表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私による近代日本改革記  作者: スカーレッドG
(旧)魔法の食べ物
41/125

魔法の食べ物:工場完成

デデンデッデデンデン!

デデンデッデデンデン!


<敵の潜水艦を発見!>

……〇……



西暦1896年(明治29年)6月28日



遂に変則商社の工場がお披露目となる。

陸海軍向けの兵糧食、並びに雑穀煎餅やインスタントラーメンの製造を行えるだけの設備を整わせた工場が完成したのだ。

工場の半数以上が陸海軍向けの缶詰を出荷し、残りが一般向けの製造に費やされる予定だったが、思っていたよりも反響が大きかったので、早くも工場を2つ建設することになった。



今月1日からインスタントラーメンを店頭販売したのだが売り出した途端に爆発的ヒット商品となり、雑穀煎餅を凌ぐほどの人気になってきたので、工場を増やすことにしたのだ。

簡単で湯があればどこでも食べれる魔法の食べ物として、売り込みをした結果…雑穀煎餅を売り出した時の数倍以上もの客が押し寄せて店が大混雑となってしまい、直ぐに売り切れてしまったのだ。

周囲の店も在庫分が直ぐに捌いてしまったので、すぐに持ってきてくれと言われたが、どんなに増産をしようとしても、店で生産するには雑穀煎餅よりも手間がかかる上に店舗内では生産に限りがあるので、雑穀煎餅を作る予定だった工場のスペースもインスタントラーメン製造スペースに変えたほどだ。



とにかくインスタントラーメンを買い求める客が多すぎたので、止む無く抽選方式で食事を取れる人を決めたぐらいだ。

予想していたよりも物凄いスピードで売れてしまったので、増産が必要なほどに買い求める客で殺到した。

なので、従業員の人達や蒼龍、それに范さんなど変則商社に関わる全ての人がフル稼働して働いた。

給料もその分上乗せして基本給の賃金も上げた。

また体調が優れない従業員にはすぐに帰宅して休むように念を押したほどだ。



蒼龍に関しては進んで店の看板娘をやってくれているので、本当に助かっている。

インスタントラーメンが速攻で売れてしまった時は、買えなかった人達の為に雑穀煎餅一枚無料券を渡して一人一人に配ったお陰で買えないことへの怒りの矛先を鎮めさせて、店が危機的な状況になることは無かった。

以前東京駅開設100周年を記念して数量限定で販売する予定だった乗車カードが販売中止となり、販売中止に激怒した人々が暴動を起こす事件があった。東京駅の模型が破壊され、駅員に対して暴力を振るう者まで出たので警察が介入するほどだった。

並んでいたのに買えない…そうした怒りの矛先が従業員に向けられるのは非常にマズイのだ。



蒼龍の機転の速さのお陰もあって、工場での生産が本格的に稼働するまでは、民間でのインスタントラーメンの販売に関しては抽選方式で決めさせてもらっている。

また、インスタントラーメンの技術に関する特許及び商品登録などは既に申請済みなので、コピー商品が出回ったら即、警察などに通報できるようにしてある。

なんせ、インスタントラーメンに関しては陸軍が全面的にバックアップを取ってくれた上に、粗悪な模造商品が売られると国内の治安を乱される恐れがあるとして、発見次第憲兵が取り締まりましょうと言ったほどだ。



戦前や戦後しばらくの間はコピー商品や模造品に関してはある程度容認されていたとはいえ、陸海軍が正式に採用が確定された商品の模造品となれば話は別だ。

品質や味が落ちる上に、食中毒などのリスクを高める恐れがあるので、陸軍が大々的にインスタントラーメンの模造品の取り締まりを行うと宣言し、海軍も納入品に関して許可なく模造したり意図的に類似した商品を出した場合に、法的に罰することを強化することを盛り込んだ書面に賛成したぐらい、陸海軍がインスタントラーメンや雑穀煎餅を大事に扱ってくれているのだ。



食によって私の会社はどんどん規模が大きくなっているが、再来年までには航空機に関する技術者を招き入れて航空産業の方にも着手したいなと考えている。

無論、予算などの相談もあるが…明治時代に既に空の重要性を認識していた日本人がいたという事を雑学の本で学んでいる。

たしか名前は二宮忠八(にのみやちゅうはち)…金銭的事情によりライト兄弟よりも先に有人飛行機を飛ばせなかった悲運の発明家だ。

ライト兄弟の作った飛行機よりも小型ではあるが、2010年代後半に二宮が設計した図面をもとに復元した航空機を高校生が飛ばした所、短時間だが数十メートル程飛行が可能な機体であったと証明できたのだ。



史実では軍にその重要性を理解してもらえず、飛行機をはじめとする航空機開発を断念した悲運の発明家だが、彼を雇って日本が航空機の歴史を新たに作らせてみるのはどうだろうか?

ひょっとしたら、日露戦争開戦前までには偵察機が完成できるかもしれない。

そうすれば航空機からの位置情報を元に精確な砲撃と射撃によって味方の被害を減らせるかもしれない。

雑穀煎餅、インスタントラーメンよりも軍事的な意味で日本が優位に立てるチャンスを作れるだろう。

さて、考え事はここまでにして工場の落成式に参加するとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


小説家になろう 勝手にランキング
▽こちらでも連載中です。良かったら見てください。▽


私による明治食事物語
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ