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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)アジアの夜明け
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アジアの夜明け:仇

蒼龍と入れ替わる形で范さんが執務室に入ってきた。

范さんが持ってきたのは、私が彼に依頼していた()()()()だ。

その資料にはこの世界に転生した先で父親を嵌めて私の兄たちを殺し、両親の精神をズタズタに引き裂いた楼宮ろうみや貿易会社が行ってきた数々の悪事に関する証拠資料だ。

麻薬・武器密売・軍需品の横流し・殺人…数えたらきりのない程の悪事の数々だ。

范さんの部下が横浜市で楼宮貿易会社に関する事業を一年間監視した結果、これだけの動かぬ証拠を揃えてくれていたのだ。

驚いたことに、楼宮貿易会社ではなく次郎が勤務していたYOKOHAMA日英国際貿易会社も、これらの悪事にかかわっている証拠が写真付きで出てきた…。



「この写真に写っているのは横浜市の有力市議会議員です。それも一人ではなく秘書や神奈川県警の幹部もいます。彼らは楼宮貿易会社系列のヤクザが主催している賭博場に出入りしております、賭場は毎月第二土曜日と第四日曜日に開催されているとのことです。他にもYOKOHAMA日英国際貿易会社の職員らが頻繁に楼宮貿易会社が保有している倉庫で武器・麻薬の類を取引している場面も撮影に成功しました。これらの武器は軍備品で、そのほとんどが軍用ライフルなどの殺傷能力の高いものばかりです。明らかに軍備品が裏組織に横流しされています…軍の一部も、この件に絡んでいると思われます」



「陸軍か海軍かは分からないが…軍が絡んでいるのであれば私が陸海両軍の総監に直接証拠を持って言ってみますよ、総監クラスであれば軍を動かせますからね…警察のみならず軍も武器密売に関わっていたという情報が事実であれば必ず動いてくれるでしょう。そうすれば楼宮貿易会社もYOKOHAMA日英国際貿易会社の二社も共倒れは免れないでしょうね」



軍が絡んでいたとなれば両軍は事件の究明に真っ先に乗り出すはずだ。

なにせ、警察幹部がこうして不祥事を起こしているのだからな、警察のメンツも丸潰れだろう。

幸いにして、今の私は陸海軍の医務局総監との関係は良好だ、彼らに相談し陸海軍が一致団結してこの事件を解決してくれれば、両軍は悪を倒したヒーローになれるからね。

うむ、この世界の家族の仇を取る時がようやくやってきたわけだ。

正直に申し上げると、母以外の一郎や次郎…そして父親に対しては良い印象を持っていなかったが、一郎と次郎は最後の最後で謝っていたし、母も父も兄たちが殺されたことで精神不安定になって最後は心中自殺してしまった。



それから私は横浜を去ったのだ。

悪人たちは謝罪すらしなかった、その報いはキッチリと受けさせてもらう。

復讐は憎しみしか生み出さないとかギザなセリフがあったかもしれないが、憎しみがあるから復讐を果たしたくなるのは当然だろう。

当事者以外の輩からまるで正論の如く言われるのは私は嫌いだ。



かつて大阪府で起こった未成年者による婦女暴行死事件の際に、被害者の旦那さんが犯行当時未成年だった加害者を出所直後に暴力団経由で入手した拳銃で射殺したニュースが話題になったことがあった。

そのニュースは生中継された上に会社で話題になっていたし、その事件の事も覚えている。

被害者の旦那さんはまだ被害者の女性と結婚して1ヶ月と経たずに事件に巻き込まれて愛する人を失ったのだ、にもかかわらず犯人が未成年者だった事と、犯人の家族が政治家であった為に実名報道もされずに政治的圧力によって司法の判決は僅か懲役5年で出所されるという理不尽な判決に激高して犯行に及んだのだ。



インターネット上では旦那さんを擁護する意見に溢れて、減刑嘆願書が全国で呼びかけられるのとは対照的に、加害者や司法に対して非難の声が殺到し、加害者の家が放火される事態に発展して日本中を巻き込んだスキャンダルとなった。

反省すらしないような加害者は社会的・刑事的制裁を負わないといけない。

場合によっては彼らは武器を持って抵抗し、その結果銃撃戦によって射殺されるかもしれない。

別に私はそれでもいい、どのみちこの決定的な証拠を私は総監に叩きつける。

家族の敵討ちは軍に任せることにしよう。

ニュース報道において未成年犯罪者の実名報道ぐらいはしたほうがいいと思った(小並感)

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