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私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)成長戦略
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成長戦略:上海支援

翌、7月16日に私と蒼龍、范さんらで今後の清国に対して貿易面でどうするべきか話し合いが持たれた。

変則商社としては、内戦が勃発した現在の清国との貿易に関しては社員の安全を考慮して中止するべきだという意見で一致したが、今後の清国がどうなるか予想がつかなくなったので、清国の内部に詳しい范さんが今後の清国の情勢を分析した上で、資料などを作ってくれたのだ。

現在、変則商社の一角にある会議室にて、清国に関する会議が行われていたのだ。

范さんが資料をそれぞれ配り終えると会議が開始された。



「まず最初に…すでに、皆さんもご存知かと思いますが、清国で内戦が勃発しました。それも、阿南様が歩んできた()()とは異なる内戦となっているようです。史実では皇帝の戊戌の政変として失敗に終わりましたが、今回は西太后が保守派の高官らと共に反乱を起こして強引に鎮圧しようと企んだようです。しかし、皇帝は天津から軍艦で脱出して首都を上海に移して清国の正統政府を名乗り、西太后らは国名を改めて上清帝国と名乗って各地に従うように命令を下しているようです…そして、上清帝国を支持するのは江蘇省(こうそしょう)浙江省(せっこうしょう)以外のほぼ全ての省になります…」



挿絵(By みてみん)



地図を見てみると、二つの省以外は上清帝国に従順した形となっている。

北京を脱出できなかった改革派のメンバーは何人か捉えられて殺害されているとのことだ。

北京は現在光緒帝を擁護していた禁旅八旗は壊滅し、武装組織「仁義会」によって完全に制圧された模様だ。

彼らは高度に組織化された武装組織のようで、清国復興を掲げているがヨーロッパ…それもキリスト教を禁教とし、兵器や武装のみを近代化させようとしているらしい。

蒼龍のいた寺院を襲撃したのも彼らだったようだ。



「ちょうど二年前になるかの…長安にあった青龍寺院もこの仁義会とやらに襲撃されたのじゃ…ま、奴らには手土産をくれてやって襲撃した者共を消したがの…」



「中々過激なことをやるのですね…蒼龍様も…」



「まぁの、昔父上に逆らった愚か者の”成れの果て”になった奴を楔から外して自由にしてやっただけじゃ。暴れることが済んだら地下に貯蔵してあった爆薬で寺院もろとも奴も吹き飛ばしたからの…どのみちあの時点で仁義会は清国政府の上層部とも関わりがあったからの…じゃが、ここまでして強引に権力を奪取するようになるとは、奴らの厄介さも増したようじゃな…」



「ええ、その事でも気になる情報が幾つか入ってきております…この写真をご覧ください」



范さんが私と蒼龍に見せたのは天津の港の写真のようだ。

ある貨物船から様々な木箱が降ろされている、この木箱の中に入っているのはドイツ製やロシア製の小火器や武器が満載しているとのことであった。

四枚目の写真には清国の政府高官が貨物船の船長と話をしているが、その高官の傍にはカノン砲が布に覆われて隠されているのがハッキリと見える。

しかも、これらの欧米列強の最新鋭の武器や兵器が仁義会によって運用されているとのことだ。



「彼ら仁義会は以前にも増して欧米列強…とりわけドイツとロシアにパイプを持っており、その中でもロシアとの貿易によって武器や兵器を貯めこんでいたのですよ…ロシアは遼東半島における利権確保の見返りとして清国の保守派の高官や仁義会との結びつきを強めていきました。仁義会の構成員の殆どはロシア帝国陸軍で軍事教練を受けているとのことです。清国でも天津や北京…そして遼東にはロシアからライセンス生産を承認された多くの武器・兵器工場が建設・稼働しております」



ロシアとの結びつきを深めていた清国の政府高官らは光緒帝に対して「民需工場」の建設と報告していたらしいが、その実態は来るべき仁義会の活躍を担う際の武器・兵器・弾薬の生産拠点を築き上げていたという。

しかもだ、今回の清国内戦に関してはロシアが安全保障の名目で陸軍を動かすのではないかという情報まで飛び交っている。

ロシアには極東への足掛かりになる「ウラジオストク」があり、このウラジオストクはロシア帝国のアジア進出の最重要拠点の一つでもある。



ロシアが上清帝国を支持して光緒帝の清国正統政府鎮圧に参加する場合、日本が光緒帝を支援した場合、下手をすれば史実よりも6年も早い日露戦争が勃発する恐れもある。

また、大規模な内戦に突入して英仏の支援要請を受けた場合、租借地の範囲拡大を条件として内戦に介入するかもしれない。

清国正統政府は且つての敵国である日本に助けを求めた。

清国正統政府の基盤は上海一帯とその周辺地域のみであり、軍事的・政治的に見ても劣勢なのは明らかだ。

だが、清国正統政府は上海の租借地の利権を大幅に日本に譲渡することを提案してきている。

その租借地は英仏の上海租借地よりも広大であり、清国正統政府が勝利ないし上海一帯を防衛し、国家を維持することができれば、その租借地の利益は莫大なものに変貌するだろう。


▽清国正統政府の支援を行う(清国正統政府との関係+100% ”日本の清国正統政府への派兵決定”イベントが発生)


▼今は国内の改革を優先するべきだ(清国正統政府との関係-100% ”日本は清国正統政府を見捨てた”イベントが発生)

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