表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/125

蒼龍:クラック

暗い話はあまりしたくない。

話を終えてから、蒼龍は明るい話題を持ちかけてきた。

范さんの部下たち…数十名を変則商社で働かせるに当たって、雑務なり力仕事などを任せて欲しいと申し出てきたのだ。

彼らも青龍族から長年に渡って仕えてきた人達であり、その分の訓練なども積み重ねているという。

なので、日本語が慣れるまでは倉庫の在庫確認や雑穀類の運搬などの仕事から始めたいと申し出ているようだ。

力仕事に慣れている人なら最低限のコミュニケーションが取れれば扱いやすいだろう。

私はその申し出を承諾して、長旅の疲れが癒えるまで…3日間ほど休息を与えてから仕事を始めて欲しいと言った。



「雑穀類の袋の運搬…並びに在庫確認などをしてもらえると助かります、3か月後に工場が完成予定なので、今は人手が一人でも欲しいのですよ…一先ず今は長旅の疲れもありましょう、3日間休んでから務めに来てもらえると有り難いです」



「阿南様のご配慮に感謝いたします。私が彼らを指揮しながら職務に当たりますので、ご指摘などがあれば遠慮なくお申し付けください」



「わかりました」



さて、あとは蒼龍についてだが…。

蒼龍はどんな仕事をしたいのか尋ねたら、なんと販売の看板娘をやりたいと言い出したのだ。

想像していたよりも露出の高い仕事なので私はビックリした。

裏方仕事をやるのかとおもいきや…顔を出す仕事をしたいのだという。

清国から追い出された彼女が日本にいると清国に察知されたら狙われてしまう可能性がある。

彼女は美人だし清国でも顔の知っている者が来た場合に、下手したら暗殺という事態も考えられる。

だが、蒼龍はその心配は無用だと語った。



「阿南殿の心配はごもっともじゃが、その点に関しては心配無用じゃ、余のこの姿は仮の姿じゃ…清国の重鎮の前にいる時は威勢を張るために竜に変身しておったからの…この姿を知る者は限られているのじゃ、それに…余は阿南殿の作っている雑穀煎餅を食べようとしている庶民の顔を直に見てみたいのじゃ…直に見れば人の心を読むことができるからのぉ、阿南殿が心配してくれているのも余はわかるのじゃ」



なんと…すでに私の考えていることが判っていたのか。

今の女性の顔立ちはあくまでも仮の姿…本当の姿は竜になるというわけか…。

やはり竜の姿になるとどのくらいの大きさになるのだろうか…ちょっと気になるな。



「竜の姿が気になるかのぉ?良ければ今宵に姿を見せてもいいのじゃぞ?」



「…そうですね、正直に申し上げると蒼龍様の本当の姿を見てみたいと存じます…竜になるとどの様な姿なのか気になりますので…」



「正直に申してくれて嬉しいのじゃ、余の竜の姿で良ければ阿南殿に見せてもいいのじゃ」



「ははは、それは有難い…」



一瞬セクハラ行為に問われるんじゃないかと冷や冷やしたが、決してやましいことは考えていない。

竜の姿がどんなものなのか…私をこの時代に連れてきた時の、あの光輝ている姿なのか気になっているだけだ。

成年向けの同人誌とかだと良からぬ事を考えだしそうな気がするが、そんなことをしたらマズいだろう。

まぁ、蒼龍が看板娘として働きたいという意志があるのなら、その意志を尊重してやるのが良いと思う。

看板娘として十分すぎるほどの美貌を持っているのだから、より人気なども出そうだな…。



「では、蒼龍様も3日間お休みになられた後でお勤めになると思いますが、分からないことがありましたら私に言ってくださってもいいですからね」



「わかったのじゃ、何卒世話になります故、よろしくお願いいたします…」



こうして、蒼龍と范さん…その部下たちが変則商社で働くことになった。

あとで全員に仕事のやり方などを教えないといけないな…だが、長旅で疲労しているだろうし、今はゆっくりと休む時間が必要だ。

仕事の事を教えるのはまだあとでも十分だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


小説家になろう 勝手にランキング
▽こちらでも連載中です。良かったら見てください。▽


私による明治食事物語
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ