!!!!」
軍の将校や新聞記者も驚いた顔でタ式航空機に釘付けであった。
タ式航空機は試験飛行の時よりも200メートル飛行したのちに着水した。
諏訪湖で小舟などで観覧していた人々から拍手と歓声が鳴り止まない。
人が空を飛んだことに大興奮しているのだ、
世界初の飛行機…タ式航空機が空を飛び、新聞記者はその時の様子を詩人のように表現するだろう、そしてカメラマンによって諏訪湖の水面から離水して飛行しているタ式航空機の写真が翌日の新聞にでかでかと第一面で掲載されることになることになるのであった。




