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RT1:罠

一か月ほど期間を開けてしまい本当に申し訳ございませんでした。

ストーリーが支離滅裂になってしまったので、書き直しも検討したのですが、色々ととん挫してしまいました。

非常に申し訳ないのですが、今までの話は一度取りやめた上で、第二章までを共通の内容とし、この回より第二章から分岐したストーリーとして進めていこうと思います。

作品を楽しみにしていた皆さんに対してこの場を借りして謝罪させていただきます。

それでは、分岐したお話をお楽しみください。

………………

………


薄暗い取調室。

隅っこが湿気っていて、かび臭い。

取調の際に時折出される飯はまずい。

飯も今まで食べてきた中で最悪の味だ。

とてもじゃないが食べれたもんじゃない。

せめて塩があればマシなんだが…。

ああ、今この場にインスタントラーメンがあれば最高のごちそうだ。

鶏がらスープのインスタントラーメン。

味を思い出しただけで涎が無意識に口から出てくる。

ぐふふと感情のはずみで笑ってしまうと、私は傍にいた取調べの警察官から殴られた。


「コラァ!!!誰が寝ていいと言った!!!起きろォ!!!」

「ぐふっ?!」

「ったく、いくらお前がやっていないといってもこっちには証拠があるんだぞ!!いい加減白状しろ!!!」

「そんなこと言っても………私には身に覚えがない上にやっていないんですからやっていません」

「この野郎!!!生意気な態度取りやがって!!!」


ドゴッ!!!

ドゴォォッ!!!


一番上の兄並に短気な警官に更に二発ほど頭部を思いっきり殴られた。

これで何発目だろうか。

頭の上にこぶがたくさんできている気がする。

もしこれが平成だったら確実にこの取調べの警察官を暴行の容疑で立件できるかもしれないが、明治時代半ばの現在ではそれは無理そうだ。


なにせ自分の無実を証明しようにも、立証してくれる証人がいないからだ。

いや、これは罠に嵌められたんだ。

向こうは完璧ともいえる包囲陣を敷いて私を陥れたのだ。

私は無実ですと言っても、警察官たちはこちらには証拠があるの一点張りで話にならない。

そう、私は兄弟に嵌められたのだ。

血のつながっていない兄弟にね。


今思えば現代知識を使った食べ物を商店に出すべきではなかった。

少なくとも私が独立するまで隠密に製造するべきだったのだ。

ああ、今更後悔しても遅いか。

あの馬鹿兄がここまで馬鹿だとは思わなかった。

恐ろしいぐらいにバカ。

本当に救いようがないほどにバカだ。

それと同様に兄を信じた私もバカだった。


改めて私自身の自己紹介したほうがよさそうだ。

私はある食品会社で勤務中に死亡して、気が付いたら明治時代半ばにタイムスリップした阿南豊一郎だ。

いや、タイムスリップというよりも同じ時代の同姓同名の少年に転生したといえばいいだろうか。

そう、ネット小説でよくある転生というやつを経験してしまった。

実際に転生された時に思ったことを思うとこの一言に尽きる。


(この部屋電気無くない?)


そう、電気がないのだ。

それもそのはず、転生してしまったのは明治28年4月17日。

下関条約が結ばれたまさにその日だ。

西暦に変換すれば1895年だ。

1895年、電球どころか電気すらまだ普及していない時代だ。

202X年の8月10日に死亡したわが身としては、実に1世紀以上も過去に遡ってしまったのだ。

だいたい130年前だ。


スマホもねぇ!ネットもねぇ!水道ねぇ!と現代人からしてみれば不便すぎる日々を過ごしたている

現在進行形でだ。

トイレはボットン便所な上に、臭いも酷くてハエがブンブン飛び回っている。

水道なんてものはないので井戸水を汲み上げる必要があるんだが、それも辛い。

蛇口をひねるだけで水が出る現代の技術の凄さを改めて思い知った。


情報も有力なのは新聞以外には地域のコミュニティーからの噂話だ。

転生した場所が横浜だったのと、人口も多く外国人居住地にもほど近いので外国人向けの海外ニュースも入ってくるが、そうした情報はやはり技術的な問題で一週間程古い情報を見なければならない。


そんなこんなで明治時代に転生して数週間が過ぎた頃。

俺は自分の地位が家族の中でも最下位であることを痛感させられていた。

まず兄弟が二人いるのだが、二人とも母親の再婚相手である父親の連れ子であり、阿南一郎と次郎がいるのだが、こいつらはアウトローだ。

アウトローというのは不良やヤクザもんという意味だ。

実際に次郎はヤクザまがいの仕事をしているし、一郎に限っては商店を父親に代わって店番をしているが、昼間から酒浸りで私に空き瓶を投げつけてくることがザラにあった。


商品の位置が曲がっているように見えただけで一郎から痣ができるほど身体を殴られたり、蹴られたりした。

奴の機嫌が悪いと木刀で叩かれたりした。

酷いときにはお客さんが仲介するぐらいに殴りつけられて鼻血が止まらなくなったこともあった。

あまりにも常軌を逸脱している暴力に対して父親に抗議しても取り合って貰えなかった。

父親曰く、兄の一郎はお前の為を思って叱っているのだから受け入れなさいと、逆に私が注意された。

恐らく父親は一郎に何をされるか分からないので叱れないのだろう。

理解に苦しむんだけどね。


次郎は次郎で、ヤクザ絡みの仕事をしていることを食事中に自慢してくる。

相手の腕をへし折ったとか、兄と一緒になって賭博場にいって大金をゲットしてきたりと自由奔放な性格だが、こいつは一郎よりは遥かにマシだ。

一郎があまりにもひど過ぎるから、次郎のほうはまだましだと私は思っていた。

食品会社に勤めていた経験を生かして、この時代でも作れる栄養値がそこそこある雑穀煎餅を作り、父親の許可を得て商店で販売するとたちまち大盛況となった。

その際に私が次郎に応援を頼んだことが全ての間違いであった………。

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私による明治食事物語
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