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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)成長戦略
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成長戦略:シャングリラ

「変則商社としましては、軍への兵糧食の提供に関しては問題ありません。直ぐにでも全国の工場に手配いたしましょう。缶詰は順調に生産されておりますので、問題なく軍に供給が行き渡ると思います」



「ありがとう、それにしても…雑穀煎餅からここまで大きくなるとはな…君の会社にはこれからも色々と世話になると思うがよろしく頼む」



「ええ、これからの日本の為にも力になりましょう…では、今後の軍への供給などを調整しながら色々と話を進めていきましょう…」



その後、海軍省でお昼近くまで話し合いをすることになった。

インスタントラーメンと雑穀煎餅…これらの食品の提供は、清国内戦が終結するまで…ひいては日本帝国の介入が終わるまで続くだろう。

陛下から勅命を受けて陸海軍はそれぞれの任務に赴くというわけだ。

三年前の日清戦争の時よりも兵員を増やして対応に当たるそうだが、万が一ロシア帝国が清国内戦に上清帝国側に介入して兵糧を輸送する東シナ海の制海権を奪われたら、大陸に派兵している将兵の食料は枯渇してしまうだろう。

最悪の場合、現地住民などから強引に接収しないといけない…という事態に発展すれば忽ち日本への信頼は失われてしまうだろう。



制海権の話になると、海軍は連合艦隊を編成して上海までの海上輸送路の確保を行い、イギリスの東洋艦隊がロシアが介入してきた場合に備えて、ヨーロッパ側の艦隊がやってくるのを防ぐために海上封鎖を行うという。

イギリスにおけるアジア最大の植民地であるインドから兵士を送り込む計画のようだが、兵士の輸送には一か月ほど掛かってしまうらしい。

最寄りの日本から陸軍の兵士を香港防衛に当たらせて、インドの兵士が来るまでに香港を死守する。



イギリスやフランスは今回の内戦を受けて、てんてこ舞いに慌てているようだ。

なにせ上海租借地を保有しているイギリスとフランスは、すでに莫大な金額のインフラ整備などの投資を行っているので、この土地を易々と手放すことはしないだろう。

イギリスからは正式に派兵を求められている上に、フランスからも派兵の要請が近日中に来るだろうと加賀美総監は言っている。

協力すればイギリス製の最新鋭の武器や兵器を融通してもらえるそうだが、万が一上海や香港を失ってしまえばその利益や関係も失ってしまうかもしれない。



また、アフリカ大陸においてドイツとの植民地紛争を抱えている英国としては、ロシア以外にもドイツが介入してきた場合が一番厄介になると感じているようだ。

膠州こうしゅう湾租借地が現在ドイツの保護下に置かれているので、ドイツが上清帝国への武器輸出を行っても、それを止めることは不可能だという。

ドイツとしてはあくまでも上清帝国への輸出であり、貿易の枠組みで決められた事…直接的な軍事的介入ではないと突っぱねてしまえばそれまでなのだ。

ドイツは全面戦争を仕掛けることはしないだろうが、最新鋭の武器・兵器の輸出を堂々と行うことぐらいはしてくるだろうと予測しているという。



「…これらの事を踏まえても、我が国の清国正統政府への支援と介入は大きな博打なのだよ、光緒帝を我が国に亡命することも議論されたが、光緒帝は自分を支持してくれている民衆を残して国を去ることは出来ないと亡命を拒否したのだ…政治家としては彼は立派かもしれないが、こちらとしては困ったものだよ…」



そういって加賀美総監は紅茶を飲みながら話をしてくれたのだ。

軍人としては上からの命令に従って、作戦を立案して軍事行動を開始する。

それが武士もののふとしての務めだと自らの心に刻み込んでいるのだろう。

この戦いがどう転ぶかは分からない、だが、私でも確実に分かることがある。

それは光緒帝の改革を英仏や日本が支持したことだ。

この改革が成功すれば、清は史実よりも大きく発展するだろう、だが、現在その清の大部分の地域が上清帝国に鞍替えしている。

この鞍替えからどう挽回するのか…光緒帝の技量と、彼の家臣がそれを実行できるだろうか?

清国の内戦によって、世界は大きく動き出していく。

清国正統政府 歴史概要


光緒帝によって清帝国の抜本的な改革を選んだ彼らによって皇帝自ら発表した戊戌維新だが、西太后を支持する保守派の高官と武装組織「仁義会」によって首都北京から追い出される。

上海・江蘇省・浙江省を除く地域は西太后が起こしたクーデター政権「上清帝国」に服従してしまい、現在皇帝を含めて改革を支持する人々によって上海を臨時の首都として清国正統政府が発足した。

英国、フランス…そして且つての敵国である日本の支援によって清国正統政府は国土を奪還できるだろうか?

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